「神を撃ち落とす瞬間」から解釈する異聞帯のディオスクロイ

※注意 この記事はFate/GrandOrder 第二部5章 神代巨神海洋アトランティスと星間都市山脈オリュンポスのネタバレを含みます※





これは割と重要な余談かつ前置きです。先日、FGOのサントラ4が発売されましたね。2部5章の至るところでアピールされてきた「神を撃ち落とす」という単語、その言葉を見て改めて「異聞帯のディオスクロイはキリシュタリア・ヴォーダイムという人間に撃ち落とされた神なんだ、カルデアの人間が出逢う頃には彼らはもう堕ちていたんだよな…」としみじみ感じ、この文章を書きました。(もともと友人に送りつけた文面をちょこちょこ変えたので、日本語がおかしいかもしれませんが…。)これは私が異聞帯のディオスクロイについて3か月間考えに考えてきた彼らへの解釈の一端であり、過激な感情と妄想であり、恋文であります。“星見”のカルデアが、天空にて輝く星だった頃の、堕ちる前の双神を目にしていないという事実が、筆舌に尽くしがたい感傷を呼び起こします。

※ディオスクロイのいちファンが抱いている、妄想の果てに拗れて固まって壊れて歪みまくった感情の焼却場です。あと書いている人間はかなりの変態なので、そこのところをひとつ、よろしくお願いいたします。※

今回は、「キリシュタリア・ヴォーダイムという人間によって既に撃ち落とされていたディオスクロイ」と「オリオンという人間に今まさにここで撃ち落とされようとしているアルテミス」の対比により、神と人、堕ちた神霊の観点をごった煮にしながら異聞帯のディオスクロイについて感情を吐き出していきます。この文章はただそれだけに尽きます。

代巨神海洋アトランティス。この壮大な冒険譚には、人間オリオンが神アルテミスを「撃ち落とす」その一瞬に全てが懸けられた愛に溢れたドラマがありました。
間都市山脈オリュンポス。旧き神霊であったディオスクロイは、異邦から来たキリシュタリア・ヴォーダイムという人間に「撃ち落とされた」のち、その在りようによって彼らはカルデアの前に幾度となく立ちはだかりました。

ほんとうに紙一重の糸の張り方、感情の通し方ひとつでギリシャ異聞帯の神はどれもこれもおぞましい殺戮兵器となり、同時に、ただ壊れて悲しい残骸ともなり得ます。これは機神ではないディオスクロイにもいえることでしょう。
これほどいびつな神々の中で、唯一、愛するものによって救われたのがアルテミスでした。オリオンとアルテミスの独白・感情には、その他のギリシャ異聞帯の神々にも似通ったものが存在している、ということは想像に難くないと思います。

それでは、はじまりはじまり~~

はじめに。
以下、Fate/GrandOrder2部5章アトランティスより、オリオンとアルテミスの独白部分を一部抜粋、簡略化して記します↓


超人オリオン
「そうだ、お前は壊れた、壊れてしまった。
もうとっくに限界を迎えていたのに。
もうとっくに崩壊していたのに。
何の楽しみもなく、1万年の間、空を漂い続けた。
お前は、女神であるが故に。助けを求める概念そのものを失っていた。」
「そのことに気づかず、おまえを傷つけたくないと拒絶していた俺が愚かだった。
…そして。誰も傷つけたくない、そう願ったおまえも愚かだ。」
「きっと、そこが反人類史との致命的な違い。
傷つけても、傷ついても、傷つけられても。おまえたちは地上に降りるべきだったんだ。」
(だから、アルテミス。覚悟しろ。俺は今から、おまえを傷つける…!)

