川の近くに住んでいるということ
今年も川での事故がニュースで報じられるたびに、ああ…と思う。
子どもの頃から多摩川近くに住んでいて、夏になれば父は釣り竿を持って川に釣りに行っていた。
とは言え本格的な釣りではなくて、川の底にある石を掴んで、その裏に川虫という虫がひっついているのを探して、細い釣り竿の針に虫を引っ掛けて、川の中に腕を入れて竿と共に腕を動かす。
自分はやったことがないので、わからないのだけど、それでハヤという魚が釣れる。上手いこといけばヤマメが釣れる。鮎は釣れたことがなかったし、鮎を釣るにはそれなりの道具と、あとはお金を払わないとならない。
川の浅い所に石を集めて即席の池のようなものを使って、父が釣ったハヤをビクに入れておく。
先に父が川に出かけて、お昼ごろパートから帰ってきた母が焼きそばかなんかを作って持って行って、子どもらと共に河岸で食べる。
帰る頃に、ビクに入れておいたハヤを作って置いた即席の池のような所へ放して、ハヤがどうやって逃げていくのか観察するのが、父の釣りの楽しみだった。私ら子どもらもそれが楽しかった。
まだ今みたいに夏の暑さが厳しい頃ではなかったからやれたのだと思う。
父に連れられて夏はよく川に行った。
深い所は深い深い緑色をしている。浅いところは水面から石が綺麗に見える。浅い証拠だ。
川の長れが早い所、深い所は見た目で分かる。
あとは経験だった。
川は美しい。けれど怖い所もある。
子どもの頃川の向こう岸に行こうと父と渡ろうとした時、穿いていたサンダルが脱げた。
あっという間に流されたけど、父はそれを追おうとした。
私は大きな岩にしがみついて泣き叫んだのか。
父が怖くて叫ぶことすら出来なかったのか。
いつの間にか歩ける深さから、肩まで平気で浸かってしまうような深さだった。必死に岩にしがみついた。
父が流されてしまう! と思ったけど、ビーチサンダルを父は掴んで私の足に嵌めた。
無くなった記憶がないから、流されず父は捕らえたのだろう。
そして私も父も生きている。
溺れそうになった人が、注意喚起で川の画像と共にTwitterで呟いていたけど、画像の川を見て思った。
ああ、この川なら自分なら絶対に入らないなあ。ということだった。
女性なら川の深さは、脹脛くらいが限界だとおもう。どこまでも浅い川であれば。川の流れが早くなければ。
雨の後の川の石はあっという間に苔がついて、ツルツル滑って足を取られる。
川に行く前後の天候を見ておく事もとても大事だ。
川は美しい。でも怖い。それは染み付いてる。
ちなみに画像の川は少し加工してますが、雨が降って数日後の川です。
わかりますか?
こういう川は石がとても滑って危ないので、浅い所でも気をつけて遊ばないと大変な事になります。