対向車線のトラック
バイクを買って間もないころ、そのバイクで仕事へ向かっていた。
勤務場所までは長い1本道で、信号はほぼない。
建物もほぼなくて、空き地が続いている。途中に1件の工務店があって、そこの大きなトラックか別のトラックとたまにすれ違うだけの、閑散とした道を使っていた。
その道を走るのは、なるべく、右折や左折を避けてたこともあるけど、何もない道を、止まらずに走れることの爽快感が強かった。
それで、知らずにスピードが上がっていることも多かった。
良く晴れた日の朝。緩やかなカーブの対向車線を通る大きなトラックが、ヘッドライトをつけたり消したりしている。「何だろ?」と考えながら運転している内に、ゆっくりと速度が落ちていた。
そのカーブを過ぎると、いつもは何もない空き地に、警察の車。
そう、対向車線のトラックは、警察の存在を教えてくれていた。「気を付けて運転しろよ」と言われたみたいで、優しさを感じたことを覚えている。
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