アルテミス
自分のこともオリオンのことも理解できない
オリオン
「おまえが端末を島ごと吹き飛ばしたのは、まったくもって論理的じゃない。
あれは、おまえの感情。おまえの怒り、おまえの…妬みだ。
ただの機械であれば、抱かないはずの感情だ…!
ならば、心あるおまえに1万年は、あまりに、あまりに長すぎる…!
おまえが、そんなナリで。俺が耐えられるとでも思ったのか?」
アルテミス
これは憎しみではなかった
労りがあった、憐憫があった、同情があった、悲哀があった、悲嘆があった…愛があった
これこそが反人類史の特性、自分たちとの致命的なズレ
彼は、神とすら愛し合った
蔑んでいい事実だ 神が堕ちるなど、あっていいことではない
しかし、だけど…ああ!
羨ましい
そう思った瞬間こそが、真なる敗北だった
アルテミス
「いつか私が神として困ったら、私を助けてくれる?」

「やっと…眠れる…のね…」


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<補足>
ここで、私の「アヴェンジャー」に関する解釈を簡単に述べておきます。
新宿で垣間見えたアヴェンジャーの物語を見ると、ジャンヌオルタは「復讐したかった張本人を殺してさえも、恨みや復讐心が消え去らない」などと言っていました。ロボもひたすらヒトを狩っていました。私は、復讐者に対して、ざっくり表現すると「復讐を果たしても復讐心が晴れることはない、永遠に憎しみと恨みの渦に閉じ込められた悲しい存在」という認識を持っています。
異聞帯のディオスクロイは人間への復讐心に縛られていた存在であったのだろうと思います。しかし、クラスの基礎を受け持っている(と推測される)妹はセイバーであり(異聞帯では妹も復讐心を抱いていたとはいえ)、戦闘で一度もアヴェンジャーとして登場してないところを見るにやっぱ兄の方が復讐者の純度が高いと推察できます。(新宿のときみたいに最後の戦闘で双子のクラスがアヴェンジャーになるんじゃないかと思った人、私以外にもいませんかね)

補足が長引いてしまいましたが、何が言いたかったかというと、ディオスクロイ・カストロはあの異聞帯で復讐心に捕らわれたままで。「もう一歩も進むことができない=停滞しているオリュンポスの人々と同格」という見方もできるわけで、その隣にいる妹は神…あっ(察し
(あんまり双子の復讐者について語ると長いのでこれにて割愛します!)

参考:pixiv百科事典「アヴェンジャー」の項目より(https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%28Fate%29)

余談ですが、「クラス補正に歪まされていても、英雄としての善性を忘れていない」という表現、孤高のアヴェンジャー達の高潔さを表現しているようで好きな表現です。積極的に使っていきたい。

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話をもとに戻します。そう、オリオンとアルテミスの愛にあふれたドラマです。
この、先ほど抜粋した部分、神が神たる異聞帯に歪められた、「旧き“神霊”のサーヴァントであるディオスクロイ1騎」に対しての解釈と、「ヒトへ堕ちた兄と神であるままの妹の2人の関係性」への解釈を考えるときにゴリゴリ刺さってくるんです。私の主観では。
以下、オリオンとアルテミスのセリフを逐一異聞帯のディオスクロイに当てはめて解釈し発狂していきます。

ここまで読んでくださった方は少なからず異聞帯のディオスクロイに悲しみを感じているのでは…と思いますので、よければぜひ。一緒に叫び狂いましょう。



「そうだ、お前は壊れた、壊れてしまった。
もうとっくに限界を迎えていたのに。
もうとっくに崩壊していたのに。
何の楽しみもなく、1万年の間、空を漂い続けた。」

一度死んでいるうえ、復讐心に囚われて歪んでいるディオスクロイ・カストロはもうとっくに壊れていました。殺戮を楽しんでいるような描写はあるけど、語られていないところで、カストロの中に苦しさはあったのでは…と思います。理性と判断力はそれなりに残っているので、見えないところできっと、ほかのアヴェンジャーみたいに復讐心に灼かれていただろう…と。(FGOのディオスクロイ・カストロはそもそもは神霊なので、ここまで人間らしいかどうかはもろもろの匙加減によると思いますが…。)
そしてこれは個人的な願望(闇)なんですが、人殺しを楽しいと錯覚しないと精神を保つことができない状況だった、みたいな本当にギリギリのところで踏み外してたらなお危うくてサイコーです。



