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エコ設備のお話です(その3)(不動産ライターの、のりべぇ第35回)

設備(機器)の話で2回書きましたので…

 エコ設備ということで、太陽光発電パネル、エコキュート、エネファームと、3種類のエコ設備(というかエコ機器)のお話を2回に分けて書かせていただきました。もちろん、「住まいとエコ」という大括りでの話ではなく、少し狭い範囲のお話でしたので、今回は少し範囲を拡大しつつ、少々私的な見解を交えた「住まいとエコ」の話をまとめてみようと思います。どうぞお付き合いの程…。

のりべぇ的「住まいとエコ」の原則・1

 それは、「ヤセ我慢しない」です。どうしてもエコというと「快適な暮らしはエコじゃない。少しくらい不便や困難があるからこそエコなんだ」という風潮が見受けられますが、それは少し昔までのお話。今は快適性を損ねることなく、エコな暮らしを実現することができます。
 実はこの話、エネファームについて、東京ガスの方にインタビューをした際、教えていただいた話なんです。もう10年以上前の話。ちょうどエネファームが普及し始めたことのことでしょうか。
 第34回でもお話しした通り、エネファームはガスの中に含まれる水素と空気中の酸素を使って発電。その際発生する熱を使って給湯する仕組みです。つまり、発電する際、あわせてお湯もできるという仕組みなので、東京ガスの担当者さん曰く、「どんどんお湯を使ってほしい」ということでした。言い換えれば、発電すればお湯も勝手にできるのだから、「給湯がもったいないから水で我慢する」必要はないということです。
 これは第33回で書いた太陽光発電パネルの件も同じ。つい売電に目が行きがちですが、最も大切なのは、自宅で電気を作り、それを消費できるという点。さすがにいらっしゃらないとは思いますが、売電優先のあまり、猛暑の日中に、エアコンをつけず、電気を売るために我慢する、というのは本末転倒。大切なのは、電気代を気にせず、しかも環境に配慮しながらエアコンを使えるという点です。

のりべぇ的「住まいとエコ」の原則・2

 それは、「相性を考えて選ぶ」です。例えば、エネファームというのは燃料電池です。燃料電池は寒冷地ではその威力を発揮しにくい構造にあります(最近では降雪量の多い地域でも稼働できるモデルなんてのもあるようですが、基本的に燃料電池は寒いのが苦手)。
 同じく、太陽光発電パネルは当然、お日様が出なきゃ発電できません。周囲の建物に太陽光が妨げられている場所や、そもそも年間の日照時間が短めのエリアでは効果が期待できません。さらには「ひょう害」が多いエリアですと、さすがに強化ガラスが使用されているとはいえ、他の地域に比べ、表面のガラス板などが破損しやすくなります。
 どうも近年の風潮で「”太陽光(パネル)”のない家ってエコじゃなくね?」と思われがちですが、機器としてのエコ設備が全てではありません。そのお話はこの次の項目で。

のりべぇ的「住まいとエコ」の原則・3

 それは、「うまく組み合わせる」です。2回ほど書かせていただいた内容は、繰り返しになってしまいますが「エコ機器」という括りのエコ設備でした。もちろん、住まいとエコという括りでのエコ設備といえば、それこそ水の消費量を抑制する「節水コマ」に始まり、大掛かりなエコ機器に至るわけですが、屋根や壁、床に至るまで、エコ設備(この場合であればエコ建材というべきでしょう)は存在します。
 たとえ、太陽光発電パネルで電気を作り出すことはできなくても、家全体をしっかりと断熱すれば、エネルギー消費は抑制できます。もちろん、自宅で電気を生み出す太陽光発電パネルが設置できれば、なおよし、ということです。
 最近では薪ストーブを設置するお家が増えています。二酸化炭素を吸収する木材を使用することで、化石燃料を使わない、差引ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現という理屈ですが、一見するとエコなの?と思えるものでも、前述の通り、カーボンニュートラルという点では十分エコですし、家全体が暖かくなるという効果もありますから、我慢しないエコ生活の実現にもつながるでしょう。薪を割るのが大変?そこはジムに通う感覚で楽しみましょう(笑)。
 当然、太陽光発電パネルと蓄電池の組み合わせは強力です。発電し、活用するという点に絞っていえば、最強クラスです。小難しい話になりますが、発電所で生み出した電力は送電線を使って最終的に各家庭などに送られるのですが、どうしてもこの送電時に電力のロスが起こります。このロスを出来るだけ減らす取り組みとして、スマートグリッドという、電力融通の効率化が推進されています。スマートグリッドの一つのゴールは、「電気の自給自足」です。この組み合わせというのは、まだ完全ではないにせよ、かなり電気の自給自足というゴールに近づいています。第33回では、太陽光発電パネルに対し、少々辛辣な話を書きましたが、その話の裏返しで、大いに可能性とすでに結果を出しているエコ設備ゆえのことだと捉えていただければ幸いです。

まあ、肩肘張らずに考えましょ。住まいとエコのこと。

 そりゃそうですよね。せっかくの念願のマイホームなんですから、細かいことをあれこれ気にしていたら、快適な暮らしなんてどこかに吹っ飛んでしまいます。
 ただ、2025年4月より建築基準法が改正され、その項目の中に、「省エネ対策」が盛り込まれています。2025年4月以降着工されるお家は、この新しい法律が適用されますので、あらかじめ対策を講じる必要があります。実際にはこれ以外にも大きな点で改正がされています。これにつきましては、近いうちにご紹介できればと思っております。
 とはいえ、ユーザーである皆さんがあまり心配する必要はありません。ここはハウスメーカーさんや工務店さん、プロフェッショナルの皆さんにお任せしましょう。すでに「新法」にほぼ準拠しているお家も、結構あったりしますしね。
 エコ設備については一旦この辺で。次回からはまた新たなお話をさせていただこうと思います。

次回もお楽しみに!

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