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歴史から会計を学ぶ

※追記:ホームページ開設しました。2024.7.26以降はそちらにてブログを更新していますので、チェックしていただければ幸いです。

ここ数年、日本や世界の歴史に興味を持ち始め、自分なりにいろいろと歴史に関する本を読んでいます。

自分の歴史に関する知識は受験勉強で暗記科目として詰め込んだだけのものなので、なぜその事件が起こったのかとか、この事象にはどういう背景があったのか、ということは全く知らないまま大人になってしまいました。

最近世界情勢が非常に不安定で、ロシアウクライナ紛争・イスラエルパレスチナ戦争などが勃発しています。

表面的にみると、ロシアが突然ウクライナに侵攻を始めた、とか、ハマスがイスラエルにいきなり奇襲を仕掛けた、というニュースが目に入るのみで、TVなどで「センモンカ」なる方々かあーでもないこーでもないと論じています。

しかし、各国には深い歴史的背景があるわけで、そこに至るまでどのような経緯をたどって今に至るのか?ということを正確に理解せずに、現在の事象のみを語ったところでその本質はわかりません。

会計という分野も、同じような性質をはらんでいると思っていますので、今回はその辺をつらつらと書いてみようと思います。

「会計」の語源


そもそも「会計」という言葉はいつできあがったものなのでしょうか?

中国の古典に「史記」というものがありますが、ここに「計は会なり」という言葉が出てくるようです。これが「会計」は歴史上初めて文字としてあらわされたものと言われています。

「計」は「言を正確にする」、「会」は「増える、増大する」という意味がそれぞれあります。

私の解釈ですが、このことからすると、「会計」とはもともと「増加した事実・物事を正確に伝えること」という意味を持っていたと思われます。

これを現代に当てはめると、日々拡大していく国の経済あるいは企業の活動を、財務諸表という形で正確に伝えること、ということができるでしょう。

そしてこの「会計」という2文字が含まれる資格を有する我々公認会計士は「国あるいは企業の活動の結果である財務諸表を利害関係者が正確に理解できるように保証(監査)・サポート(アドバイザリー)する」という使命を負っていると言えるわけです。

公認会計士として業務にあたるうえでこういう言葉の成り立ちを理解していると、大切な役割を担っているのだな、と身も心も引き締まりますし、自分の仕事に誇りをもって業務にあたることができますよね。

歴史から会計を学ぶということには、こういったことを理解するという即工面があるわけです。

現在の会計教育

では、現在の会計に関して、私も含めどういう教育がなされてきているのでしょうか。

公認会計士試験でいえば、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法+選択1科目(経営学、経済学、民法、統計学)を勉強し、一定の点数を取得すれば公認会計士試験合格、一定の実務経験を積んで修了試験に合格すれば晴れて公認会計士登録が可能となります。

しかし、上記いずれの勉強の中にも、会計の歴史をひもとくような観点での勉強をやった記憶はありません。

専門的知識の詰込みはあったものの、会計とはそもそもなんであるか、どういう歴史的経緯を経て今の会計という制度が成り立ってきたのか、という点については、まったくと言っていいほど触れられていないのが現状だと思います。

これは会計の分野に限ったことではないですが、日本の教育はこの「歴史から学び取る姿勢」というのが致命的に欠けているように感じます。

これが欠けることによって身につけられなくなっているのが、公認会計士としての心構えやモラルなのではないかと私は感じています。

先人たちがどういう思いで今の会計制度を作り上げてきたかを知れば、そこに感謝と尊敬の念をおぼえ、自分たちも恩返しのために社会貢献したい、という気持ちが芽生えるでしょう。

逆に歴史的によろしくない経緯で成り立っている点があることに気づいたとすれば、これを改善して自分の将来の世代にはよりよい形でつなぎたい、という意識にもなるでしょう。

いずれも最新の会計基準や法令を知識として理解するだけでは養うことのできない発想です。私もこの点は歴史をひもとかないとだめだ、と思い、勉強しなおしているところです(まだまだですが)。

参考書籍


会計に関する歴史を取り扱っている書籍はあまり多くない印象なのですが、2つほど私が読んだものをご紹介します。ご興味があればぜひ読んでみてください。

1.会計教育の歴史と現況

日本公認会計士協会編。会計基礎教育の必要性と、明治自体から現代にかけての日本における会計制度や教育に関する経緯が書かれれているものです。

2.会計の世界史

田中靖浩氏 著。「会計エンタテインメント」と表現されているように、難しいことは極力省き、数字や複雑な会計用語は一切使わず、「会計の歴史ツアー」という観点から、会計ギライ・歴史ギライの人でも気楽に楽しめると思います。

会計をもっと身近に感じてもらいたい


私はこれまで会計・監査の世界にそれなりに長い期間関わってきました。

関わってみて感じたことは、会計の世界を知っていると周りの世界がまったく違って見えるということです。

特に世間の経済・金融ニュースは、まったくなじみのない方からすると本当にちんぷんかんぷんですが、これが本当にもったいない。

専門用語をや知識をゴリゴリ入れる必要はないですが、初歩的なことを理解しておくだけでも視野が広がり、自分の人生を豊かにすることができると考えています。

私はそのような会計になじみのない方に、1人でも多く何か会計を身近に感じてもらえるお手伝いがしたい、と考えています。独立して軸にしていきたいことの一つです。

まだ何かをお伝えできるほどのノウハウやコンテンツはないのですが、今後さらに勉強し、ぜひ会計の歴史や世界を知ってもらえればと思います。

~編集後記~
・ペン字
・「IFRS国際会計実務上巻」 EY 第一法規 第4章 売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業
・「現代語訳 学問のすすめ」福沢諭吉 著 斎藤孝 訳 ちくま新書
・6月から業務委託で開始予定の業務に関する打ち合わせ(独立して初の業務となりそうです)
・ケージの屋根上でまどろむ猫

目つき悪かった(ウメコ)



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