ショートショート 猟奇的な好奇心
「私には好きな人がいる。」
彼は独白を始めた。
話をまとめると、事件のきっかけは、日常のちょっとした歪みであった。
それがまさか、あんなことになるとは…。
「好きな人に少しでも見てもらいたかっただけなんです。」
彼の話は、チグハグだ。
そんな場所で、あんなことをしても、好きな人は見ていないというのに。
「多くの人から注目されれば、好きな人の目にもとまると思って。」
彼の感情の歪みは、どうやらちょっとしたものではないのかもしれない。しかし、誰にでも、注目されたい場面などはあるというのも、また確かなこと。
私は彼の話を聴いて、明日は我が身かもしれぬと、冷や汗をかいていた。
「…ちゃんと掃除しとけよ。」
私は彼にそう、言い残しておいた。
そこには、吹き出したコーラと、メントスの残骸が転がっていた。