漆喰リフォームで調湿と防菌
我が家の半地下にある2人用休暇アパートメントのキッチンを改修。
前の持ち主が施していた壁紙(ドイツによくあるオガクズが詰めてある紙)に、おそらく、過去20年くらいの間で2、3度、いろんな塗料が重ね塗りされている。
壁紙は、上に塗る塗料がシリカ塗料などであれば、ある程度の湿気調整はできるが、糊の層で遮断してしまうので、調湿能力は高くない。しかもウチの壁紙の塗料には何が使ってあるかわからない(たぶん、過去に、調湿性のない安いプラスチック系の塗料が使われている)。半地下のキッチンなので、湿気の問題、匂いの問題を解決するために、KANSOメンバーで友人のスイスの建築家シェア氏(www.kaso-bau.com)に相談し、壁紙を剥がし、漆喰を塗ることにした。
漆喰は、消石灰を主成分として、混合する調合材によって、透湿にも防湿にもできる。室内の壁には通常、透湿性の漆喰を使う。調湿性能が高く、匂いの中和もする。また石灰は防菌効果も高く、カビやバクテリアの繁殖を防ぐ。
まず壁と天井の紙を剥がして、壁の石膏ボードと天井のコンクリートの表面を綺麗にする必要がある。5年前に一度、賃貸マンションを出るときに壁紙の貼り替えをやったことがあるので、要領はわかっていた。4月半ばに、壁紙を剥がす作業を開始したが、昔の強力な糊で貼ってあるようで、スチーマーを使ってふやかしても、とても剥がれにくい。大変な重労働で、最初は手伝っていた子供もやらなくなる。注文した木製のキッチンも、ウッドショックの影響で納品が遅れるというし、2ヶ月半くらい、作業を中断していた。7月半ばころ、キッチン納品の連絡があったので、7月末に重い腰を上げて作業をした。紙を剥がして、穴や凸凹をヘラでパテ塗りし、さっとヤスリがけする下準備作業に、妻や子供に時々手伝ってもらいながら、合計15時間くらい費やした。
本番。まずは、天井から。天井をヘラで漆喰塗りするのは、素人には結構、難しいので、石灰系塗料をローラーで塗ることに。Kreidezeitのガセインプライマーをコンクリートに塗り、表面の付着性を高め、その後に同じくKreidezeitの石灰系塗料を2重塗りした。初めてにしては満足な仕上がり。
次はいよいよ壁の漆喰塗り。昨日の夜に、Auroのプライマー(ケイ酸カリウムが主成分)を石膏ボードに塗って、石膏ボードの表面の「締め固め」をした。今日これから、石灰モルタル(Hessler製、セメントフリー)を下地として塗る。一晩乾かして、明日、仕上げの漆喰塗り(Hessler製)の予定。
石膏ボードに漆喰を塗るのは、あまりお薦めできることではない。石膏ボードは酸性、漆喰はアルカリ性で、まず化学的な性質が違う。また、物理的には、石膏ボードは、湿度や温度の変化で若干の膨張や伸縮をする柔らかい素材。「動きやすい」ものの上に「動かない」漆喰を塗るのは、ひび割れのリスクがある。専門家のなかには、基本的にやらないほうがいい、と言う人もいる。だから、資材は、ホームセンターではなく、近くにあるエコ建材の専門店に相談して全て揃えた。そこのオーナーは、古建築のリフォームの経験が豊富な専門家。プライマーと下地のモルタルがポイントになることを教えてもらった。天井と壁のプライマー、塗料、モルタル、漆喰も、すべて調湿性のもので、溶剤や毒性物質が入っていない。
左官道具は、数年前に中古住宅のリフォームをやったフライブルクに住む学生時代からの旧友に、全部借りた。一生におそらく数回しか使わない道具なので、新品を買うのはもったいない。
さて、いよいよ本番メインの作業。どうなるか、結果をお楽しみに。