「お前は、女神であるが故に。助けを求める概念そのものを失っていた。」

これはもう、「助けを求める概念がディオスクロイに…?」と考えるだけで発狂です。発狂。
そもそも神霊であるディオスクロイ・カストロが助けを求める概念をどこまで持っていたか定かではないですし、仮にカストロが助けを求めたとしても「お前が女神」ではなく、「妹が女神」なので、あの異聞帯ではディオスクロイ・ポルクスはきちんとカストロを助けてやることは絶対にできないんですよね…。おいしさによだれが出ます。
あと、オリュンポスの他の機神と若干違い、土着で、昔から(恐らくずっと)二人ぼっちだったであろうディオスクロイ、どう考えても他に助けを求められる相手がいない。カイニスとは相性が悪い、頼みの綱のキリシュタリアも「そこまでする余裕なかった」と悔やんではいるものの、実際に行動を起こすことができた訳ではない…。そう考えると本当に八方ふさがりで、ディオスクロイが兄妹そろって堕ちるところまで堕ちたのも仕方ないと頷けます。誰にも助けてもらえず、最愛の兄様/妹を助けることも叶わなかったディオスクロイに、言葉が出ません。
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これは余談ですが(余談大好き)、私はキリシュタリアにディオスクロイが殺されたとき、「カストロがポルクスを庇って死ぬ」という生前の逸話特攻を突かれてると思い込んでいます。そしてポルクスがゼウスにカストロの復活を懇願し、ディオスクロイはサーヴァントとなったのではないか…と。詳しいことは分からないですが…。
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ただ、この「カストロがポルクスを庇って死んだ」ということまで考えると更にまずいことになります!「妹を庇って死んだ=妹を救おうとした」カストロはポルクス(の心?)を救うことができず、そしてポルクスもカストロを救うことができないというまさに死の瞬間に始まった絶望のデスループ。
本来、「カストロが助けを求める概念を失っている、ないし求められる状況にない」という事実に気づくべきであった(人間のオリオンは気が付いた…)はずの妹が神性であったためそれが叶わなかったのだろうと思うと…。カストロの「妹よ。俺は間違っているか?」という問いかけ。本当は、どんな言葉が欲しかったのでしょうか………もしかすると………ね。



オ「そのことに気づかず、おまえを傷つけたくないと拒絶していた俺が愚かだった。
…そして。誰も傷つけたくない、そう願ったおまえも愚かだ。」


ここはオリオンの心の迷いですね。人間だからオリオンはこの迷いの先に進むことができたけれど、あのえぐいギリシャ異聞帯で神として縛られたポルクスは、カストロをいさめることを一度もせずにひたすら追従していきますね…間違っていると心の底では理解していても、カストロの復讐心に水を差すことが、カストロを傷つけることだと解釈していたのであれば。ポルクスが一度もカストロを否定しなかったのには、「カストロを傷つけたくない」という感情が潜んでいたからかもしれないですね…。涙



「きっと、そこが汎人類史との致命的な違い。
傷つけても、傷ついても、傷つけられても。おまえたちは地上に降りるべきだったんだ。」


汎人類史、マイルームのポルクスはすぐにカストロを叱ったり諫めたりしています。異聞帯のディオスクロイと汎人類史側に召喚されたディオスクロイ、致命的な差は「兄が復讐者であるかどうか」ではなく、「ポルクスが兄を諫める(傷つける)心意気があったかどうか」なのではと思います。異聞帯のポルクスは、追従が結果的にカストロを苦しめる可能性は…考えずに…いたのでしょうか。
神の考えることは私には分かりません。が、わからない止まりではディオスクロイに歩み寄ることなどできませんので。これからも雑魚マスターなりに解釈を拗らせていきましょう。
オリオンは神も地上に降りるべきだったんだと独白していますね…。対して、堕とされた恨みを持ち続けていたディオスクロイは。オリュンポスで出てきた神性持ちの敵(ちょっと、厳密な表現ではないけれどカルデアへの意識などからあえてこう言わせてもらいます。)の中で唯一、地に足をつけて戦っていますね。うううううううううううう!!!!
オリオンが間違っていたわけではありません。キリシュタリアがディオスクロイを撃ち落とすときに問題があったわけでも、きっとないはずです。なぜでしょうね。どうして地に堕ちたディオスクロイはあんなにも人間を憎んでいたのでしょうか。ここに突っ込むとそれだけで1万文字超えそうなので、この話はまた次回にいたしますが。地上に堕とされた天空にて輝く愛…その字面のごとく、一筋縄では読み解かせてくれないようです。



