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劇「檸檬」を見た感想
運命とは都合がいい言葉である。ある時には心の緩衝材として、ある時には免罪符として機能するからである。
劇団papercraft第8回公演『檸檬』の感想を本日は書いていきたい。
口が消滅することを突如伝えられた名取里奈は、離れていく彼氏を取り戻すべく口の移植と元凶を作り出した井上さんへの復讐を誓うのであった。
この作品は、「口の消滅」と「超次元的存在の井上さん」の非リアルな設定に意識を持っていかれがちだが、対峙する名取の心の動きにもぜひ注目して欲しいし、そうすれば、より香ばしく作品を楽しめるなと感じた。
私が読み取った名取の心情の変化は以下のとおりである。(以下、ネタばれを含みます。)
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名取は、学生時代より奥手の性格であった自身を認めてくれる彼氏を心の拠り所にしている。何かしら自分の性格を変えなくてはならないことを気づいているものの、一人から愛されていればそれでよいという思考だ。わからなくもない。しかしながら、拠り所をなくしたとき、その原因は何だったのかと考える。自分の性格のせいなのか、はたまた気まぐれな運命のせいなのか。
名取が取った決断は、向き合うべき自身の性格を「口の消滅」という一種の運命に棚上げすることで、考えることを放棄することだった。そして不幸か、口の消滅とは全く関係のない理由で、彼氏が帰ってくる。名取はやはり運命のせいだった、確信を突いていたのだとより勘違いする。
作品の素晴らしいところは、彼氏の言動によって観客がミスリーディングしそうなところをほかの登場人物の発言でカバーしていることである。
我々は人知を超えた物事に遭遇した時、運命という言葉で片づけることがある。運命という言葉の響きに、力が欲しい時は背中を押してもらい、辛い時は苦しさを背負ってもらっている。
これ自体は良いと思う。しかし、うまく運命を使いこなすには、使う条件を理解することが大切だ。
下記のように自身で解決できそうなものさえも、運命に棚上げしてしまうと成長の機会を失ってしまう。
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もうちょっと色々書いていきたいところだが、気が付いたら深夜1時近くになってきてしまった。まだまだ書き足りないので、時間があるときに加筆したいと思う。