じむ つづき3
大学2年生の夏だった。
新学期が始まる。
このままどっぷり浸かってオーストラリアに残る?
でものこってどうするの?
何をする?
当時、私は「手に職をつける」事に脅迫観念すらもっていた。
生活力のない女にだけはなりたくなかった。
自分が「女」だけじゃ、生けていけない事がよくわかっていた。
だからストロマトライトもあっさりあきらめたし、進路もあっさり変えた。
自由で行動力があって、自分に責任を持っているジムのお荷物になるのだけは願い下げ。
かえろう。
ワーホリとってもいんじゃない?
1年休学してさぁ。
あ、俺これからインドいくんだ。
まじすか?
向こうであおうよ。
いとも簡単にいう。
私これが初海外旅行なんですよ。
今まで優等生だった私がいきなりインドいったら親がぶっ倒れるよ。
たくさんたくさん話をした。
お家あるのに、庭にテント張ってそのなかでろうそくともして一晩中しゃべったり、海岸の沖合で、サーフボートに乗っかったまましゃべったり。
彼のいう事やる事すべて魅力的だった。
実年齢どうこうじゃなくって、人間的にマチュアだった。
彼はいつも明るくて、私がかえっちゃうのは全く残念じゃないみたいだった。
なーんの約束もしないくせに、またあおうね!ってにこにこしてた。
私がインドいくって決断しないのも、何ともないみたいだった。
ちょっと寂しかった。
彼の友達と話しているときに気がついた。
彼もさんざん傷ついてきたんだって事。
当時はやりのリゾラバ。
いいよってくる子はみ~んな、その場限りのつもり。
快適なホテルを抜け出して、彼のフラットまで来たのは私だけ。
彼も自分がまだ旅を続けたいから、相手に執着する事を求めてはいなかったけど、それでも寂しいじゃない?
だから、私がきちんと「交際」してたのは嬉しかったと思う。
私はどうだろう?
自分が見定めた将来をぐぐっとかえて、彼と生きていく気はある?
もう悩んださ~~~。
人生ではじめて惚れたひと。
好き、じゃすまされない。
相手が思ってくれなくてもいい。
生きていてくれるだけで嬉しいくらい惚れていたよ。
それでもクールなところがある私は、
心があつくて何も食べられなくても、
眠れなくても、
彼と私の人生が交わる事はないんだろうな、とわかった。
当時の私が研究者への道をあきらめるのは、すなわち不幸だったから。
自分が不幸じゃ無理じゃん?
彼の人生に寄り添うより、自分の将来をきちんとしたかった。
そうやって、はっきり言う私に、彼は好感を持ってくれていたと思う。そう信じたい、と思った。
空港に送ってもらった。
実家の住所を教えてもらった。
ここに送ってくれれば、僕のマムが、僕がどこにいても
送ってくれる。
そっか。ジムも手紙かいてくれる?
俺は書かないよ。
なんでぇ?
手紙は書かない主義なの。お母さんにも書かないんだ。
ふーーーーん。
もうあわないと思った。
機中が苦しくてさ~~~~。
泣いたさ~~。
だって、珊瑚礁がきれいなんだもの!
当時母親からプレゼントされたオパールの指輪をしていたんだけど、そっくりじゃないの!
なんでこんなにきれいなの~~~えーーーん、みたいな(笑)
まだまだつづく。
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