自分のこともオリオンのことも理解できない
(バグみたいにひたすら「どうして」と矛盾を連打してたアルテミス)


ディオスクロイは機神ではないので、本当にそうか確証はないけれど。でも妹は確実に「バグって」いた。兄のことが理解できなくなった、という独白シーンがありますね(愛している。過去未来現在の誰よりも何よりも。という表現、最高に激重で狂気で愛で超好き)。とにかくやっぱり、神(ポルクス)はヒト(カストロ)を理解できていない…。あのギリシャ異聞帯では無理があったのでしょう。
兄が妹を理解していたかは…どうなんでしょうか。もしかしたら異聞帯では、ポルクスのカストロへの理解よりも、カストロのポルクスへの理解の方が詳しかった…という可能性もなきにしもあらずですね…奥が深すぎてマリアナ海溝ブラックホールです。まあ、ただカストロはマイルームボイスでもトンチキなことを言っているので、ポルクスのことは確実に理解している部分はあるけれど、全て理解しているか微妙なところですね。



「おまえが端末を島ごと吹き飛ばしたのは、まったくもって論理的じゃない。
あれは、おまえの感情。おまえの怒り、おまえの…妬みだ。
ただの機械であれば、抱かないはずの感情だ…!」

ディオスクロイがカイニスに妬みを感じている描写がありました。ただの機械、無機質な神であれば(あるいは、サーヴァント化する前のディオスクロイであれば)、持たないはずの感情をごちゃまぜに持っていて。「神として振る舞っているのにヒトみたいじゃないか矛盾野郎」みたいなことをカルデアが言っていたけれど、本当にそうなんですよね。だってさ、おかしいよ。カストロがいればそれでいい、ポルクスはそう独白しているはずなのに。それなのにディオスクロイが他者に妬みを感じているなんてもう「わたしたちには足りないものがあります」て言っているようなものですよ!?!?!?何が足りなかったんでしょうね。チカラや威厳でしょうか。ではどうして、ちからが欲しかったんでしょうか。…ここも次回にまわします。



「ならば、心あるおまえに1万年は、あまりに、あまりに長すぎる…!
おまえが、そんなナリで。俺が耐えられるとでも思ったのか?」


一度死んでお互いを理解する心をなくした双子には、もう一瞬たりとも正しい形で息ができる瞬間は訪れないのでしょう。そんな状態ではきっと、一秒生きていることさえも苦しいはずです。そしてお互いがそれぞれおかしくなっているけれど、違和感を感じつつも耐えられないはずの状態をそのままにしているという…。特にポルクスにとっては、たとえ苦痛が伴っていたとしてもカストロと共に在りたいというのがただひとつの願いだったのだろうと思います。絶対に一緒なディオスクロイ…。
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余談、かつ、オリュンポス本文の矛盾について
ディオスクロイに関連するオリュンポスの文章には矛盾が生じています。一万年前から人殺しを楽しむ殺戮兵器の双子であった、という感じでマカリオスがディオスクロイに怒りを露わにしていますが、ディオスクロイが人間に対して復讐心を抱いたのはキリシュタリアに殺されたあとなのでおかしいです。矛盾です。
親を殺されたのであれば仕方はないかとも思いますが、第四のマキアではディオスクロイはゼウスの命令に従って敵対勢力を制圧していただけのはずなので、それを楽しそうと捉えるにはやや私怨が強いのでは、と思います。もしくはライターの確認ミス。ここすごく理不尽な感じがするから修正が入らないかなぁ…という文句です。なんにせよ、ディオスクロイは復讐心に駆られたまま一万年もの刻を過ごしていたわけではないけれど、復讐心に駆られてしまったあとは一瞬息を紡ぐのさえも苦しかったのではないかな、という私情を挟んだ解釈です。
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「これは憎しみではなかった
労りがあった、憐憫があった、同情があった、悲哀があった、悲嘆があった…愛があった」

