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悲嘆のプロセスと”Shang-Chi”

配偶者等親しい人を亡くしたときに人が辿るのらしい。

アルフォンス・デーケンというドイツの哲学者はその過程を、12に分類した。

1段階 精神的打撃と麻痺状態
2段階 否認
3段階 パニック
4段階 怒りと不当感
5段階 敵意とうらみ
6段階 罪意識
7段階 空想形成・幻想
8段階 孤独感と抑うつ
9段階 精神的混乱とアパシー
10段階 あきらめ‐受容
11段階 新しい希望‐ユーモアと笑いの再発見
12段階 立ち直りの段階‐新しいアイデンティティの誕生

…ええ、最愛の妻を亡くしたWenwu@トニー・レオンに戻って来てしまいました。苦笑

ネタバレしまくってますので、あしからず。




マレーシアで映画を観るのにかかるのはRM20≒500円程度なので、”Shang-Chi”もっかい観てもいいかなーと考えてたが、Wenwuパパのお纏め動画が続々とYouTubeに現れるためそんな気も失せてしまった。

(そーいや彼の特徴的な目の演技だけでなく、前髪のありなしでWenwuの心情が表現されていたのも興味深かった。前髪が乱れてると、心も乱れているらしい


もう本当に、この映画のどしょっぱなのシーン(下記動画0:00~0:40くらいまで)は笑かしてもらったぜ。一個大隊くらいの軍勢(500~600名程度)を率いているものの、リーダーであるWenwuが強すぎるので「あんたひとりでやれよ、後ろの軍隊要らんやろ」って裏手ツッコミを入れました。速攻で。

普通こういう小競り合い、大隊長自ら切り込んでいかんでしょうよ...






あーいやいや、悲嘆のプロセスの話でござった。


映画館で観ていたときは、

「1段階 精神的打撃と麻痺状態(大切な人の死に直面し、頭が真っ白になったような衝撃を受ける)」

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「2段階 否認(大切な人の死を認めることができず否定する)」
「3段階 パニック(死を確信するが、否定したい感情が合わさり、パニックとなる)」
「4段階 怒りと不当感(「なぜこんな目に合わないといけないのか」という不当感と、死に至った原因に対し怒りを感じる)」
「5段階 敵意とうらみ(やり場のない感情を敵意という形でぶつける)」

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「6段階 罪意識(過去の行いを悔やみ、自分を責める)」

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という境地からは一旦抜けて、


「7段階 空想形成・幻想(故人が未だ生きているように振舞う)」

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「8段階 孤独感と抑うつ(葬儀等が一段落して寂しさが襲う)」
「9段階 精神的混乱とアパシー(生活目標を見失いどうしていいかわからなくなる)」
辺りから抜け出せず、その心の隙を、封印中の最恐の魔物につかれて、復活に加担してしまったのだと思ってた。
でももう1度、これらの動画を見直すと、実はそうでもなかったりするのかな…とも。

実はもう、「10段階 あきらめ‐受容(置かれた状況を受け入れ、現実に向き合い始める)」に至りつつあって、でもまだ受け入れたくない気持ちもあって結局、伝説の里Ta Loに囚われている(と、魔物に思い込まされている)妻を助けにいくこと(=その里に攻め入ること)自体、もう止められない。


「母は死者である」と受入れが完了しているように見える息子は必死で、”She was gone””We need you”って引き留める(2:50辺り)。だって生者である自分たちを見てほしいよ。こっち見てよ、お父さん。もうお母さんは死んでるんだってば!

でも妻の死に目には立ち会えず、犯罪集団に襲われた死にゆく妻をただ見ていることしかできなかった力なき息子が許せなく(2:44辺り)、

”She told me I could change that I could leave my past behind.”(2:57らへん)

と、父は、拒絶する。

お、ここで助動詞”could”のもつ仮定の意味が生きてきますな。


3:11辺りで”I have to save her”と言い、幼き子どものように首を振るけれど、実は心の奥の奥の奥の奥のそのまた奥では、その"her"はもう帰って来ないと、うすうす感じているんじゃないのかな…
ここではまだその段階ではないのか。

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こういう動画編集のされ方をすると、そう思えてくる。






て、いうかさ…



全っっっ然飽きる気配がありませんな。
”Shang-Chi”とかトニー・レオンにな。
観たの、もう1週間前でしょ?
意外に飽きっぽくなかったっけ?


”Dune”もかなり引きずった方だけど、ここまでではなかったよね。




いやまぁなんてーか、こういう物語の中の人の気持ちをあれこれ考えてるのがおもしろくってたまらないだけですよ。その仕草やら表情、目つき視線、声のトーン、身振り手振り、衣装、とかとかとか。特にトニー・レオンなんて稀代の役者が演ずる、ね。

現実世界で日常的に接する人たちの気持ちをここまであれこれ読みまくると気疲れしてたまらんので、こういう架空のキャラクターにあそんでもらってるだけですよん。うふふ。




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