原油需要と原油価格について
前回まで、原油の供給側から原油価格の下値を確認しましたが、今回は需要について確認したいと思います。
参考にする資料は資源エネルギー庁が毎年提出しているエネルギー白書です。なお、こちらに書かれている数字は、BP統計が出典元になっており、基本的に世界で認められているものだと思って差し支えないありません。
さて、まずは世界で確認されている原油埋蔵量を見てみます。今のところ、このまま生産していては50年で枯渇する、と言われています。なお、新たに油田が見つかれば埋蔵量が補填されますので今後この数字が増えることもありえます。
次に世界のエネルギー消費量の推移を見てみます。ここには原油以外の資源によるものも含まれますが、右肩上がりでアジア太平洋地域にて消費量が拡大しています。なお、このうち原油が占める割合は凡そ34%です。
これらを見ても、世界のエネルギー消費量がこのまま右肩上がりに増えるとすると、その分だけ埋蔵量を補填していかないと、今のところ50年は持つといわれている原油資源はいずれ枯渇することになります。
では、世界のエネルギー消費量がこのまま右肩上がりに増えるかどうか。世界景気後退で伸び悩むのでは、とも考えられます。しかし、国ごとの一人当たりのエネルギー消費量の分布を見ると、むしろ加速する余地があるように見えます。
中国とインドの位置を確認してください。それぞれ人口14億人と13億人、合わせて27億人(世界人口の3割ほど)のエネルギー消費量は先進国に比べかなり少ないことが分かります。ひとまず他の先進国の事や人口増加は無視して考えるとしても、仮にこれら27憶人のエネルギー消費量が先進国(米・EU・日本の平均)並みに増加するとしたらどうでしょうか。原油換算のエネルギー消費量はざっくり年間65%ほど増加することになります。
今後、省エネ化や再生可能エネルギーの利用により、原油消費は抑制されるかもしれませんが、長期的には見れば我々の生活を原油に頼る事は難しいと考えるほうが自然です。一方で、原油価格が上がれば、高コストの油田も探鉱・開発することができ、前述の埋蔵量が増える可能性があります。