日本ワインコンクールから考える日本ワインの魅力
最近はスーパーや飲食店でも日本ワインを多く見かけるようになりましたね。
3年ぶり、18回目の「日本ワインコンクール2022」が先日開催されました!
全国のワイナリーから出品された国産ブドウ100%使用した「日本ワイン」を対象とした国内唯一のコンクールです!
25名の審査員によって評価された結果が7月26日に発表されました。
過去最多の全国108ワイナリー、706点がエントリー、24銘柄が金賞に輝きました!
結果は公式サイトをご覧ください
今年の金賞受賞ワインの注目点と言えば、
今世界的にブームの「オレンジワイン(アンバーワイン)」(白ブドウを赤ワインのように果皮を浸漬して醸したワイン)が「甲州」という日本のブドウ品種の部門で受賞したことや、
スペイン原産の白ワイン品種「アルバリーニョ」のワインが初受賞したことが話題となりました!
栽培家と醸造家の努力と情熱で、日本ワインの品質がどんどん向上されている結果ですね!
国際コンクールでも受賞しているような日本を代表する素晴らしいワインも多く見られ、日本ワインの未来を感じさせるようなラインナップです。
今日は、日本ワインへの評価と関心が高まっているにもかかわらず、
実は知らない日本ワイン!知ってほしい日本ワインの魅力!についてお話します。
【日本ワインとは?】
実は説明できる人が少ないんです!
自国のワインのことだけに、知っておきたいものですね。
日本ワインは「日本国内で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造されたワイン」です。
産地名、品種、収穫年の規定もあり、収穫した地域のブドウを85%以上使用した場合に限り産地名をラベル表示できます。
■「日本ワイン」と「国産ワイン」何が違うの?
え?同じじゃないの?って思いうかもしれません。
店頭でもごちゃ混ぜに並べられていたり、SNSでも正しい紹介やハッシュタグが付けられていなかったりしています。
国産ワインとは「国内製造ワイン」のこと。
つまり「海外から輸入したブドウや濃縮果汁を使用して国内で製造されたワイン」です。
裏には「濃縮果汁使用」「輸入ワイン使用」と書かれています。
海外産の原料を使って飲みやすく手に取りやすいお値段のものが多いです。
国内で育てたブドウから造られた「日本ワイン」とどっちが良いと言うわけではなく、消費者がきちんと理解して選べることが大事です。
■日本国内で販売されているワインは大きく3種類
ちなみに、日本ワインの生産量ランキングは
1位山梨県、2位長野県、3位北海道です。
これは納得。
そしてあまり知られていませんが、国産ワインの生産量は
神奈川が1位で、栃木が2位、山梨は3位という驚きの結果!
スーパーなどで見かける手頃な価格の輸入果汁を使った大規模なワイン工場があるからなんですね!
「日本産ブドウで日本で造られたワイン=日本ワイン」と
「海外産ブドウで日本で造られたワイン=国内製造ワイン(国産ワイン)」
日本で造られるワインが実は区別されていることがお分かりになりましたでしょうか?
ラベルに表示できる情報が異なりますので手に取る際はよく見て選んでくださいね!
【日本ワインの魅力】
個人的に日本ワインのここが好き!ここを知ってほしい!と言うところをピックアップしてみました!(長い。。。笑)
①会いに行ける産地、造り手
レストランでソムリエをしていた時、山梨県産のワイン専門店だったので頻繁に山梨へ行っていました。
わからないことがあればワイナリーに直接聞けるし、畑や醸造設備も見学できる!直接仕入れにも行ってました。
何よりも実際に醸造家や栽培家にお会いしてお話を聞き、
その想いが詰まったワインを都内のレストランでお客様にサーヴする。
ソムリエとしての喜びとやりがいを感じていました。
ブドウがなっている時期ももちろん素晴らしいですし、収穫後に葉っぱが赤や黄色、茶色になっている紅葉の時期や、裸の木だけになった雪景色、夏の青々とした葉っぱや色づく前の瑞々しいブドウを見ることも素敵です。
来るたびに発見があります。
都心から行きやすい産地と言えば…
そしてワイナリー巡りデビューをするのならば…
中央線でビューンと西へ!
山梨県の「勝沼ぶどう郷駅」に降りてみましょう!
いつの時期も電車を降りると眼下にはブドウ畑です!
どこに行ったらよいかわからない方は「ぶどうの丘」へ
地下のカーヴでは180種類の山梨県産のワインが試飲し放題!
宿泊施設、温泉、レストラン、売店、BBQ、などなど盛りだくさんです!
ワイナリーマップを片手にワイン産地を回ってみましょう!
