She was
「なんで黙ってんの?なんかいうことないと。」
言葉がうまく見つからなかったので、そのまま事実が口から漏れた。
「この街を出るんだ。」そういう彼の顔は今まで見たことない他人顔のようだった。
凛々しく、眉間にシワがよっていた。
私はその時感じた。「こんな風に彼は知らない顔を持つんだ」
「寂しいね。」よく笑う子だった。大きなため息とともに言葉を紡ぐ彼女に、一緒にいれない切なさと僕の夢が相対していることが現実味を帯びてきた。
一緒に入れないよ。夢を追うあなたが何より好きだった。だから仕方ないよ。