「M-1準決勝が待ち遠しい」ムードがないのはなぜだ?

 M-1グランプリの決勝戦まで1ヶ月弱。好勝負必至の準決勝に関しては、もう来週(12月2日)に迫っている。しかし、日本国内にあまり熱を帯びたムードを感じることができない。M-1の直前に行われるTHE W、およびピン芸人日本一を決めるR-1グランプリなら理解できる。そのレベルが決してそれほど高くない大会なら、大会前の盛り上がりもたかが知れているが、現在のお笑い界に、M-1に勝る大会はない。

 機運が高まらない理由の一つに、先月行われたキングオブコントの出来映えが深く関わっていると僕は思う。今はまだ、その余韻に浸っている状況にある。バラエティ番組を眺めれば、それはよくわかる。今回のキングオブコントファイナリストたちが重宝される様を、各有名番組で目にすることは比較的容易だ。M-1の話題で盛り上がるよりも、「今年のキングオブコントは凄かった」という話題の方が、現段階ではまだ上回っている。

 たしかに、キングオブコントは面白かった。これまでの大会のマックス値を更新するような、惚れ惚れとするまさにハイレベルな戦いだった。そんなキングオブコントの出来映えに驚いたと同時に、僕は年末に行われるM-1グランプリの事が少し心配になった。果たして、(今回のキングオブコントのような)過去最高の大会にすることはできるのか、と。

 だが、(M-1グランプリ2021の)準決勝進出25組が決定したいま、そうした心配は杞憂に終わりそうな気配が、少なくともこの段階では漂っている。過去最高になるかどうかは別としても、その期待値はかなり高まっている。キングオブコント直後に抱いた「50(期待)対50(心配)」の気持ちから、「70(期待)対30(心配)」くらいまでは膨れ上がった。

 今回の情勢はかなり面白い。ファイナリストが決まる前から言うのもなんだが、昨年よりも期待していいと思う。

 昨日、公式サイトにアップされた準々決勝で敗退したグループのネタ映像をもとに話をすれば、今回も本当にレベルが高い。「え、こんなに面白いのに勝ち上がれなかったのか」と、その敗退がもったいなく見えるグループが、それこそゴロゴロいた。

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