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ギフトエコノミー~買わない暮らしを創造する生活アクティビスト~ ペイ・フォワード記事Vol.48

つながりを取り戻すワークの実践家 福島に

つながりを取り戻すワークのスパイラルを体現

前回の投稿で「つながりを取り戻すワーク」を体験した話をしました。自己の認識を拡げる考え方が、お互いさまの理念に通じるこのワークは4つの段階のスパイラルとなっています。福島市には、そのスパイラルの中の「世界に対する痛みを大切にする」と「前に向かって進む」に顕著に取り組んでいる大和撫子がいらっしゃいます。それが、ともだち・カワン・コミュニティのメンバーでもある安齋由(あんざいゆか)さんです。


よりよい社会は足下から

前回の記事でも書きましたが、①「自己という概念を拡げ」て捉え、②「世界に対する痛みを大切に」し、③「前に向かって進む」行動力が、よりよい社会に向かうための第一歩です。この文脈で言うと、彼女の場合は、①自然はともだちという感覚を持ち、②福島市のメガソーラー開発のためにはげ山にされてしまった先達山に心痛め、③アートの力を借りて自然への畏敬の念とおもいやりを想い出すための「お茶とイラスト」というイベントを開催しました。
実は以前のnoteでも紹介しています。以下のリンクの後半「日本人の心を見つめ直し 和の精神で自然と向き合う」という見出しで紹介しています。


わたしはひとりじゃない!仲間と取り組む活動の数々

彼女の活動の素晴らしいところは、全て生活の中からの気付きに端を発し、できることを足下から始め、共感する仲間と得意なことを出し合いながら自分たちの目指す世界観を一般市民の生活にも広く浸透させていっているところです。自然と人間が仲良く共生するサスティナブルな活動は多岐にわたります。

①リユース食器を利用したマレーシア料理販売

ともだち・カワン・コミュニティのメンバーでもある由さん。毎年福島市で行われている国際交流イベント結・ゆい・フェスタには毎年ブースを出しています。今年は初めて食べ物で出店することになりました。ともだち・カワン・コミュニティはこれまでも環境や福祉について楽しく理解を深められるようなイベントや居場所作りをしてきました。今回は、リユース食器を利用して、イベントで大量に出る使い捨て容器を減らす取り組みを実施。デポジット制で、リユース食器を返却しアンケートに答えてくださった方に50円を返金しました。アンケートはまとめて福島市役所に届け、今後のイベントのゴミ削減への提言につなげました。

市役所のごみ減量担当の方とリユース食器を囲んで


②浴衣のアップサイクル 和んぴプロジェクト

実は、由さん、Vol.45で紹介した浴衣のアップサイクル#和んぴの縫子さんでもあります。日本の伝統的な文化である浴衣を、タンスの肥やしにしてしまうのではなく、日常生活でも着られるようにアップサイクルしています。恩贈りの象徴の和んぴを皆さんにも手にとっていただきたいです。

③プラスチック削減のために、「マイ容器」を推進する「リフィル(詰め替え)」の普及活動
ペットボトル飲料の消費量を減らすために、マイボトルに無料で水をくめる給水スポットを増やす活動を大学生たちと共に実践しています。

④生ゴミを減らすためのコンポスト「キエーロ」の普及活動
実は生ゴミは家庭ゴミの中の大半を占めています。その生ゴミをゴミ袋に入れるのではなく、土に返すことができる「キエーロ」。由さんの自宅ベランダには、旦那様お手製のキエーロが。彼女は最近福島市の広報の表紙を飾り、紙面でもキエーロの作り方、使い方を伝えていました。

https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kohoka-koho/shise/koho/kohoshi/shisedayori/r6/documents/sd202406_p1-20.pdf



⑤環境に優しいエコマルシェへの参加 
福島市内のナチュラルパン工房結さんと、プラスチックフリーの量り売りマルシェを企画している由さん。6月の#結エコマルシェでは、先述した「キエーロ」の実演もされていましたよ。エコマルシェが頻繁にあると、市民の皆さんにもマイ容器の意識が定着しやすそうです。どんなマイ容器を持って行こうか考えるのも楽しいですね!

