仕切り直し企画!「木造だけじゃないのよ、一戸建ては(不動産ライターの、のりべぇ第42回)
お馴染みぶち抜き企画。仕切り直しの第2回です。
少々ご無沙汰の、仕切り直し企画でございます。
1ヶ月近くのご無沙汰でございます。前振りはそこそこに、本題に入ろうと思います。
タイトルをご覧いただき、「木造だけじゃないのよって、家なんて木か鉄しかねぇだろ」と思われた方。確かにざっくり分ければ、特に柱や梁についてはその二択(鉄筋コンクリートなんてのもあるけど、それは後述)、と考えることもできますが、これが案外、細かく分けられたりするわけですよ。ということで、木造だけじゃないのよ、一戸建ては”ハッハーン”なんて、井上陽水さんの歌(中森明菜さんもね)みたいな感じでお送りします(笑)。
木造といっても、いろいろあるのよ。
では、まずは木造住宅から。
日本の一戸建て住宅の主流として挙げられるのは「木造軸組工法」と呼ばれるもの。柱・梁・床で構成される建て方で、日本の伝統的な工法ということから「在来工法」とも呼ばれています。
柱や梁に筋交と呼ばれる斜めの部材を入れたり、金属の部品で強化したりと、”在来”といえども、現代の耐震基準に適合する家づくりがなされています。
”在来”工法に対し、最近よく聞かれるようになったのが「2×4(ツーバイフォー)工法」。2インチ×4インチの部材と合板を用いて”面”を作る工法です(脇の制汗スプレーじゃありませんよ)。部材の寸法から、なんとなく”外来の”工法だと察しがつくかと思いますが、その通りで、19世紀ごろにアメリカで開発された工法だそうです。面で構成されることから、地震に強いと言われていますが、前述の通り、在来工法だって負けてないんだから(笑)。ですが、日本でも普及が進む工法。部材の寸法も2×6材を使用するなど、バリエーションがあります。木造軸組構法に対し、こちらは「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。
さらに、工場であらかじめ生産した部材やパネルを用いて作る「木質系プレハブ工法」があります。工場で作って現場に運びますので、現場では還俗、組み立てて作るイメージとなります。
ところで、プレハブってどんな意味か、念の為に確認を。元々は「prefabricated」の略。prefabと英語でも略されるそうですが、厳密にいえば、プレハブ、というよりプレファブと発音した方が近いですね。意味は前もって(部品などを)作る」ですから、日本語も英語も同じと言ってもいいでしょう。
もちろん、鉄骨造もあります。
鉄骨造(鉄骨造り)の場合、部材の厚さ(板厚と言います)で軽量鉄骨(6mm未満)と重量鉄骨(6mm以上)に分かれます。ただし、これは建築基準法のお話。登記上は鉄骨(4mm以上)、軽量鉄骨(3mm超4mm以下)、軽量鉄骨(3mm以下)と区分されます。軽量鉄骨が板厚の違いで2種類のあるのは、耐用年数の違いから生じるもの。ということは、”登記の世界”では、4mm以上の「鉄骨」と4mm以下の「軽量鉄骨」に分かれることになります。
この、ダブルスタンダートというと大袈裟ですが、区分の違いが転じて、4mm以上だと重量鉄骨、6mm未満だと軽量鉄骨と区分されるケースもあり、実に厄介。なので、鉄骨系のお家が欲しい方はぜひ「板厚」をチェックしてください。どうしても色々気になる、という方は、各部材の板厚もチェックできれば”尚良し”です。主たる部材以外は薄い、なんてケースもあるから。別に厚ければいいっていう、(お肉の)ステーキのような話ではありませんけどね。
また、鉄骨でも「鉄骨系プレハブ工法」があります。こちらは6mm未満の軽量鉄骨を主に使ったプレハブ工法です。テレビコマーシャルでよく見かけるハウスメーカーの多くが、この鉄骨系プレハブ工法を採用していたりします(板厚の関係で重量鉄骨というケースもあります)。
これ以外の工法ってあるの?
上記以外にも、使用している素材(一部)こそ同じですが、あえて区分するなら、上記以外に分けられるものもあります。
例えば「ユニット工法」。プレハブ以上にパーツがあらかじめ作られ、現場で組み立てる工法を指します。ユニットハウスなんて言われますが、プレハブとユニットハウスは乱暴にくくってしまうと「似たもの同士」です。
「鉄筋コンクリート造」もあえて上記以外に区分します。別名RC造で、マンションなどに用いられる「鉄骨鉄筋コンクリート造」(別名SRC造)とは異なります。名前の違いの通り、鉄骨が入ってるか入っていないかが異なる点。小規模の住宅ではあまり使われないかと思いますが、豪邸や台風の多い沖縄のような場所ですと、RC(SRC)造を採用する場合もあるようです。
さらに、ログハウスなんかは「丸太組工法」と呼ばれますし、1階はRC造で2階は在来工法なんていう「混構造」というお家もあります。ねっ。色々あったでしょ?(笑)
どれを選ぶのがベストか?というのはありませんけど…
おとぎ話「三匹の子豚」では、レンガで作った三番目の子豚がオオカミの襲撃から生き残る(最近の物語では二匹の子豚が逃げ込み、三匹とも助かる)ストーリーになっていますが、現代の家屋、とりわけ日本の家屋に限定して考えますと、どれがベストかという質問の答えはなかなか見つからないと思います。そもそも建設コストという問題もありますしね。
結局のところ、好みと立地、そして価格に合わせて選ぶことになりそうです。ただ、今回のお話でお伝えしたかったのは、一戸建てひとつをとっても、いろんな工法・構造があるよということ。いかがでしたか?
次回もお楽しみに!