投資家から見たミャンマーのクーデター
皆さん、こんにちは。
既にニュースになっているので知っている方も多いかと思いますが、ミャンマーでまた?クーデターが発生しました。タイもそうですが、ここまでよく起きるともはやASEAN諸国の「お家芸」の感もあります(笑)。
せっかく世界からの投資の流れも出来つつあったので非常に残念ですが、私の意見は「またか」というのが第一印象です。ポテンシャルは非常にある国だと思っているのですが、どうしても政治の不安定感は否めません。
今回のクーデターは、民主主義の創成期やミャンマーの地政学的な問題、また米中覇権争いとか「国際政治」の観点からはいろいろあるかと思っていますが、私からは「投資家目線」でお話しできればと思っています。
このクーデター騒ぎですが、メディアを見ているとアウンサンスーチーさん(与党NLD)が「正義の味方」でミャンマー軍部が「悪の帝王?」という二元論で話をされていることが多いように思いますが、実際はそんなシンプルなものでもありません。どっちが悪いとかではなく、単にスーチさんが軍部を押さえて権力を狙ったようにも見えますが…。
発展途上国や小国では、民主主義が必ず国を成長させるというものでもありません(経済の面から見ればですよ)。いわゆる「開発独裁」と呼ばれるフェーズがあります。初期の成長過程ではリソースの集中投下が必要なため、民主主義的な考えより強いリーダーシップを持った方が大胆でスピーディーな意思決定をした方が経済発展するという考えです。
ベンチャー企業などをイメージしてもらえるとわかりやすいかもです。アーリーステージでは、カリスマを持った方の力に頼り強烈に仕事を進めていき、企業が大きくなるにつれて組織が組成され、次第にガバナンスを効かしながらカリスマのマンパワーから離れて組織的にビジネスを推進していくというような感じです。これが国単位でスケールがおおきくなったものとご考えて頂いて問題ないかと。
その力を得るために「カリスマ」の他に「軍事力」という力を利用することがあり、また独裁体制を構築する際に賄賂や汚職が横行するためどうしてもイメージは良くないです。
というわけで国民から見ると政治的にはちょっと「ダークサイド」なイメージがあるんですが、こと「経済の点」からするとまるっきりダークというわけではないと思っています。
例えば日本。
日本の高度成長期を支えたのは、自民党の「55年体制」と呼ばれる、まあある意味「独裁」に近い形です。このころは「政治と金」は今よりだいぶひどかったように聞きますが、経済全体は高度成長期で右肩上がりでしたね。
一方、1990年以降の「失われた30年」は当時よりかはいくぶん「政治と金」は「マシ」になったかもしれませんが、特に30歳くらいの方々などは生まれてからずっと不景気です。確かに政治的には少しはクリーンになったかもしれませんが、この閉塞感満開の現在と比べるとどちらが良かったかは微妙かなと。
開発独裁の元では権力を集中させているため、強烈に政策を進めていくことが可能です。そうなると投資の格言である「政策に売りなし」の確率もさらに向上するということです。なにせ、自分たちの利権にも絡んできますしね(笑)。当時の日本であれば、公共事業関係とか。投資家としてはリソースを注力している領域がわかりやすいので、リスクを減らせて大きなリターンを狙えます。
というわけで投資家としては、軍事政権でも民主政権でも「安定的な政権」が一番うれしいんです。
ですので、今のミャンマーのような状況は一番避けてほしい所です。なにかあればすぐ政権が転覆するという状況ですね。ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と呼ばれていますが、永遠に開拓されないフロンティアにならないように気を付けてほしいものです。
今回の事件で、私の中ではミャンマーはこれでしばらくは「投資対象国」からは外れてしまった感じです。クーデター発生後すぐに「通信」を押さえにいく所なんぞは、もはや完全にクーデター慣れしております(笑)。
つらつらと書かせて頂きましたが、今回一番驚いたのがスーチさんがもう「75歳」だということ。
精力的活動をしているイメージがありましたのでだいぶ驚きました。スーチさんも晩年に差し掛かり「少し焦って行動してしまったのかな」と感じた今回の時事ニュースでした。
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