人間(オリオン)の愛は神(アルテミス)を救うのに、神(ポルクス)の愛が人間(カストロ)を救うことができないというのが最高に絶望的ですね。異聞帯のディオスクロイ、考えれば考えるほど詰んでるのに、それなのに歪んだ愛憎だけで2人だけの世界がまわっていたという事実が静かに心に突き刺さります。そこが天空でも地上でも地獄でも構わず、変わらず共に在り続けるという強い結びつきだけが救いです。



ア「これこそが汎人類史の特性、自分たちとの致命的なズレ
彼は、神とすら愛し合った」


人間と神の双子っていう組み合わせに堕とし込まれた、元・神霊。セントエルモの火。汎人類史側では神と人は愛し合えた、つまりこの言葉の裏をとれば「ギリシャ異聞帯では神と人は愛し合えない」ということになります。やばくないですか!?!?!?あ~~~んなにクイック攻撃時にチャージ増加で宝具連打で天空にて輝く愛を自称していた双子が…???神霊という形と、神と人の双子という形のはざまで膠着状態のディオスクロイ…人前でいちゃついたりしていたはずなのに…その愛は本当に…通じ合っていたのかしら…その愛は正しい形だったのかしら…その愛は…相手を…苦しめるだけの形に…なっていなかったかしら…うっ…ううううううううううううううううううううう。
そして、これは個人的な願望②なんですが。
ポルクスの愛が、確かにカストロを苦しめた瞬間が存在していて欲しい。



「蔑んでいい事実だ 神が堕ちるなど、あっていいことではない
しかし、だけど…ああ!
羨ましい
そう思った瞬間こそが、真なる敗北だった」


さっきも言った神が抱く嫉妬心の話も絡んできますね。神霊ディオスクロイはふたりとも「神が堕ちるなどあっていいことではない」と思っていたでしょうし、それでも汎人類史では後世の伝説によってカストロは堕ちているし…。なんなんでしょうか本当に。あんなに最期まで2人の世界がまわっていたのに、あんなにいつも2人で勝ち組な雰囲気を醸し出しているのに。どうして敗北を喫したんでしょうか。ここまでくると神の在りようをこうもゆがめたギリシャ異聞帯へ復讐心が湧いてきますね。
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先ほど少し触れたカストロがポルクスを庇って死んだという余談の続きですが、一説では、カストロが死んだあとポルクスがゼウスに懇願してカストロと自分を星座にしてくれと頼んだというものがあります。異聞帯でも、カストロを生き返らせてください、と本当の父親などではない機神ゼウスに懇願したポルクスが存在していたのでしょうか…わりとあったんじゃないかなと思っています。幻覚ですけれども。ええ。
ちなみに一説では、ポルクスが不死身の体を半分に分けて半分をカストロと共に天で、半分は地下の冥土で過ごすことを双子を星座にするための条件としてゼウスが示す(うろ覚えなので間違っているかも…)というようなものがあった気がします。どんな地獄の炎にあぶられたとしても、兄様と一緒にいられないことの方が辛いんでしょうね…ポルクス。たとえ兄が壊れていたとしても絶対に離れたくはない。そんな過激な一面が垣間見えます。一周回って、「 \かわいー/ 」と声をかけたくなりますね!
異聞帯のディオスクロイ、もう本当に神と人とその在り方がぐちゃぐちゃの、周囲を巻き込み大炎上するスクランブルエッグ。



「いつか私が神として困ったら、私を助けてくれる?」

さっきも書いたような気がしますが、あんなにあふれるほどの愛があるのにお互いを救うことができない、むしろ首を絞めてさえいる…そんな破滅的な愛情を持ちつつも、絶対に一心同体という形を保っていた異聞帯のディオスクロイが大好きです。一生ついてゆきます。どうしてこんなに光り輝く星なのに、闇に呑まれて愛を散らすんでしょうか。
これは妄想なんですけど壊れる前のディオスクロイが「困っていたら助け合おうね」と何度もお互いで確認していたら、ほんとうに悲しい顛末だなぁと…。口に出さなくてもお互いを助けるのは暗黙の了解だと思いますが…。



