統計準1級 2021年6月問2解説

問2 [1]:
電池がn個あり、i番目の電池を使い切るまでの時間$${X_i}$$が独立に平均λの指数分布に従う。 この時、$${X_i}$$の分散をλの関数で表せ。

$$
f(x) = \frac {e^\frac {-x}{λ}} {λ}
$$


考察:
指数分布はよく以下の数式で表現されるが、今回は事象の「回数」ではなく「時間」が関心になっていることを踏まえるとλの逆数をとる。1時間にλ回起こる事象を考えると、1回に起こる時間は1/λと表せるので逆数をとるのは直感的にわかるはず。

$$
f(x) = λe^{-λx}
$$

アプローチ:
f(x)が与えられていて分散を求めたいということなので、直感的にまずモーメント法を意識し期待値を求めてから分散を導く。

確率変数の期待値:

$$
E[X] = \int_{0}^{\infty} xf(x)dx
$$

分散の性質:

$$
V[X] = E(X^2) - E(X)^2
$$

を使って求める。

ここで部分積分が必要になってくるので、部分積分の公式を以下に示す。

$$
\int f(x) g'(x) \, dx = f(x) g(x) - \int f'(x) g(x) \, dx
$$


解:

$$
E[X] = \int_{0}^{\infty} xf(x)dx = \int_{0}^{\infty} x(-e^\frac{-x}{λ})'dx  \\
= [-xe^\frac{-x}{λ}]_0^\infty - \int_{0}^{\infty} (-e^\frac{-x}{λ})dx \\
= [-xe^\frac{-x}{λ}]_0^\infty - [λe^\frac{-x}{λ}]_0^\infty                                (1)
$$

$${-xe^\frac{-x}{λ}}$$について$${x}$$が無限大に向かうと$${∞×0}$$の不定形(indeterminate form)となるのでL'Hôpitalの法則を使用する。

$$
\lim_{x \to \infty} -x e^{-\lambda x} = \lim_{x \to \infty} \frac{-x}{e^{\lambda x}} = \lim_{x \to \infty} \frac{-1}{\lambda e^{\lambda x}} = 0
$$

結果、(1)の式でE(X) = λとなる。
次に$${E(X^2)}$$を求める。

$$
E(X^2) = \int_{0}^{\infty} x^2f(x)dx = \int_{0}^{\infty} x^2(-e^\frac{-x}{λ})'dx  \\ [-x^2e^\frac{-x}{λ}]_0^\infty - 2 \int_{0}^{\infty}x(-e^\frac{-x}{λ})dx = 2 \int_{0}^{\infty}xe^\frac{-x}{λ}dx = 2λ\int_{0}^{\infty}xf(x)dx \\
= 2λ^2
$$

よってモーメント法より

$$
V[X] = E(X^2) - E(X)^2 = 2λ^2 - λ^2 = λ^2
$$


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