「クラウド監視社会」はなぜ訪れたか?
こんな記事が目に止まった。
基本的に社会学、教育学、医学などの人間を直接扱う分野では、学問であろうがビジネスであろうが、今は同じ問題が起きる可能性が高い。
【クラウドの中身は見られている】
結局、目的は何であるにせよ、クラウド事業者は利用者のコンテンツを覗いているのだから、機密情報を扱う場合は気軽にクラウドを使わないようにしたほうがいい。具体的に言えばGoogleのGmailを含むあらゆるサービス、SNS、などなどがそれに当たる。厳密に言えばGmailでの送受信データやLINEの送受信の中身なども、誰かに見られていると思ったほうがいい。
【電話も聞かれている?音声通信も?】
昨今は音声データをテキストにする、ということも簡単にできるのだから、電話もその例外ではない、と言っていいだろう。ましてや、LINEやFacebookメッセンジャーなどの電話機能も同じだと思ったほうがいい。今はされていなくても、将来される可能性はある。ただし、電話は「電気通信事業法」の「通信の秘密」が、事業者によって法律で守られており、電話だけなら「聞かれている」可能性は、法律的にはない。
【クラウドは大家のいる「借り物」】
クラウドは「自分のもの」ではなく、他人のものを「借りている」のであり、所有者はあなたではない。そこに置かれているデータは全て他人に見られている可能性があり、その監視をしている人は誰かも利用者はわからない。前記の記事のような反社会的コンテンツと見做される恐れのあるものを、反社会的であると判断するのは、その知識の無い、あなたの立場を全く分からないアルバイトの学生かも知れない。
【クラウドが扱うデータは「公共に送信され蓄積されたもの」と見做すから】
こういうことがなぜ起きるのかというと、クラウドを通るデータは「クラウドにアップロードしたもの」と言うことになり「クラウドにアップロードしたものは、公共スペースに蓄積され公開されたもの(公開される可能性のあるもの)」という、そういう事業者側や、事業者を管理する国家政府が考えているからなんだね。つまり、クラウドを使う、と言うことは「クラウドとはそういうものだ」と思って現在は使うしかない。そういう法律の建付けになっているからなんだね。つまり、使う側も、それをわかって、クラウドを使う必要があるんだね。会社の機密データなんかをgmailなどで送受信、というのさえ、厳密に言えばやめたほうがいい。
【クラウドは公共に公開されるおそれのある「倉庫」だから】
クラウドは、データが一時的に通過する「通信」だけではなく、一時的にデータを貯める「倉庫」になるから、通信事業者(クラウド事業者)とはその倉庫を持ってそれを管理している、ということになるので、それは「通信+データ倉庫」業だから、法律的な通信の秘密はこの「倉庫」の部分には適用されず、倉庫には倉庫の法律が適用される。具体的には、物品を入れる倉庫には「爆発の可能性がある危険物」が入るおそれがあるから、倉庫管理者は倉庫の中身を知っていなければならないわけで、倉庫の中を覗き見するのは「義務」になる、てことだね。
【本来であれば】
本来であれば、クラウドにパスワード等で個人利用かそれに類する利用しかできないものとして「鍵がかけてあるもの」は「公共に送信されたもの」とは見做さない、というようにしてあればいいんだけれども、それを明確にうたっているクラウド事業者は、今は少ないんですよ。
今のところ、クラウドを使う限りにおいて「監視されている」社会からは、私たちは逃れようもない。それが現実なんだな。