「やっと…眠れる…のね…」

これはディオスクロイ・カストロがマカリオスとアデーレのセリフを聞いていて消滅を選び取った(私にはあの演出はマカリオスとアデーレがディオスクロイの霊核を破壊したというよりは、あのオリュンポスの双子の言葉を聞いて、共有していた霊核の一部分を保つことをカストロが放棄したように見えた)のは本当に、このアルテミスのセリフと同じな気がします。マカリオスとアデーレの言葉が、ディオスクロイの霊核を打ち砕いた。アルテミスは、まだ兵器として存在する余地はあったにも関わらず、全ユニットを停止しました。動機は違えど、ディオスクロイも、まだ活動持続の余地はあったけれど霊基を維持することを手放したのではないかな…と。あの消滅光のタイミングを見るとそう思います。
復讐心に囚われてもう先がないカストロが、その歪んだ在り方を取ることをあの瞬間にやめたんじゃないか…と…。それに対するポルクスは最期のセリフまでずっと「兄様…」で。その今わの際にポルクスは兄様を理解できたんだろうか…できなかったんだろうな…まだずっとカストロと一緒にいたいという気持ち、兄様が消滅を選んだという事実に「兄様…」て言ったのでしょうか。どうして。あんなにくっついているのに理解し合えないのでしょうか…。
だってふたりとも気づいていたでしょう?マカリオスとアデーレに向かって「先はない」と投げかけた言葉、それが自分たちにブーメランな自覚があったでしょう…キリシュタリアに殺された時にもう自分たちは終わっていたのだと本当は理解していたの…?もうむり。死にます。
そして何より、そのタイミングで消滅を選ぶカストロが「私は(復讐心に囚われたまま)先に進めなくてつらかったです」と言っているようで。カストロの独白は一瞬もありませんが、その心の中はどうなっていたんでしょうか…。

ディオスクロイの幕間の物語で何かが明かされることを祈るばかりです。


…はい、短いですが、ここでオリオン・アルテミスの言葉から解釈していくシリーズは終了です。

異聞帯のディオスクロイ、考えれば考えるほどしんどいのでそのうちまた書き散らかします。ありがとうございました。




最後にもうひと語り。3か月経ちましたが、オリュンポスの初見の感想(ディオスクロイの登場を楽しみにしすぎていてディオスクロイの登場シーン以外あんまり記憶がありません)を少しだけ。読んでいただかなくて結構なほど些細なものです。




こう、敵側として出てくる二人組キャラってわりと「お互いが傍にいるのが当然すぎて見えていなかった」という、感謝の気持ちとかそういうキラキラしたまばゆい感情を忘れていて、そこを主人公とかに突かれて「あぁ…そうか…」みたいになって死ぬキャラ多いじゃないですか…(多いかどうかは知りませんが、ありがちパターンに落とし込まれるとそうなりがち、道の踏み外し方として話が作りやすい王道な要素があるので…)?
オリュンポスのCMでマカリオスとアデーレを見た瞬間に「あ、この2人がディオスクロイのこと殺すんだな…でも物語で一回しか出てこない礼装枠のキャラ(言い方が失礼ごめん)がサーヴァントの双子にきょうだい愛が勝っているとかだったらありがち&そんなの嫌だすぎて発狂するんですけどもうひとひねりありますよね?」と不安でした。立ち絵の時点でディオスクロイに肩入れしまくりだったので…。FGOの王道と覇道の組み合わせみたいな感じがたまに度肝を抜いてくるからそこに期待してたけどあんまりそんなこともなかったかなぁ…と、ちょっと落胆してへこみました。
でも、その展開のなかでひとつ胸を打たれたのが、異聞帯のディオスクロイは確かにお互い見えなくなっている部分も多々あったけれど、それでも、その双眼にしっかりとお互いの姿が映っていたことです。「いるのが当たり前すぎた」なんていうことは全くなくて、むしろ「相手がいないことに耐えられなかった」に重きを置いて愛情が爆発していたところがとても好きです。「あぁ、形はどうあれ彼らは間違いなく無数に存在する愛の形のひとつなんだ…」と。やはり間違いなく彼らは天空にて輝く愛なんだ…てなりました。

はい。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。



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