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【資格】Professional Scrum Product Owner™ I Certificationを学習して、得られるもの
はじめに
先日、Scrum.orgの認定資格の一つで、スクラムの知識やプロダクトオーナーの基本的な知識を証明するための、Professional Scrum Product Owner™ I Certification(以下PSPO I)を取得しました。
PSPO Iは下記のような資格で、とりわけ新人プロダクトオーナーやプロダクトマネージャーにお勧めですが、私のようにプロダクトオーナーを支援するスクラムマスターやアジャイルコーチにも大変お勧めしたい資格です。
・1回の試行につき200ドル
・合格点: 85%
・制限時間: 60分
・質問数: 80
・形式: 複数選択、複数回答、正誤
・無料のCredlyデジタル認証情報が含まれています
・推奨コース:プロフェッショナル スクラム プロダクト オーナー
・実践評価:スクラムオープンとプロダクトオーナーオープン
・パスワードには有効期限はありませんが、1回のみ有効です。
・生涯認定 - 毎年の更新料は不要
そこで、今回は私がPSPO Iを取得するために学習して得られたことを通して、PSPO Iを取得すると何が得られるかをまとめていきます。
スクラムをより正確に理解することに役立つ(→それは、スクラムをする際もしない際も役立つ)
プロダクトオーナーについて体系的に理解することに役立つ
プロダクトオーナーの日々の振る舞いを想像できる
資格取得を通じて得られること
1. スクラムをより正確に理解することに役立つ(→それは、スクラムをする際もしない際も役立つ)
はじめに、以下の質問について少し考えてみてください。
(何を隠そう、自分が間違えた問題です......)
プロダクトオーナーは、プロダクトバックログアイテムの並び替え作業を誰かに移譲できる?
プロダクトオーナーは、開発者と兼任できる?
10人を超えたスクラムチームでも、必ずしも分割しなくても良い?
私は全てに「いいえ」と答えましたが、答えは全て、「はい」です。
PSPO Iに限らず、Scrum.orgによる認定資格はすべて、スクラムガイドに則った、かなり厳密なスクラムの理解が問われます。
厳密なスクラムの理解、というと、(そういうところがアジャイルコーチの嫌なところなんだよ……)という声がどこからか聞こえてきそうです。
厳密にスクラムを理解することお勧めしたいのは、もちろんマウンティングや揚げ足を取るためではなく、スクラムの理解が曖昧なことで、スクラムに対するハードルを自ら上げてしまい、ウチでは出来ないと諦めたり、逆にスクラムへのヘイトを溜めたりする状況を様々な場所で見てきて「もったいない」と感じているからです。
たとえば、スクラムガイドには「プロダクトオーナーは1⼈の⼈間であり、委員会ではない。」と書かれています。そこで、一人のプロダクトオーナーが何でもしなくてはならないと思い込み、そんなスキルと体力を持ったスーパーマンはウチにはいないとスクラム導入を見送るケースを見てきました。ですが、スクラムガイドを注意深く読めば、かなり戦略的な作業を含めた様々な作業も他の人に移譲できることが分かります。
このようにスクラムの可能性と柔軟性を正確に理解することで、より効果的にスクラムを導入することに役立ちます。と同時に、スクラムの限界や向いていない状況を理解することで、向いていない状況でスクラムを使って「役に立たない」、「重すぎる」、「意味ない」とヘイトを溜めるシーンも減ればと願っています。
2. プロダクトオーナーを体系的に理解することに役立つ
新米プロダクトオーナーにとって、プロダクトオーナーのやることが何ぞやという全体像が掴みづらいのが最初に越えるべき大きなハードルです。
プログラマー、QA、デザイナー、スクラムマスター、そして他のあらゆる職業と同様に、プロダクトオーナーに求められる知識とスキルもアフリカのジャングルのように広大です。プロダクトマネジメントの領域はもちろん、IT技術、ドメイン知識、そしてスクラムの領域の知識やスキルも求められます。
さらに、プロダクトオーナーを支援するスクラムマスターにとっても、プロダクトオーナーの全体像を知っていることは不可欠です。支援する際、相手に何が不足していて、何を伸ばしたいかということを掴むためにも、全体像が必要だからです。
PSPO Iを学習するためのリソースは、「Suggested Reading for Professional Scrum Product Owner™ I」というページにまとまっていますが、 ここに書かれたブログや動画を読んでいくと、大まかですが、かなり説得的なプロダクトオーナーの知識やスキルの全体像としての地図を示してくれます。
特に、プロダクトマネジメントオニオンや3つのVは素晴らしい補助線なので、是非目を通してみてください!
(また、少し宣伝になっちゃって恐縮ですが、先日出た『プロフェッショナルプロダクトオーナー』も、お勧めですよ〜)
3. プロダクトオーナーの日々の振る舞いを想像できる
プロダクトオーナーになった際、スクラムガイドを読んでも一番振る舞いが想像しにくいのがプロダクトオーナーです。
また、スクラムを実施する際に、困り、そして本当に試されるのは、順調に物事が進んでいる時ではなく、教科書に書かれていないような問題が起こった時です。
その点、PSPO Iの問題では、"HARD THINGS"というと大袈裟ですが、以下のような「例外的」(かつあるある)なシチュエーションにどう対応するかという問題が結構出てきます。これを解くことで、プロダクトオーナーはどういうマインドセットと価値基準で物事を判断し、どう振る舞えば良いかを徐々に想像していくことができます。
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