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国有林ではじめての屋根型基幹道を視察
北海道鶴居村、岐阜高山など、すでに10年以上、その機能性と耐性が実証されている屋根型森林基幹道。昨年、天竜地域の国有林で、既存の林道を屋根型に改修する事業が行われました。
https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/sidou/attach/pdf/kanto_presentation-83.pdf
この事業を専門的に助言・監修した高山の長瀬さんの仲介で、今回、視察することができました。現場の国有林技官や森林官が丁寧に案内してくれました。
国有林のレポートに書かれているように、この地域は、風化しやすい花崗岩があり、既存の林道の災害復旧・改良・維持管理に、毎年多額の費用がかかっているそうです(R4・R5年で、5600万円)。技官や森林官の話によると、災害後、砂利を敷いて補修しても、大雨が降ると、せっかく敷いた砂利が流される、ということが繰り返されている、とのことでした。
試験的に行われた林道の屋根型化改修(素掘り側溝と暗渠も)の施工費は、1mあたりわずか8000円程度。1年経過して、その有効性が見て取れました。隣接する林道では真ん中に水が走って亀裂や掘削がありましたが、屋根型基幹道はほとんど無傷。一部で、上から落ちてきた大きな石で水の流れが変わって、小さな亀裂がありましたが、それも道脇だけに留まっていました。
技官は、事業前に高山のモデルを見学し、「これが解決策になるかもしれない」と思われて、事業に取り組まれたようですが、実践してみて「これしかない」と確信に変わったようです。また、路体や路盤をコンバインドローラーでしっかりとテン圧するすることの意義を実感されたようです。ローラーで振動を与えてしっかり深くテン圧することで、路体や路盤が締め固められ、水が染みにくく、崩れにくくなります。技官は「バックフォーのバケットで押して固めるだけでは不十分」とも言われました。私ははじめて知ったのですが、林道や林業専用道では、コンバイドローラーでテン圧する、という規定はないそうです。各地で道の損傷や崩壊が起こっている一つの大きな原因でありえます。
現場で、とても有意義な意見交換でした。感謝します。
長瀬さんと私からの改善案: 側溝を深く掘り、暗渠の浸透マスを少し広げる。
そうすれば、さらにその機能性と耐性が高まります。
10年以上前から実証されている屋根型森林基幹道の有効性は、今回、国有林でも確認されたのですから、そろそろ、林野庁公認規格にアップグレードする時期ではないでしょうか? これまでのような「例外」としてではなく、「正式」な規格として! やる気のある事業体の自発的な「努力義務」に頼るのは、限界があります。既存の林道や林業専用道の規格のなかに屋根型基幹道を盛り込むのは、さまざまな摩擦や抵抗があり、難しいと思うので、別枠で「屋根型森林基幹道」というカテゴリーを新たにつくることを、1つのアイデアとしてここに提案します。事業体の選択肢を1つ増やすだけです。いかがでしょうか?
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