28. 退職の真因・不満の要素を特定し、リテンションを図る
■Keynote
どんなに能力がある人も、組織や家族の問題があれば仕事の生産性を落としてしまうのはあたりまえ。特に会社の問題は、その人が退職するだけでは何も変わらない。組織的にメンタルヘルスの問題に取り組む必要がある。
By 萩原国啓 (精神保健福祉士、産業カウンセラー)
■若年社員の多くが3年以内に退職
新卒就職者の早期離職の象徴的な表現として「753現象」と言われるものがある。これは入社後3年以内に離職する社員の割り外が中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割あることをあらわしている。大卒の離職率データが得られる1982年以降、ほぼ同水準の状況が続いている。
■退職は高コスト。対策し抑止すべき
叩き上げの実力は経営者の中には「去りたいものは去れ」などと、退職者が出ることを止む無しとする向きも見受けられるが、果たして本当にそうだろうか?人材の獲得コスト、育成コストを考慮すると、退職は企業に取っても個人に取っても不利益である。そして今後、社会の少子高齢化に伴い、優秀な若年者採用の難度が増すことは明白である。そして今後若年者に限らず退職は組織力の減退につながる。退職者の穴埋めを新規採用や異動で行っても、元のパフォーマンスレベルまで組織力を戻すには時間も工数も要する。この点は見えにくいが大きなコストが生じている。以上のようにコストの観点からも、退職率は低く抑えるべきだ。そのためにも退職の真因を特定し、対策する必要がある。
しかし退職を決意した社員からは退職の本音を聞き出すことは難しい。立つ鳥跡を濁さないものである。つまり、社員の本音を聞き取るには退職を決意する前に、現実を知ることから始めるべきである。日頃から社員の意識を把握し、不満を吸い上げること、不満から課題を抽出すること、課題を解決する対策を行うことが大切である。
■Let’s Think
□ 自社の退職率、退職者数、退職の理由はどのくらいだろうか?
□ 自社社員の退職の真因について把握できているだろうか?
□ 退職の真因に対する施策として、何に取り組むべきだろうか?