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仕切り直し企画!第四話「設備で選ぶか、設備を諦めるか」(不動産ライターの、のりべぇ第44回)

ようやく仕切り直し企画、再開します。

 本当に申し訳ありませんでした!仕切り直しで始めた”はずの”「一戸建て住宅の選び方」。1ヶ月以上ブランクを開けてしまいました。というわけで、本日より再開します。

住宅設備もいろいろありますが…。

 一戸建て住宅に限りませんが、住宅設備が充実している方が、購入後の生活が一層便利で豊かになるのは、まあ間違いありません。まあ、とつけたのは、必要以上のスペックだと、かえって使いきれずに終わることもあるためです。例えが悪いですが、自宅でパンが焼けるということでパン焼き器を買ったはいいけど、結局使いきれず、食器棚の奥にしまいっぱなしになるのに似ています。とはいえ、「後付け」となれば相応にコストがかかりますから、水回りを中心に、住宅設備が整っているかどうかは気になります。もちろん、バスタブがついていないだとか、キッチンがついていないお家なんてありませんから、お間違いなく(車買う時、タイヤは別売りってケース、ありませんよね。それと同じです)。
 さて、ここでお話しします住宅設備ですが、ざっくり分けるとこんな感じです。
 ・キッチン、お風呂、トイレなどの「水まわり」
 ・太陽光パネル、エコキュートやエネファームなどの「エコ設備」
 ・電気自動車コンセントや宅内LAN、CATVなどの「ハイテク設備」
 ・クローゼットやパントリーなどの「収納設備」
 ・耐震ダンパーや制震装置などの「安全設備」
 ・上記に該当しない「その他の設備」
 かなり乱暴に分けてみましたが、これらを元にお話を進めてまいります。

購入時についていないと後付けが難しい「収納、安全設備」。

 最初に申し上げますと、収納も安全設備も、後付けできないわけではありません。ただ、設置費用が結構かかります。特に収納については、設置する分、部屋が狭くなりますので、どうしても収納スペースが欲しい、という時は家具を購入されるかと思います。それでも作り付けがいい、という方は、部屋がその分狭くなることをあらかじめご考慮ください。可能であれば、購入時に収納スペースがどのくらいあるか、チェックしていただくのをお勧めします。
 安全設備についても、欲しいという方は、できれば最初からついている方がいいでしょう。ただし、中古住宅の場合、ついていないことの方が多いですから、購入時に販売会社さんにご相談いただくのも一つです。ただし、装置本体以上に設置費用がかかることがあります。大事なことなので、二度書かせていただきました。
 こうした設備を希望されている方は、家選びの際、優先順位を上げる方がいいと思います。収納につきましては、最近は主寝室にウォークインクローゼット(WIC)が設けられていることが多いのですが、他の洋室は普通の収納、という場合もあります。そうしたお家の場合、WIC後付けとなると、お部屋がかなり狭くなることもありますので注意が必要です。逆に言えば、収納スペースを確保した結果、お部屋が狭くなってしまったというお家もあります。それゆえに優先順位をつけた方がいいということになります。

エコ設備を選ぶ際、唯一気をつけねばならないのは「屋根」。

 これは以前(第33話)でも書かせていただいたのですが、太陽光パネルはそれなりに重量がありますので、中古住宅はもちろん、今度の建築基準法改正前の新築(あるいは未入居)住宅の場合、屋根の強度不足で設置できるパネルが少なくなることがあります。さすがに1枚も設置できないということはないと思いますが、強度が足りないとなった場合、耐震設備(耐震ダンパーみたいなやつ)などと比べ、後付けはかなり困難です。そのため、購入時に太陽光パネルが搭載されている、あるいは後で搭載が可能な強度を持つ屋根を備えたお家を買うなど、あらかじめお調べいただく必要があります。
 これは、太陽光パネルの発電量を増やしたい、という方も同様ですので、販売会社さんなどとよくご相談頂ければ思います。今春の建築基準法改正後の住宅であれば、太陽光パネル搭載が可能、あるいは搭載済みだと思います。

