矛盾の中に進化のタネがある
進化って何ですか。
コロナ禍が始まってから、職場で何度も対話会が開かれています。私たちの団体の周りで起きていることを学んだり、どんな兆しを感じているかを話し合ったり。
そんな最中に何度も「進化」というワードが飛び交うのです。「社会の進化」「個人の進化」「組織の進化」・・・。成長、とは違うんですよね?規模が大きくなるってことじゃない?全く違うものになるっていうことなのか?
冒頭の問いを尋ねると、この本を紹介してもらいました。難しそうに見えますが、田坂さんの本はとても分かりやすい。行間広いですし。自分の勉強のためにも、簡単に内容まとめてみました。
進化って何?
世の中のすべての物事は螺旋階段を上がるように進化していく。
「昔もコレあったよね」という事が、バージョンアップして復活してくること、ありませんか?
例えば、リファラル採用(社員の紹介で採用すること)。あれって昔でいうところの縁故採用(コネ採用)ですよね。でも、SNSなどでつながりを持ち続けられる今は、1人1人が持つご縁の幅が広がりました。コネ採用が進化して、リファラル採用、になったとみてもいいのではないでしょうか。
進化の本質は多様化である。「進化」とは、単に「古いもの」が消え、「新しいもの」に置き換わることではない。昔からある「古いもの」と、新たに生まれてきた「新しいもの」が、共存し、共生し、棲み分けることによって、「世界の多様性」を高めていくプロセスなのです。
新卒一括採用が始まったのは、1895年頃。その前までは縁故採用が主流だったそうですが、試験や学歴をもとに人材を採用するようになったとか。(参照)そして今、リファラル採用と名前を変えて、コネ採用が復活した今でも、試験を受ける形が消える訳ではありません。ダイレクト・リクルーティングなど、他にもいろいろあります。
採用が多様化する=採用が進化した、ということなのかな、と思います。
物事は否定の否定により発展する。
それは、あたかも「振り子」の動きに似ています。
世の中の変化とは、「振り子」のように動くのです。
「コネだけじゃ優秀な社員はとれない!もっと幅広く募集しよう!」と一般募集に踏み切り、「試験の出来じゃ測れない。自社のカルチャーに合う人は、社員が一番知ってる」とリファラル採用に踏み切る。(←完全な憶測です)こんな形で、否定を否定することで、バージョンアップされた「懐かしい形」が復活します。
そして、進化の流れは、こんな軌跡をたどるそうです。
「合理化」を実現するための「均質化」
「合理化」の極点での反転
「均質化」から「個性化」への回帰
これを見た時、「ランドセル」を思い浮かべました。もともとは、布製ショルダーバッグなどを使っていたそうですが、皇室がランドセルを皇太子に献上したことをきっかけに徐々に日本全体に広まったそう(参照)
「男子は黒!女子は赤ね!」とみんな同じようなランドセルを背負っていた時代から、今では多種多様です。留め具や刺繍なども、自分の好みにカスタマイズできます。
布製ショルダーバッグなど、各々で用意⇒ランドセルに統一⇒ランドセルが各々の好みにカスタマイズ
という流れは、上記の進化の流れにドンピシャです。
藤原和博さんがどこかで話されていたのですが、「時代の大きな流れは、”みんな一緒”から”一人ひとり”」と言われていたのを思い出しました。
「矛盾」とは、物事の発展の原動力である。
否定の否定で物事が発展するのであれば、相反するものは完全に切り捨てないことが大切。「組織の利益」と「社会貢献」など、どっちか一つに割り切った方がスッキリ考えられて楽ですが、それでは発展していかない、と言います。
考えると、「専業主婦」と「キャリアウーマン」もあてはまりますかね。「仕事も家庭も大事にしたい」という女性が増えたことで、女性の社会参加も男性の育児参加も、道半ばとは言え、過去に比べれば進みました。
矛盾の中に進化のタネがある
次の時代はどういう風に変わるのだろう?どんな社会に進化していくんだろう?
答えは「昔にあったもの」の、バージョンアップなのか。
一度はないがしろにされた「昔のもの」が再否定されて浮かび上がるとしたら何なのか。
日本は2回変わっています。1回目は明治維新。明治維新の時は、日本にあったものを否定して、欧米の仕組みを取り入れてきました。
2回目の変化は第二次世界大戦。戦後は、基本的に経済成長第一で走ってきたはず。人のつながりや自然を大切にすることよりも経済重視の世の中だったように思います。
社会の価値観が変化する、としたら、上記2回の変化にヒントのタネはあるのでしょうか。この変化で力を失ったものが再浮上するのでしょうか。自分の価値観や見ている情報のバイアスがかかっているような気もしますが、「日本文化の見直し」や「東京一極集中から地方回帰」などがやってくるのでしょうか。
NewsPicksの下記動画の中でサントリーホールディングスの新浪剛史社長が、このコロナ禍を「『文明の利器を活かしながら自然と共に生きる』っていうメッセージなのかなぁ」と話されていました。
そういえば、コロナは「経済を回すか」「感染を止めるか」という矛盾を私たちに突き付けています。
経済と感染防止、どちらかに極端に振り切らずに、矛盾を内包しながら「withコロナ」で生きていく社会を考えたときに、どういう社会だったら一人ひとりが幸せになれるか。
社会の進化って何?の問いをもう少しかみ砕くと、そんな問いなのかなぁ。その問いの先に、かつて「合理化」の波に消えていった何かが復活するとしたら、それが進化の答えなのでしょうか。
個人の内面的にも、違う意見の板挟み状態は苦しく、すぐに白黒ハッキリつけてしまいたくなります。しかし、「グレーゾーンで耐えていく」という事の中に、進化や成長のタネがあると思うと、もう一歩そこに踏みとどまろうと思える気がします。
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