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突然分娩拒否された話

ニュースサイトを見ていたら、産婦人科医院が突然閉院したというニュースを見かけました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/026454358de1767a5f4a82f2bc2da85695f33d17


実は私、似たような目にあったことがあるので、
今日はそのことを書いてみたいと思います。



2020年、その年の初めに新型コロナウイルスが確認され、日本に入ってきたころ、第2子を妊娠しました(2月)。

静岡県在住の私。実家は熊本県です。

夫の実家も九州で、近隣に頼れる親族はおらず、
静岡県で産むか、熊本県で産むかという2択でした。

3歳の子どもを抱えて、仕事で忙しい夫に全てを任せて
静岡県で出産するという選択肢は現実的ではなく、
実家での里帰り出産を決めました。



連日ニュースでは感染者数と死亡者数が右肩上がりで報道されていました。



長男がその年の4月に幼稚園に入園することになっていたのですが、
本当に幼稚園に入園できるのか、
次の子供を安全に産むことが出来るのか。
不安は尽きません。

日本中、目に見えない正体不明のウイルスに翻弄されていました。


それでも妊娠3か月の時に実家から車で10分ほどの総合病院の産婦人科で
分娩予約を取ることが出来ました。

新幹線と飛行機の距離がある実家の病院では予定日の1か月前までに
受診してくれれば、分娩できますという説明でした。

県をまたいだ移動をする場合は2週間の実家待機という時間は必要でした。

上の子の幼稚園もあり、臨月直前の9月に里帰りをしようと飛行機の予約を済ませました。
(臨月になると飛行機に乗れません)

新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、順調にお腹の子供は育ちお腹はどんどん大きくなってきた妊娠8ヶ月の日曜日。

分娩予約していた病院から突然電話がかかってきました。

『当院では分娩を9月末で辞めることになりました。
10月出産予定の方の分娩はできませんので、他の病院をあたってください。』

頭が真っ白になりました。

妊娠8ヶ月、もうお腹はパンパンです。

それなのに、分娩できない????

「え……と、それはコロナのせいでしょうか?」

もしかしたら、院内感染とかあったのだろうかと思いながら尋ねてみると、電話の向こうの女性は少しの間黙り

『……いえ、そういう理由ではなく、分娩は採算が取れないので辞めることになったのです』

と答えました。

カッチーン!!!

少々気の短い私は、その回答に怒りと悲しみが湧いてきました。

「採算って……。じゃあ私はどうしたらいいんですか? 今妊娠8か月なんですけど、そちらが他の病院を紹介してくれないんですか?」

そういったことはしていません。そういうことですので、失礼します』

それだけ言うと、電話は切れました。

謝罪の言葉はありませんでした。


私の出身はど田舎で近隣に出産ができる病院はそこしかありませんでしたが、
私の実家からも近く、総合病院で設備も充実していて、祖父も最期の時を穏やかに迎えることができた病院でした。

なので、何の疑いもなく信頼していました。

でも、結果は一端受け付けた分娩予約を一方的に反故にし、
妊娠8か月の妊婦を放り出すことになんの躊躇も見せない病院だったのです。

私は妊娠8ヶ月で突然分娩先を失ったのです。

あまりのショックに、目の前が白と黒でチカチカしていました。

震える手でスマホを持ったまま、ソファーでくつろいでいた、
夫に近づき病院に言われたことを伝えました。

夫も予想してもいない事態に驚いていましたが、動揺しまくっている私を前に冷静に次にしなくてはいけないことを決めてくれていました。

夫は頭の回転が速く切り替えが早いので、その姿に私も徐々にショックを抜けることが出来ました。
もしも、この時夫も同じように動揺していたら、解決はもっと遠くなっていたと思います。


私の実家は2016年の熊本震災の際に山崩れで国道と線路が潰されてから、
電車も走らなくなり、
車での移動もとても時間がかかる回り道しかなくなった地域でした。

(2016年長男の出産のときに里帰りを諦めた理由、これも後日書きたいです)


でもちょうど2020年9月、出産予定日の1か月ほど前に山を突き抜けるトンネルが開通することになっていました。

そのトンネルを使えば実家から車で50分という距離にある病院に予約が取ることが出来ました。


ただ、その病院で分娩するには当初の予定よりも数週間早く里帰りして2週間待機したのち、決められた数週での初受診する必要があったのです。


それを考えるとほとんど時間もなく、慌ただしく里帰りする必要があります。


予定していた飛行機を取り直して(キャンセル料とられました/涙)、
長男の幼稚園にも連絡し、
妊婦検診していただいた病院にも事情を説明し、紹介状を変えてもらい、
3人分の荷物を詰めて段ボールに詰めて送り……。


と、妊娠8ヶ月でドタバタすることになりました。

とてもとても大変で、ただでさえコロナに怯えながら過ごしていた妊娠期間にとてつもないストレスを与えられました。

結果的に、母子ともに出産を終えることができ、その子供は現在2歳半になりました。


だけど、分娩拒否した病院には、今でも不信感しかありません。
総合病院なので今も普通に営業しています。

採算が取れないからって、分娩予約を受け付けておいて、
予定日の2か月前に妊婦を紹介先もなく放り出すことを、
命を扱う病院がやって良いことなのでしょうか?

私は無責任だと思います。

そして、怖いのが今またこの病院は分娩を受け入れていることです。
少子化のこのご時世、若者が減る一方の田舎で採算は取れるようになったのでしょうか?

2度と無責任に放り出される妊婦と赤ちゃんがでないことを祈っています。



ニュースで見た産婦人科医院に通院されていた妊婦さんたちも今、不安でいっぱいだと思います。

でも、それでもきっと分娩を受けいれいてくれる産院はあるので、
簡単ではないかもしれませんがあまり悲観的にならず前向きに健やかに過ごしてください。

理想の出産は難しくなってしまったかもしれない。(私も当初無痛分娩を希望していました)

でも、本当に大切なことは、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんが無事であること。

この一点だと思います。

どうか、心を穏やかに、出産に望んでください。


あまりネガティブな記事を書くのは好きではないのですが、ニュースを見て記憶が蘇った突然分娩先を失った元妊婦の独り言でした。

今後はこういう記事は書かずに、楽しい記事を書いていきたいです♪


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