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お題小説 青ブラ文学部 「世の中に片付くなんてものはほとんどないもんだ」


山根あきらさんのお題小説となります
山根様よろしくお願いします<(_ _)>

*なおこの作品に限りましては登場人物、その他
全てフィクションでございます。
わたくし個人の作り話です。いえ!笑い話です
よく似たことがあるものくらいで読んでいただければ幸いです

「世の中はすべて奇麗に片付くほど甘くない」

玉森は週刊誌の不倫報道を受けて、
直ちに記者会見を開き
報道陣の前にたち、深々と頭を下げた。
が、その顔は少しだけにやけていたように思う。

そのあと、直ぐに地元のさぬき市に飛び、
支援者を前に、再び頭を下げた。
「今後このようなことのないように、
国と地元の皆さまのために頑張ります」
10秒間数えて、頭をあげた。

元が農家の出で、高齢で古い考えの支持者が多いため
中には、
「男たるもの、
それくらいのことができるないと仕事も出来ん!」
などと、不適切な発言もありはしたが、
おおむねこの不祥事は片付いたと玉森は内心ほっとしていた。

今夜は地元に泊まり、親の顔でも見て帰ろうと考えていた。

その時、
支援者団体の会長で高校の恩師でもある三宅に声を掛けられた。
「玉森君、ちょっと話せるかな」
「はい、先生もちろんです」
にこやかに答え、席を移し話しが始まった。

「だいたい君は、昔から女性にだらしがない。勉強も運動もでき
顔もまずまずだから仕方ないが、とにかく詰めが甘いんだよ!」
「はい、先生本当にすみません」
まだひとり、一番うるさいのが残っていたかと
玉森は心中で舌打ちした。

「ゴシップ週刊誌のようなやからに、隙を見せるから、
せっかくのチャンスをものにできん!」
酒を飲むほど、語気がきつくなる。

「年金受給者のためにも、壁を178万円まで上げるというから
支援者は一丸となって君の党を押したのに、結局123万年止まりかね」
「いえ、先生。そのお約束だけは必ず守ります」
「あのさ玉森君。学生が178万円も働いたら、
もうそれは学生じゃないよ。分かるかね。勉強など出来んじゃろうが!!
本末転倒というものじゃ」

「でも、今の子は親の世代が厳しくて、学費の払えない学生が多いんです」
「なら、親の年収に応じて学生に支援金を出せばいいじゃないか!」
「確かに、おっしゃることはごもっともですが、
実は学生のアルバイトがないとやって行けない職種もございまして」
「あぁ~これじゃあもう日本は終わりじゃないか!
君たちを教育した僕らにも罪があるのかもしれんなあ~」
と、先生は疲れたのか、すこし興奮も収まり、玉森も一息ついた。

その時である
新しく秘書名義で買ったスマホのライン着信音が鳴った
「わたし来ちゃった💛 こんな田舎なら大丈夫でしょ(^^♪」
「いま、志度駅。どこに行けばいい?」

「先生、お約束は守りますから、今日のところはこの辺で
タクシーを拾ってきます」
「おぉ~ありがとう、玉森君。与党に負けないようにしっかりやりなさい」
と言って、タクシーに転げ込んんだ。
それを、また深々と頭を下げて見送った。

ひとつ終われば、またひとつ
あの女約束を守らないつもりか!
あんなに手切れ金を取ったはずじゃないか。
妻に知れるとこんどこそ危ないかもしれない。
玉森は志度駅へとタクシーにも乗らず歩いて向かった。

世のなかは、きれいさっぱり片付くもんなどほとんどないのだと
この時、玉森は思い知った。

#青ブラ文学部
#山根あきらさん
#夏目漱石
#恋愛小説が好き
#今こんな気分

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のり
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