離婚することにしました。19

購入した分譲マンションは、私が妊娠中に購入した。
ローンは配偶者が支払っている。
配偶者はローンを組んだことで心に負担が圧し掛かって苦しくなったようだったが、妊娠中の私は見ないふりをした。
配偶者に寄り添う気持ちが一切なかったことと、賃貸で支払うのと何が違うのか。
ローン支払が完了したら、不動産は自分のものになるじゃないか。
なんでそんなに悩むの?と思ったからだ。

住宅ローンはけっして高額ではなかった。
なのに、なぜか私は連帯保証人になっていた。
仲直りする気のなくなった私は金融機関に電話をした。
現在のローン残高で連帯保証人は必要ないと思うので、連帯保証人を外してほしいと連絡をした。
事情を聞かれたので簡単に事情を説明した。
電話口の担当者が言うのは、夫婦不仲で連帯保証人を外すなどはよくあるとの事だった。
数日後、連帯保証人を外すための必要書類がローン契約当事者の配偶者宛に届いた。
私からも配偶者に口頭で説明した。
配偶者は、まさに怒髪天という言葉がよく似合う感じだった。
怒髪天の配偶者は、
『話しかけてくれるな、今後はメールで連絡いただければ結構です』
と言ってきた。
それからは、よほどの用事がない限り、私も話しかけなくなった。

またお盆がやって来た。
もう口も聞いていないし、私が配偶者の実家に顔を出す理由もない。
子供も普通食になったので、配偶者と子供で実家に行ってもらった。
私はそんなに仲良くもない母親に今の全てを伝えていた。
なので、てっきり配偶者も実の両親に全てをぶちまけていると思っていた。
正月が来ても、当然のように配偶者の実家に顔を出さなかった。
正月休みでぼけっとしていたら、義母から突然電話が掛かってきた。
私は、あのママなら泣きながら私を責めてくるのか?おお?
少しワクワクしながら電話に出た。

違った。
配偶者は、私ともう何年も口を聞いていないことや起きたことを両親に一切伝えてなかったのだ。
義母は泣きそうな声で話しだした。
『何かあったんでしょう。教えてもらえない?私が聞いても、あの子黙っちゃって何も言わないのよ。』
私は何なんだコイツ!と怒りで声が震えそうだった。
産後の私にあんな仕打ちをしておいて、何故私から話を聞けると思っているのか。
私に聞くよりも自分の息子から聞いておくれよ。
私は深く息を吸うと、
『私から言うと私の言い分になりますから、息子さんから聞いた方がいいですよ。』
そう言うも、何度も何度も義母は教えてくれと懇願してきた。
私は同じ言葉をひたすら繰り返して電話を切った。
このやり取りをたまたまリビングに居た配偶者が聞き、大きな音を立てドアを閉めて自分の部屋に戻っていった。
この電話は毎週掛かってきた。
私は面倒だなと思いながら毎回同じことを言った。
こんなに私に電話をするなら、自分の息子にしつこく電話したらいいのに。数週間連絡があり、何回か電話に出なかったらようやく連絡はなくなった。

つい最近知ったのだが、お互いの両親は両家顔合わせ以来会ってないのだが、年賀状とお中元とお歳暮のやり取りをしていたそうだ。
お中元とお歳暮が届くとその都度私の母親はお礼の電話を入れていた。
私と配偶者が不仲になって早々に母親に伝えていたのだが、それはそれとして知り合いなのだからと続けていたそうだ。
お礼の電話の時は季節の事とか当たり障りない事を話したそうだ。
配偶者がこの状況を両親に伝えていないと教えていたから。
義母から私にしつこい電話があったあと、母親はいつも通りお中元を贈った。
数日後に義母から母親宛に電話があった。
『もうこういったやり取りはやめましょう』
そう義母に言われたそうだ。
こういった経緯で年賀状・お中元・お歳暮は中断する。
私の母親は、いただいていた笹かまぼこが美味しかったのにと私に嘆いた。バカな発言だなと私は笑った。

用事があって私は実家に行った。
お中元リストが机の上にあり、毎回送る住所の中に義実家の住所があった。
私はビックリして、
なんでリストに義実家があるの?
母親に聞くと、
向こうのお母さんがやめようと言うからやめていたんだけど、去年からまた来るようになったのよ。
普通のトーンで母親は言った。
お礼の電話を母親がすると普通に季節の事など話して電話は終わるそうだ。私はとにかく説明のつかない怖さだけが残った。



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