いたずらっこ 世のために汗流す~高校生の秘めたる可能性~恩贈り記事Vol.84
前回の記事で紹介した高校の国語の時間にマレーシア人ハムザにしてもらった環境についての授業。
https://note.com/noriko_c_o/n/n27c429fefb62%0A
https://note.com/noriko_c_o/n/n09c0de88df13
どのクラスの反応もそれぞれの色があり、その違いを感じるのが新鮮でした。ハムザはどのクラスでも真剣に授業してくれたし、相手によって少しずつ伝える内容を変えていました。あの授業を生徒たちはどんな風に受け止めてくれたか、反応が楽しみです。
さて、ハムザはそのクラスの違いをどうとらえているか気になったので聞いてみました。
「どのクラスでの授業が一番よかった?」
ハムザの返答は「最後のクラス」。
私と組んで授業をしてくださっているもう一人の先生と予想しましたが見事に外れました。
最後のクラスというと、、、
通訳の言い間違いに大爆笑したと思ったら
途中からお昼ごはん後の睡魔に襲われて腕を枕にして休む生徒が多かった、あのクラスです。
ハムザは言います。
「ああいういたずらな子たちはマレーシアにもいるよ。耳で聞くのは好きじゃないけど、何かしようとすると一番動くよ。
マレーシアの大学生でそういう学生がいると、一緒にボランティアに誘って、障がい者の家に連れて行ったりするんだ。最初は手足がなくてびっくりするんだけど、一緒にご飯を食べようとなると、食べ物を渡したり何かしてあげようと行動するんだ。そういう子とは今でもつながりがあるよ。」
この話を聞いていたもう一人の先生は、こう言います。
「確かにこのクラスの生徒たちは農業実習になると一生懸命動くんですよ。」
「そうでしょう?だからああいう子たちが一番好きなんだ。」
ハムザは、自分の幼少期のつらい経験から、「人に自分のような悲しい思いをさせたくない。心から笑顔になってもらうにはどうしたらいいか」がすべての行動基準、思考の基準になっています。
だから、日本の高校で授業していても、「この子たちはきっと行動に移せる子たちだ!」と見抜いてくれていたのです。こういう心持ちやまなざしが教員には必要ではないでしょうか。私もハムザからたくさん学ばせてもらっています。
私だって高校時代はその年齢なりの態度をとっていた。先生方はそんな私を包み込んでくださっていた。そう感謝できるようになったのは随分後のこと。
恩贈りという言葉を使うとするならば、これまで私を包んでくれた多くの方からいただいた愛で、私も子どもたちを包みたい。
そう思える出来事でした。
ハムザの水やり 心に沁みていく
これまで福島と宮城の高校で授業をしてきましたが、ハムザの話を聞いている子どもの眼が変わりました。
真剣に話を聞き、感動して、ハムザのようになりたいと思っている生徒がたくさんいたのです。
寝ていた生徒がいても心配ありません。ハムザに出会ったという事実が、心のどこかに残るはず。
それにハムザが言うように、ところ変われば態度も変わって活躍する場、年頃があるでしょうから。
果報は寝て待て。のんびり花が咲くのを待ちましょう。日本の子どもが咲かせる花の根っこに、ハムザの水がかけられたから。