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WEEKLY OCHIAI「小泉大臣と考える「環境問題のニューノーマル」」を視聴して

全編は有料会員しか観れないのでYouTubeで公開されている前半について。


冒頭、小泉大臣が菅官房長官を安定と継続ではなく、改革断行タイプと評しているのには同感。また、菅さんは「脱炭素」とは言ったが、それ程環境問題に熱心ではないことも。

五箇先生は脱力タイムズでのゆるキャラしか拝見していなかったが、研究室の風景やマジメな話、肩書きなどを知り、すごい人なんだなと実感。まさか小泉大臣と勉強会やったりとツーカーだったとは。めちゃかっこいい。

小泉大臣は、新宿御苑など環境省系の施設をいち早くRE100対応させたり、マルイのエポスカード会員の電力スイッチング支援の実例話を出したり、とにかく見せ方がうまく発信力がすごい。

落合氏が自動車産業が得意な国が風力タービンを作っているかのように話していたが、自動車産業が強い日本もアメリカも殆どシェアはないし、再エネ米中対立の話がしたかったようだが、太陽光風力もメーカーとしては中国が席巻している。一部太陽光発電技術の流出で米中が揉めている案件があるが、今回の話とは無関係だろう。

ほお、「自由で開かれたインド太平洋」をFOIPというのか。落合氏の質問への答えにはなっていないが、豆知識で返すのはよい返しだと思う。

正直、小泉大臣が話している再エネアンモニアや水素を石炭混焼させるアイデアはあまり筋がよいとは思わないが(しかもオーストラリアからと言っていたので、石炭から水素を作ってそれを石炭と混ぜて燃やすのか、、、)、その話の後に電力グリッドが繋がっていないから排出権取引しかないのではという落合氏の指摘は的外れな感じがする。

さらに小泉大臣はそこからEUタクソノミー(環境評価による産業等の分類)にふって、つまりルール作りだと自分の主張に繋げている。

そこから落合氏がTtW(タンクトゥーホイール)とかWtW(ウェルトゥーホイール)などという単語を出したり、宮田氏がヨーロッパ大陸のグリッド接続の話をしているのに、落合氏は何故か一帯一路を出してきたり、宮田氏は自分で再エネの地の利の話をしていたのに何故か再生プラの話をしたりと、めちゃくちゃだ。

宮田氏は冒頭で日仏の環境意識調査の仕事をしていると自己紹介していたが、それならば、小泉氏が打破しようとしている日本人が持つ再エネへの偏見や環境意識の低さの問題にコメントして頂きたかった。

小泉大臣が話しているように、これまで経産省と環境省は、強いアクセルと弱いブレーキの関係で、環境省は(京都議定書以降)まともに環境政策でイニシアチブを発揮できてこなかった。印象にあるのは、せいぜい小池百合子環境相時代のクールビズくらい。

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それを、経産省を供給側、環境省を需要側と分類し直して、需要側が選んでいくという方向にプロモートの方向を変えようとしているのは、既存の強い枠組みに立ち向かわずに現状変更を行うためのよい戦略だと思う。

また、これまで国際社会で発言力を保つために、日本は実績をアピールしてもダメで、「野心的」目標を求められて苦しんで来たが、小泉大臣のやり方は削減実績ではなく、取り組みの積極性を売りにしようとしていて、環境問題は目立ったものが勝ち、つまり実は人間の心の問題であることを見抜いているように感じる。

これまで閉塞感の強かった環境行政は、経産省との対立に持ち込まれ、力関係で負けるという事を繰り返してきたが、弱者には弱者の戦い方があり、表向きは競合しない形で価値観を広めていくやり方は、国際社会だけでなく、国内のルール作りに関しても良い戦略だと思う。

小泉大臣が、なぜこれ程までに目の付け所がうまいのかは私にはわからないが、恐らく関係者と話す中で、良いと思っていても既得権や同調圧力で同じことを言わざるを得ない状況の言説を見抜き、その中でも自らの実績につなげられると分かるセンスに長けているのだろう。

説明のうまさも含め、こういう能力を一言で「天才」と言ってしまうのは実に失礼な話で、実際は努力の賜物なんだろうと思います。

それに引き換え、今回の落合さんと宮田さんは正直なにを言っているのかよく分からなくて、自分の知っていることを連想ゲーム的に並べていただけだったように思えて、とても残念だし、持ち味が活きてなくてもったいなかったと思う。しかし、そんな2人の返しにも、「結局はルールメイキングだ」と優しく受け止めつつ自分のフィールドに持っていくあたり、やはり小泉大臣はすごいなと言わざるを得ない。

だいたい、国務大臣がNewspicksの番組に出てるだけで異例の事だが、先日のブランドデザインのインタビューといい、今回の五箇先生を連れてきた動画配信といい、多分小泉大臣側から持ちかけた話なんじゃないかと思えるほど。こんなプロモート発想のある国会議員がほかにいるだろうか。

YouTube版の最後に五箇先生の語りがあるが、「生物多様性は地産地消だ」という主張は、生態研究者ならではの発想で、生物多様性の(ビジネス的な遺伝子知財とかの話ではない意味での)重要性を、地域経済圏の話と繋げることで、多くの人に伝わりやすいメッセージだと思う。

最近我が家ではヌマガエル2匹を近所で捕獲し飼育を始めたが、本来ヌマガエルは西日本に生育する種であり、日本在来種ではあるが関東にいてはいけない存在で、かわいいと思いつつ複雑な気持ちにもなる。

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