ハイテク設備は「日々進化」するからなぁ…。

 もう10年も20年も前の話。光ファイバーが自宅に!と言っただけで「ネット革命だ!」なんて思ったのは。それこそ100MB出るなんて言ったら、これで動画が快適に観られるなんて言ったものです。
 それが今じゃ、10GBですって(一部地域限定の話だけど)。もちろん、ベストエフォートという、「(チッ。)できる限り頑張りまーす」(爆)って話だったりするんですけどね。
 今の話はかなり冗談っぽく書いた部分もありますが、ハイテク設備って日々進化します。電気自動車用のソケットだって、100V?200V?それじゃ足りませんよって言われる始末。いえいえ、日本の家屋ではこれが限界です、って言っても、車の進化は止まりません。そうなると、住宅設備が車の進化、ITの進化に追いつかねばなりません。前述のインターネット回線については、あまり有線LANで繋いでいるお家も少ないかとは思いますが、無線LANであっても、宅内に引き込むまでは結局有線です。電気自動車用の電源だってそれは同じ。ただ、今後規格の更新があれば、これまでの製品が使えなくなる!なんてトホホなこともないとは言えません。なので、たとえ宅内LANや電気自動車のソケットが整備されていなくても、これらについては後付けが難しいものではありませんので、時代の変化とお住まいになる方のニーズに合わせて整備しても遅くはないと思います。

水まわり設備は「一生モノじゃないですよ」。

 食器洗い乾燥機やIHクッキングヒーターを備えた、おしゃれなデザインのキッチン。ゆったりとしたサイズのバスルーム。そしてシャワー機能だけでなく、タンクレスで、すっきりとしたデザインのトイレ。水まわり設備が充実していると、新生活が一層便利に、楽しくなりますよね。それはよ〜くわかります。ただ、ここでご注意いただきたいのが「一生モノではありませんよ」ということ。キッチンでいえば、ガスであれ電気であれ、コンロは10年を経過しますと交換時期を迎えます。バスルームも20年から30年で寿命を迎えると言われていますし、給湯器はたいてい、推奨交換年数は10年です(機種によります)。トイレも結構、交換を強いられます。
 つまり、水まわり設備は「一生モノではない」という点。もし、同じようなお家があったとして、方や普通の水回りで3000万円。方やこだわりの水回りで3200万円となるとビミョーですよね。ちょっと大雑把に比較しましたが、お家を買ったら、最低でも一度は水回りの交換が必要となるでしょう。しかもお家の水回り設備も日々進化しています。最初は安めのキッチンを使い、交換時にアップグレードさせる、という選択もあります。どうしても入居時に充実設備がいい!という場合は別ですが、もし水回り設備の優先順位は低いというのであれば、水回りで選ばないというのも選択肢です。

一番大切なところに注目することが大切(だと思うんですが…)。

 ここで申し上げねばならないことがありまして、それは「充実な設備の家はダメと言ってるわけではない」ということです。一方、設備の充実度だけで家選びをすると、結局交換が必要であり、その費用を残すなり、貯めるなりしないと、かえって不便になるという点に注意が必要です。
 むしろ、家選びの点で最も大切な部分。柱や梁といった、躯体と呼ばれる部分だとか、基礎がしっかりしているかなど、家として最も大切な部分に注目することが大切ではないでしょうか。もちろん、完成済みのお家をくまなくチェックすることは難しいかもしれませんが、できる限り実物を確認することが最も大切かと思います(建築中のお家ならば尚可ですね)。

まとめ「設備の充実度に左右されない。気になる場合は優先順位を設ける」。

 家選びの際にも他の買い物同様、コストパフォーマンス、いわゆる「コスパ」を重視される方も多いかと思いますが、家選びは一生に一度の買い物と言われるほどに難しく、大きな決断が必要となります。また、結構、時代の変化やトレンドもあり、加えて、耐震性も含めて、まだまだ進化し続けています。「建物そのもの」を選ぶ際は、設備の充実度に左右されず、どうしても設備で選びたいという方は、ご自身の中で優先順位を設けていただくというのがお勧めです。ご参考になりましたでしょうか?

 次回もお楽しみに!(次回はぶち抜きをお休みし、建築基準法改正の件をお送りします)

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