バスは本数が限られています。
ワインタクシーというのもありますし、タクシーの運転手さんはみんな親切に教えてくれます。
徒歩で数軒ワイナリー巡りができるのも勝沼というワインの街ならでは!
試飲してはブドウ畑を歩いて、試飲してはブドウ畑を歩いて!もほろ酔いで気持ちがいい!
ワイナリー間を循環バスがまわる人気イベントの「ワインツーリズムやまなし」と言うのもありますので、そちらもチェックしてみてくださいね!
機会があれば、畑作業やワイン祭りの参加もおススメですので、いろんな時期に行ってみてくださいね。
ちなみに、今年の「日本ワインコンクール2022」受賞数の多い道府県は、山梨県のワインが85銘柄、長野県が70銘柄、山形県が24銘柄、北海道が21銘柄でした!
定番のワイン産地なのでぜひこの辺りから訪れてみてください。
敷地内に5つのワイナリーが集まった新潟のワインコーストも個人的におススメです♪
②和食をはじめとした日本人のデイリーな食事との相性が抜群!
日本ワインは優しく滋味深い味わいのものも多いので、気取らない毎日の食卓にもおススメできるようなものが多いです。
今回の「日本ワインコンクール」でもたった一つだけ単独品種で部門のあった、日本を代表する白ワインの品種「甲州」
鉄分が少なく刺身や寿司など魚介の生臭みが抑えられるということから和食との相性が良いことで有名です。
また同調する香りの柚子やカボスなどの和柑橘ととても合うのでお料理のアクセントに使用するのも定番です。
「マスカット・ベリーA」は華やかでチャーミングな香りに、日本人が好きな甘じょっぱい味付けの料理や、醤油や味噌などの発酵調味料との相性も良いです。
交配品種や山ブドウ系の赤ワインも最近は注目されていて、香りや味わいがとても個性的でお料理との相性が広がります!
「日本ワインコンクール」の受賞ワインの「国内改良等品種部門(赤・白)」「甲州部門」もぜひ参考にしてみてください。
濃くて渋いワインや格式高い高級ワインももちろん素晴らしい!
個人的には、カジュアルに肩肘張らずに飲めるタイプも好きだし、日本の蒸し暑い夏には軽やかな赤ワインや、辛口に仕上げたロゼを冷やすととっても美味しく感じます!
今回日本ワインコンクールで話題となった「オレンジワイン」はフードフレンドリーと言われるスタイル!
お肉やお魚、お野菜も根菜やお出汁との相性もいいです!
しっかりスパイシーなニュアンスがあるものはエスニック料理とも面白い相性を見せます。
白ワインのようにしっかり冷やしてみたり、少し大振りのグラスで温度を上げて楽しんだり、ロゼともまた違ったコクや余韻のビター感もあり、まるで白ワインと赤ワインのいいとこ取り!
ぜひ試してみてくださいね!
またワイン産地に行った際はぜひ現地の食材や郷土料理ともご一緒にお楽しみいただきたいです!
ワイナリー併設のレストランや地元の飲食店でも提供しているところも多いです。
③ワインビギナーにも親しみやすく、飲みやすいものが多い
海外のワインでわからないのが、ラベルが読めないという点ではないでしょうか。
日本ワインは日本語ですし、品種が書いてあることがほとんどです。
裏ラベルに味わいやコメントなどが書いてあることもありますし、ネットでも調べやすいですよね?
普段ワインを飲まれない方にも親しみやすい味わいや金額のものもあります。
また醸造用ブドウだけでなくフルーツとしてそのまま食べる生食用のブドウから造られるワインも面白いです。
ナイアガラ、コンコード、デラウエア、キャンベル・アーリーなどからもワインが造られています。
ヨーロッパでは生食用ブドウから造られるワインは好まれないことが多いのですが、ワイン醸造の歴史が浅く生食用ブドウの栽培が盛んな日本ならではの個性かもしれません。
甘口に仕上げたものは華やかな香りと親しみやすい味わいが特徴です。
比較的飲みやすいものが多く、ブドウそのものを食べているようなジューシーでフレッシュなタイプはビギナーの方にも喜ばれます。
個人的には辛口タイプに仕上げものやスパークリングにも注目しています!
もちろん食べても美味しいですし、ジュースもホント濃厚で美味しいのでそちらもぜひ飲んで頂きたいです!
ブドウ狩りのシーズンには現地で収穫体験したりお子様にもおススメです!
④日本の固有品種が面白い!!