この他にも、無施肥無農薬の農業や、手前醤油作りなど、由さんの興味と行動力は、いつも自然と共に生活する中にあります。

ギフトエコノミー~買わない暮らしのつくりかた~

生活アクティビストの新たな取り組み

生活の中で感じた違和感を足下から変えていこうと行動を重ねる「生活アクティビスト」(筆者命名)の由さんが新たに始めた活動がこちらです。

自分にとってもう必要がなくなったものを持ち寄り、他の人に役立ててもらう場作りです。先日「ギフトエコノミー 不要品を持ち寄り、譲る会」の一回目を終えた由さんから感想を聞かせてくれました。

「会場にふらっと来てくれた人がギフトエコノミーについておしゃべりする中で共感してくれたんです。そして、私(由さん)が式典用のジャケットを欲しいことを知ると、一度家に帰って持ってきてくれたんですよ。」

2度目のギフトエコノミーの会で由さんのもとにやってきた宝物たち

このように、イベント会場に来てくださった方たちが、おしゃべりする中で同じ理念を共有し豊かな時間を過ごすことで、「自分も何かしたい!」という氣持ちになり行動へとつながるのですね。由さんの周りには、「私も何かできそう!」と心の奥に灯火が宿った人たちがたくさん溢れています。

下のボードは、一回目のギフトエコノミーイベントで使ったものだそうです。参加してくださった方が欲しいものやあげたいものを書いた紙を貼り付けてマッチングする仕組みです。次回のイベントでは連絡先も聞いておいてマッチングが成立したら連絡を取り合えるようにしたい、と改善したい点を教えてくれました。

和茶棚がマッチングしそう!


新しい暮らしを導く本

先ほどのイベントのタイトルにも使われていた『ギフトエコノミー~買わない暮らしのつくりかた~』という本がこちらです。

この本を由さんから借りて読んだ私は、すっかりこの「ギフトエコノミー」という世界観の虜になってしまいました。この本を翻訳されたのが服部雄一郎さんです。

友人が服部雄一郎さんのサステイナブルな生活が分かる動画を見つけてくれました。私もできることからやってみたいな、と思えるアイディアがたくさんの内容です。

noteもされていたので(instgramもあるそうです)早速読んでみました。

サスティナブルな生活は、人間と自然との「お互いさま」の良好な関係を築いていくために欠かせない実践ですね。

上のリンクでこの本の書評を書いていた人がおすすめしていた、鶴見済(つるみ・わたる)さんの『0円で生きる―小さくても豊かな経済の作り方―』。こちらも面白そうです。「小さくても豊かな経済」という副題にもありますが、心の豊かさはこれからなおさら重視される観点でしょうね。

生活に根付いた個人の行動が 世界中に生活アクティビストを増やす

今回、福島の大好きな友人の由さんに注目して、彼女の取り組みをつぶさにみてきました。そこからこのようなことが見えてきました。

自分自身がもつ「世界の痛み」をしっかり感じきりそれを表現すると、必ず共感する人が出てくること。

その人たちが自分たちのできることを出し合うことで、一歩目の前向きな行動となり、それが継続的な活動になり、ゆっくりゆっくり多くの市民に伝わっていくこと。

さらに、活動の回を重ねるごとに工夫をすることで、市民の皆さんが理念を実践に移しやすくなったり、行動する機会が増えること。

最終的には、それぞれの生活の中で、サステイナブルな生き方を実践する「生活アクティビスト」がたくさん生まれること。

このように、自分の生活の中で実践できるレベルの活動を多数展開することで、それぞれの活動に興味を持つコミュニティができ、さらにそのコミュニティ同士が有機的に繋がり合い、新たな展開を生み出すのです。

福島には、「生活アクティビスト」がたくさん住んでいます。なぜなら、「お互いさまの街ふくしま」は、人にも自然にもやさしい街だから。


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