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信州伊那の春 桜、そして桜
暖かい日がつづき、あっという間に桜が満開になりました。
この機を逃してはならぬとお花見へ。
平日のお花見、
いつもなら一人で出かけるところですが、今回は同行者がいます。
なんと、(note写仏部)部長Himashunさんが伊那へやってきたのです!
日本美術をこよなく愛する部長、
「伊那で開催されている池上秀畝展と高遠の桜を見に行きたい」
というコメントを拝見して、ついうっかり、案内役を申し出てしまいました。
当日午前10時半、
マニアに人気のJR飯田線伊那北駅に降り立ったその人は、明らかに目立っていました。
だって、和装なのです。
(部長は男性です、念のため)
ただならぬ風格がただようその姿に内心(おぉ~!)と思いながら、初めましての挨拶をした後さっそく車で高遠へ向かいました。
伊那から高遠までは15分ほどかかります。
道すがらの桜並木で目を潤しながらいよいよ高遠城址公園へ近づくと、見えてくるのはこんもりとした桜のお山。
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ひと山まるごと桜で覆われたかのような様子に、さすがの部長も声を失っていました。
そう、これが世にも有名な高遠の桜。
この日すでに「満開」とお知らせが出ていた高遠城址公園、混みあう駐車場になんとか車を停めます。
あ、ちなみに私、バックのスピードが速いと言われることが過去数回。
(女性にしてはいい加速するね、と言われたことも)
ですが、年と共に運転にキレがなくなってきた、そう思っていました。
一応、部長に聞いてみます。
どうでしたか?
「ちょっと早かったですね、、、びっくりしました」
うそー?!
そっかー、そうなんだ。てへ。
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十分美しい
植物に明るい部長によると、
ここの桜は染井吉野にくらべて花は小ぶり、重さが軽いこともあり枝が下へ垂れるのではなく、上へ向かって伸びているのが特徴なのだそう。
ほほぅ、なるほど。
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このコもそういう感じ
部長の植物講義を聞きながらてくてく歩いて城址公園へ向かう途中、右手に見えてきたのは高遠ダム。
気持ちいいですねー、
と話しかけましたが、何やら部長の様子が落ち着きません。
??
伺ってみると、
「高いところが苦手なんです」
(きゃー!)
それは失礼しました!
私がダム側を歩きますので!
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水の音と風が気持ち良い
そんなこんなで入園ゲートの手前まで来たところで、部長はおもむろに懐からなにかを取り出し、差し出します。
おや?それはもしや、、
散華名刺!
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写仏部の部長らしいオリジナル名刺、とても素敵です。
わーい!
喜んでいたのもつかの間、部長は無情にも口頭試験を始めました。
「はい、その仏像の名前は?」
・・・え?!(一瞬考える)えーと、吉祥天?
「正解。じゃあ、どこのお寺?」
・・・浄瑠璃でら?
「浄瑠璃じ」
うっ、そうでしたか。
でもおまけで正解くれた部長は、きっと優しい人。
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高遠城址公園のさくらは、タカトオコヒガンザクラという固有種。
やや小ぶりで赤みが強いのが特徴です。
これは地元で伝わるはなしですが・・・
戦国の世、この地を治めていたのは武田信玄の五男、仁科五郎盛信。
しかし信玄亡きあと弱体化した武田家、破竹の勢いで南から攻めあがる織田軍と、この高遠城で激突します。
兵の数で圧倒的に不利な高遠勢は、それでも最後まで抗戦し、そして全滅しました。
その兵たちの血を吸って、高遠の桜は色が濃いのだ、と。
そんな話を部長にしたところ、
「なんか怖くなってきました・・」
あら、どうやらこの手の話は苦手なようです。
わたしは結構好きなんですけどね。
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園内は、笑い声や笑顔であふれています。
そんな賑やかな様子を取材する地元のテレビ局らしきクルーの姿も、ところどころで見かけました。
わたしの数歩前をゆく風流男子は、何しろ目立つ着物姿。
万が一カメラを向けられたら、その時は部長を置いてさっさと逃げようと密かに思っていましたが、無事何事もありませんでした。
よかったよかった。
桜の園を一周したあとは、お茶タイム。
地面に腰を下ろし、部長が持参したお茶道具で野点を披露してくれました。
桜の木の下でいただくお抹茶
そして可愛らしい和菓子
最高のひとときです。
部長、ありがとうございます。
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さて、高遠をあとにしてお次は今回のメイン(?)池上秀畝展へ。
会場の入り口、私がスル―した検温と消毒をきっちりとする部長。
しかし私の高性能耳センサーはしっかりとキャッチしましたよ、
「ああ、アルコールが、アルコールが・・・」
と呟く部長の声を。
無類のお酒好きの部長、数時間後に訪れる諏訪の飲み屋さんへと、すでに心は旅立っているようでした。
美術鑑賞のあとは、となりにある春日城址公園で再びお花見。
人も少なく、静かにゆっくりと桜を愛でることができます。
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ここからは、南アルプスの眺めもよし。
しばし見入ります。
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一週間前はほんの蕾だったのが、あっという間にこぼれるほどの咲きっぷり。
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本当に美しいものを目の前にすると、言葉がでなくなります。
Himashun部長は、終始穏やかでした。
しかしその内には、”美しきもの”に対する並々ならぬ情熱が秘められているのを感じました。
それから、note写仏部への思いも。
noteが繋いだ不思議なご縁、この先もまだまだ広がってゆくことでしょう。
流れに身をまかせて、楽しもう。
そしてこの日わたしは、
今年初めてウグイスの鳴き声を聴いたのです。
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お花見レポート、これにておしまいです。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!
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