よく聞きなれた「カベルネ・ソーヴィニョン」「シャルドネ」「メルロ」などの国際品種ももちろん日本で育てられワインになっています。
今回日本ワインコンクールで「アルバリーニョ」が受賞しましたが、日本で育てられる「プティ・ヴェルド」も評価が高いです。
長野県はシャルドネやメルロなど国際品種の産地ですし、北海道の「ピノ・ノワール」は世界でも新たなピノ・ノワールの産地として期待されています。
今世界的に注目されているのは、知られた国際品種だけでなく、その土地の気候風土や食文化から生まれたその国独自の固有品種や土着品種!
特にイタリアやスペイン、ギリシアやジョージアなど、長い歴史のある産地の古くからその土地に伝わる地ブドウからできるワインが近年話題です!
日本にも日本ならではのブドウから生まれるワインがあります!
世界的な和食ブームだけでなく、国際的な審査機関O.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構)の品種リストに「甲州」「マスカット・ベーリーA」「山幸」が登録されたたことで日本のワインも世界的に注目され始めました。
その他にも日本で品種を交配したものや、山ブドウから造られるワインも今とても面白いんです!
ぜひ、日本独自の品種も探してみてくださいね!
⑤世界で評価されるワイナリーが増えてきた!
国際ワインコンテストで金賞を受賞したり、サミットの晩餐会などの国際的な外交の場でも使用されるようになりました。
海外からゲストをお迎えするとき、日本のことをたくさん聞かれたり、和食でおもてなしをすることも多いでしょう。
日本酒や焼酎などを選ぶこともあると思いますが、日本のワインもぜひそのチョイスのひとつにして頂きたいと思ってます。
プレゼントにもおススメですよ!
⑥新しい&小規模ワイナリーも面白い!
ブドウ栽培や醸造技術が格段に向上した理由のひとつに、知識と高い技術、
そして熱意のある生産者が増えたことだと思います。
先代から受け継いだことだけでなく、他の生産者や栽培家との情報交換や、他ワイナリーや海外で修行したりと、学ぶ志の高い生産者もいます。
研修機関で学んだり、ワイン特区や地方で開業希望者を募ったり、異業種からの参入や、新規のワイナリー数はここ数年で増加しています。
小規模ワイナリーの中には、家族経営の伝統があるところや、新規に免許を獲得したところ、委託醸造で行っているところなどがあります。
造りも自社ブドウにこだわるところ、自然派、少量生産で希少価値が高いカルトワイン的人気のものなどもありますし、著名なソムリエやジャーナリストからの高評価のものもあります。
現在北海道から沖縄まで各地にワイナリーがあります。
次々と新しいワインと造り手に出会える楽しみがありますし、個性的な造りのものもありますので今後も新しい小規模ワイナリーから目が離せません!
⑦アーバンワイナリーにも注目!
「都市型ワイナリー」「アーバンワイナリー」と呼ばれる都心部で造られる醸造所が、アメリカ、オーストラリア、ドイツなどの都市部から、なんとパリなどにまであり、世界的に都会での小規模なワイン造りが注目されています。
日本でも東京や大阪、横浜、水戸、博多などの大都市にあります!
もちろん、基本的に醸造所周辺にブドウ畑はありません。
山梨や山形、長野などから原料のブドウを輸送して醸造しています。
こんなところでも造っているのか!という場所では
2020年8月にミヤシタパーク3階にオープンしたワイナリー「渋谷ワイナリー東京」もあります。
なんと大阪には、世界で唯一の「大阪エアポートワイナリー」が大阪国際空港(伊丹空港)内にワイン醸造所と併設ワインバルもあるそうです。
小規模なクラフトビールの醸造所のブリューパブは定番化しましたし、東京駅構内でも日本酒が造られる時代です!
まるでパン屋さんで焼き立てパンを買うように、醸造から瓶詰、販売をしているワイナリーの商品を購入したりその場で飲めます。
この親しみやすさもまた新しい日本ワインの魅力となりました。
女性の醸造家も多く、都会的で新しい感性でのワイン造りをしています。
生産者と直接繋がりやすいのも嬉しいですね!
都心にあることで私たちの日常にワインをもっと身近に感じるきっかけになってくれればいいと思います。
は!気づいたらたくさん書いてしまったし、写真も紹介してしまった!(笑)
伝統国のワインも、ニューワールドと呼ばれる新しい産地も、日本ワインもみんな素晴らしいです。
高まる日本ワインの人気ですが、まだ何を飲んだらいいのか、どこの産地に行ったらいいのかと思うと思います。
ジャケ買いしたり、旅先やレストランで出会ったり
そんな時のチョイスのひとつにぜひ日本ワインを選んで応援して頂きたいです。
日本ワインで乾杯!
日本ワインを日常に!
日本ワインコンクールの受賞ワインも参考にしてみてくださいね!