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一流選手は心の豊かさも一流 子どもたちへのメッセージ 恩贈り記事Vol.85
高校生に興味を持ってもらう自己紹介
宮城県の高校で授業することになったマレーシア人のハムザ。どんな自己紹介をしたら生徒たちに興味を持ってもらえるかな?と考えて、こんな写真を最初に生徒に見てもらいました。
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この写真を見てすぐに銀次!と口に出す生徒も何人かいました。
この方は、東北楽天ゴールデンイーグルスで一番長くプレーしたという、銀次選手です。
そして次にこの写真を見せました。
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今度は、えー!すごーい!という声が上がります。この写真を自己紹介に使って大正解。生徒たちに興味を持ってもらえたようです。
実は銀次選手は引退した後、東北をまわり、子どもたちに野球を教えるクリニックをたくさん実施しています。
この日たまたま私が住んでいる地区で野球やチアリーダーを教えてくださるイベントがあひました。ハムザもサラワク州代表のサッカー選手なのできっと興味があるだろうと連れて行ったら、案の定スポーツが大好きなのでとても喜んでいました。
イベントの帰り際、銀次さんが会場から出てくるところにばったりでくわし、写真を撮ってもらったのです。
そして
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ちゃっかり私まで!
実はこのイベントで、銀次さんの人の良さを感じるシーンがあったので、この写真はとてもよい記念になりました。どんなことがあったかは、もう少し後で、、、。
プロがプロでいるための姿勢
野球少年少女や、チアリーダーを目指す少女たちが、憧れの銀次さんやゴールデンエンジェルスたちを目の前にできるチャンス。
我が子の活躍を見ようと、体育館の2階にはカメラやビデオを構える保護者の方たちもたくさんいらっしゃいました。
子どもたちは大喜びではりきって練習に取り組んでいました。
イベント後半は、銀次さんへの質問タイムです。子どもたちは思い思いの質問を聞き、盛り上がりました。
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次に観客席にいる人も質問していいですよー、というのでハムザに質問があるかと聞いてみましあ。ある!というので、2人で手を振ってアピール。無事マイクをいただけました。
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ハムザが聞いたのは、「銀次選手のチームが負けていたり苦しい局面の時に、どうやってモチベーションをあげていたか」です。
自らもサッカー選手だからこそ出てくる質問だなぁと思いながら、その答えに注目!
「わざわざお金を払ってチケットを買って、この日しかこられないという中できてくださったお客さんに喜んでもらうために、どんな状況でも魂を込めてプレーしていました」
うーん!やっぱりプロの選手はこういうメンタリティなのか〜!感激です。
もうひとつ。なぜハムザがこの質問をしてくれたのか後日語ってくれました。
あの質問をしたのはプロの選手の逆境での姿勢を子どもたちに聞いてもらいたかったからだよ。
ハムザがサッカー選手としてプレーしていて、気になることがあるそうです。負けている時に選手が怒り出したりやる気をなくしたり、観客も怒ってピッチに何かを投げ入れたり、、、こういう精神ではよいプレーはできません。
だから、ハムザは本物のプロがどうやって困難な場面に立ち向かっているのか、子どもに知ってもらいたかったといいます。いかなる場面でも自分の精神をコントロールする。この考え方や姿勢をあこがれの銀次選手から示してもらうことで子どもに学んでほしかったんですね。
こんな風に「子どものためになるにはどうしたらいいか?」という視点で物事を考えて行動するハムザ、さすがです!
本物のプロが伝える本物のメッセージ
楽天現役時代の銀次選手を球場で見たことがなかった私ですが、この話を聞いただけでファンになりました。
でもこの後、私の心にもっともっと深く響いた言葉がありました。
イベントも終わりにさしかかり、銀次さんからしめくくりの挨拶が。
皆さん、思いやりのある人になってください。
これが銀次さんの最初の言葉です。おや?野球の話ではないのかな、と思って聞いていました。
皆さんが野球やチアをしていられるのはなぜですか?ユニフォームや道具を買ってくれたり、送迎したり、弁当を作ってくれているのは誰ですか?
家族の協力があってできていることです。だからご両親に感謝をしましょう。
そして、将来プロの選手になったら、いいプレーをして両親を喜ばせてください!
プロ野球選手として活躍するまでには、自分の努力はもとろんのこと、色んな方にお世話になったことでしょう。それを経験的に氣づいていらっしゃる銀次さんだからこそ、それを次世代に伝えることができるのですね〜。
人間性が豊かな人だからこそできる、その方のお役目があるんですね。
心優しい人はどこにいても心優しい行動をせずにはいられない!
ちなみにイベント中、ハムザの姿が見えなくなり、どこにいったかとキョロキョロしていたら、見つけました!白杖をついたおじいさんに肩を貸しているではないですか!
このおじいさんは、お孫さんがお2人練習に参加しており、もう1人のお孫さんの子守りをしながら2階で練習の様子を耳で聞いて雰囲気を楽しんでいたそうです。奥さまとお孫さんがお手洗いに行くというのでおじいさんも奥さまの肩につかまりながら、白杖を使ってお手洗いに行ったのでしょう。先にお手洗いから出てきて席に帰ろうとしたおじいさんをハムザが助けたそうなんです。
ハムザって、どこにいても人を助けているなぁ。ハムザらしいなぁ。と思わず笑ってしまいました。
おばあちゃんが語る次世代に残したいもの
そこへ奥さまとお孫さんが帰ってきて、おじいさんはハムザに助けられたことを伝えました。
私はハムザがマレーシア人で、ボランティアをしに東北に来ていること、前日は福島の高校で環境についての授業をしたことを伝えました。
そうしたらおばあちゃんが
「次世代に環境を残さないとね。ちゃんと孫の世代に残せるのか心配しているのよ」
と切実に語ってくださいました。
大先輩の世代も、次の世代、次の世代へと美しい環境を残そうとしてくれているのかと思うと胸が熱くなりました。当たり前のことかもしれませんが、大先輩の世代が次世代に残したいことってあるんだなぁと感じ入った瞬間でした。
奥さまの亡くなったご兄弟が5年ほどマレーシアのクアラルンプールにいたんです、こういうところでマレーシア人に会えるなんてご縁ですね、と話されていました。
何かのご縁がこのような出会いを授けてくださっているのですね。
マレーシアからのお土産をおじいさん、おばあさん、そして3人のお孫さんへと渡し記念撮影も。
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心に残る交流がたくさんあった1日でした。
きっとこの日の出来事の一つ一つが皆んなの胸の中で育っていくことでしょう。