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補助金挑戦はプロジェクト経営の絶好の練習台

プロジェクトを中心に置いた経営

コロナ禍と地政学的要因で、今やビジネス環境は激変しています。これまでの組織構造と組織運営で対応できるレベルではないです。

課題は次々に現れますから、その時々の課題解決プロジェクトを立ち上げて回していくしかありません。
まさにプロジェクトを中心に置いた経営です。

プロジェクトは予期せぬ問題の発見から対策づくり、優先順位の判断と実行、他社や他部署との工程すり合わせなどを、さまざまなメンバーがそれぞれの力を発揮しながら進めるものです。

ここに期限と予算という制約条件が加わりますからその難易度はとても高いです。

プロジェクトメンバーには、ベンチャーを立ち上げるのと同じくらいの集中力と使命感が要求されます。

回らないプロジェクト

ぼくが見てきたところでは多くの会社でプロジェクトと言えばメンバーは兼任です。
わさわさ各部門から人が集められて最初は勢いがありますが、各人とも本来の所属部署があり、本来の仕事がありますから、だんだん面倒くさくなってきます。
できない言い訳はいくらでもありますから、かなりのことが先送りされます。

「その後始末にますます時間がとられるし、自分の責任も追及されるし評価も下がるから報告しないでおこう」
社風によっては問題が起こると、こんな風に考えるメンバーも出てきますから情報共有も満足にできません。
だれもが疲弊してきますから、けっきょく成果もたいしたものになりません。

プロジェクトを中心に経営するというのは、言葉で言うほどかんたんではありません。企業文化そのものを変えていかないとできないものかもしれません。


補助金プロジェクトには期限の強制力がある

プロジェクトというのは特定のテーマに向けて期限を持った小集団の活動です。

でも期限に強制力がなければ、その期限は守られません。臨時の小集団の活動が定常の利益を確保する業務の後回しにされるのは当たり前です。

さてここで補助金ですが
補助金には必ず申請の期限があるし
採択されたらまたまた期限内に補助事業を行わなくてはならないし
補助事業が終わったら精算して補助金をもらうために
1か月以内に実績報告書を出さなきゃいけないです。

それらの期限って絶対に守らなきゃいけないですもんね。

「補助金の期限」というのは絶対的です。

やれ、ラインにトラブルが発生したとか、社員のだれそれが急病になったとか、
銀行がなになにの書類をだすように突然言ってきたとか、そういうあらゆる事情は
「補助金の期限」という旗の前では言い訳になりません。

会社が大金をもらえるかどうかの瀬戸ぎわですから、補助金の期限を守るために
今やってる仕事をわきに置くか、徹夜でも休日出勤でもがまんして
補助金関連作業に集中します。

どんな言い訳も効かないのが
「補助金の期限」です。

お金をもらえるということは会社にとってはとても大きなモチベーションです。
ふだんと違うことをやることに抵抗のある社員でも「補助金の期限を守るため」という理由なら表立ってはけっして文句を言いません。

プロジェクトは先延ばしが起きるので成功が難しいという話をしました。
こんな強制力を持つ補助金を、プロジェクトにしなくてはもったいないです。


補助金プロジェクトには計画を進める強制力がある

目標設定やタスク管理がけっこうあいまいなまま手をつけたり、綿密に計画を作りすぎて、その通りいかないと集中がとぎれてくる、忙しさにまぎれて途中でそのままになる。
誰がいつ何をどこまでやるのかと約束していても1週間後にミーティングするとやっていない。
社長は違う発想が浮かんできて、また新たな計画を立てて仕切り直しする。
社員から「社長、また新しいこと始めたよ。どうせまた変わるさ」と思われる。
そしてそれは本当のこと。

こうした会社をとてもたくさん見てきました。

強制でもされなければ、営業や生産など、当面の最重要な仕事に気持ちが向くのは当たり前です。

では補助金はどうなのか?

補助金は申請時に行動計画を立てます。

行動と出金の実績を毎月積み重ねないと、最終的に補助金が入ってきませんから、経理からも尻を叩かれますし、社員もなぜきちんとやらねばならないか、納得して仕事ができます


補助金はプロジェクトマネジメントの絶好の練習台

このように強制力のある補助金ですから、プロジェクトにするには最適です。

そして、補助金の関連の業務をプロジェクトで運営するととてもいい効果があります。

補助金申請の準備をし申請書を作成することは、プロジェクトメンバーで事業計画をとことん考え、穴を埋め、成功要因を整理し、収支計画と行動計画をしっかり作り上げる作業です。

補助事業の推進では、商品サービス構想のプロトタイプ作りや高回転のテストマーケティング、サービス仕様書、システム設計書、クラウド基盤の選択と設定、生産部門や営業部隊との協調、サポート部隊など新組織の立上げ、マーケティング・プロモーション戦略の立案と実行など、じつに多くのタスクが待ち受けています。

補助金申請時にはここまで綿密な計画は作りませんが、必ず発生してきますから、プロジェクトメンバーのストレスはそうとうなものです。

これをこなすにためには絶対条件があります。

補助金申請書はメンバー自身で自力で作ることです。

コンサルタントや認定支援機関は、書き方の助けをしてくれる人であって、あくまでも部外者です。
自分たちで考えたことなら頑張りぬけますが、人が考えたものを社長も社員も一丸となって本気で取り組めるはずありません。


プロジェクトの立ち上げの段階から
プロジェクトの方針方向性を決めるところから
プロジェクトをスタートさせることです。

でもふつう、テーマのない方向性のないプロジェクトは存在しません。

その点、補助金だけは
社長が「補助金に挑戦する」と宣言すれば
プロジェクトが始められます。
プロジェクトの中でみんなで申請の内容を作り上げていけます。

補助金プロジェクトは、プロジェクト運営に慣れていない社長や社員の絶好のトレーニング機会になります。

指示命令形の効率的な組織ではなく、みんなで試行錯誤をしながら高速でPDCAを回して正解を探し続ける仕事のしかたをよしとする
そんな組織とメンバーを育てます。

またプロジェクトではチーム作りがもっとも重要です。
そのとき、どんなメンバーを指名するか、招くかで、座組が変わります。

プロジェクトはプロジェクトリーダーを育てたり、メンバーに新鮮な行動習慣をつけてもらういいチャンスです。

とくに経営幹部や候補は座学で育成できるものではないです。
本人に意欲や決意があって、適性があって、スキルもある水準を満たしている人材を選抜したら、彼彼女に実戦経験を積ませることです。

プロジェクトはそうした実戦経験の場に最適です。


全体の目次はこちらです

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