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【読書】赤と青のガウン~オックスフォード留学記 彬子女王
読書が好きで、昔は時間さえあれば、本を読んでいました。しかし…最近はすっかりスマホばかりでゆっくり本を読むこともできなかったけど、今年は一念発起、本を読もう。若いころに比べると、本を読むスピードはすっかり遅くなってしまったけど…読んだら、感想をnoteにするを意識したいと思います。
筆者 彬子女王とは…
女王と言うと、私が思い浮かべるのは崩御されたエリザベス女王…日本人で女王という呼称が使われることは少ないように思っていた。数年前からこの本がネットで話題になっていることを知り、本を読むことにしました。
彬子女王のお父様は三笠宮寛仁親王殿下。上皇陛下の従兄弟に当たる方。「髭の殿下」として親しまれた皇族です。その長女として育たれた彬子女王は、皇族の一員として、その役割を担っていらっしゃいます。
寛仁親王はすでにお亡くなりになり、今や三笠宮家をしょっている彬子女王。その生活、学生生活はどのようなものなのでしょう。
彬子女王の留学記
この本は彬子女王のオックスフォード大学の留学で経験した色々なことを書かれています。
メインは、博士論文を作り上げていく、過酷な学生生活を目にすることができます。赤と青のガウンはその苦労を成し遂げた人にしか着られないもの…その努力の結晶なのでしょう。
母国語ではない英語との格闘、教授陣との関わりの中で生まれる勉強の日々…日本では特別扱いをされている皇族という存在であっても、ご苦労は半端ではなかったことを知ることができます。
自由とは何か?
日本では皇族は常に皇宮警察から警護対象になっています。なので、国内においてはどこで何をするにしてもずっと見られている。。。日頃、自由に行動ができる私からすると、少し窮屈な生活だろうなと思います。
一方、長期で海外に滞在する時には、警護する警察官から離れます。彬子女王はオックスフォードの留学を機に人と常に行動するということから解放されます。
いつも当たり前にあった少し窮屈そうな生活から離れた時、少しさびしかったという彬子女王。でも、それは新しい冒険の始まりのようなものだったかもしれません。
「一人で街を歩く」
日常において当たり前の人が多いと思います。でも、皇族方はそれを日本では許されない。子供のころから警備の方が付き、遠くから常に見守られていることが当たり前。そのようなことに窮屈さを感じることもあるだろうし…また、皇族方は海外旅行に行くなど、何かするたびに様々な儀式をしなければいけない…そうした決まりごとがあることに美しさを感じつつ、自由とは何かを改めて考える機会になりました。
研究者としてのこだわり
彬子女王はオックスフォード大学を日本美術に関する博士号を取得します。研究者としての探求心…感服しました。
指導教員から、論文の内容を見直すように言われたときに…納得できず、ご自身の思い、考えを指導教員に伝え、自らが書きたい方向性へ導いていく姿は、研究者としての姿勢は見習うべきものだと思いました。
かつて、国内ではありましたが、大学で研究をしていたころの私は…ただ、指導教員のいうことに従う研究者でした…。そう思うと、彬子女王の研究姿勢を見ると、自らの甘さを感じました。
探求心というと、仕事の姿勢にもつながると感じました。特に専門職の仕事には探求心が必要だなと思っています。昨日よりも今日、今日よりも明日、いい仕事をするために探求する心を忘れないようにする…大事なことだな~と思いました。
人とのつながり
この本を読む中で、素敵なだなと思うものは、彬子女王と取り巻く人々との暖かいエピソードです。そこに感じるのは、彬子女王が向き合う人それぞれに対して、優しさ、敬意を持ち接していることを感じます。それが、双方向であるから、そこには優しくあたたかな時間になることを感じられます。
人とのつながりを育む中で、人に対して敬意を払うことは大事だなと日ごろから感じています。私自身もこの文章を読み、常に人に敬意を払える人間でありたいなと感じました。
また、父、寛仁親王と親子のつながりも強く感じる内容でした。それは、何でもやってあげるというものではなく、彬子女王の希望を支えつつ、時に反対をする、厳しいことを伝えるといったもの…納得いかなければ、彬子女王はそれに対し、自らの意見を伝える…といったシーンがありました。それは、いろんなところで注目をされやすい、皇族としての一面も。。。なのだと思いますが、それ以上に、一成人として親が子に与えるべきものなのだな~と感じることができるエピソードでした。
目的を持ち、やり遂げること
彬子女王は当初予定されていた留学期間よりも長く、留学をされることになります。お立場とすれば、それは国民から批判を受けることになるかもしれないことです。しかし、だからこそ、しっかりと認められる内容で博士を取得することにこだわったのではないかと思います。
忙しく、ストレスの多い日常生活の中で、目的を持ち続けることは本当に大変なことかもしれません。しかし、目的を持つことが日頃の生活に張りを与えることも多々あります。豊かな日常を送るためにも、目的のある生活を大事にしたいですね。
まとめ
華やかなロイヤルファミリーの留学記…と思いきや…本当にイチ研究者が本当に苦労に苦労を重ね、博士論文を書き上げる姿をいろんな側面から見ることができる作品だったと思います。また、文系博士のご苦労も目に見え、だからこそ、歴史的な評価を受けるのだろうな~と感じました。
また、目的、目標を持ち、それをやる続け、こだわり続ける。それがいずれ、大きな成果をもたらすことも知ることができ、私自身も目的を持ち、コツコツ続けていこうと改めて思う、1冊でした。