場数
ある種の戯れ、遊び事。
お馴染みのテロップとその答えを思い浮かべる。
プロフェッショナルとは、
「けりを付ける一人」
もちろんわたしにそんな役目は回ってこない。
責任を投げてしまうからだ。
与えられた場所では度々に視線を外し、遠くへ合わせた焦点で像を捉えようとする。
立ち話。
舞踏家と演奏者は観客らと地続きにそれぞれ同じ高さの目線を合わせる。
四方にそれぞれの抱いた感想が行き交う。
今日の作品に手掛けた時間以上を語る事で。
それはつまり、この夜の即興劇が、演者たちにとっては納得の行かない出来であった事を示していた。
観衆は演者と手の届く空間で、首筋に冷や汗をかく。
拍手、次いで掛け声。
熱が、足音が、息づかいが、柔軟さが、表情が、身体の器が、響く演奏が、静けさとカメラ起動の音が、壁掛け時計の秒針が、プラスチックカップに溶けた氷が。
手を伸ばせない空間で、瞬きを忘れさせる。
日曜の夜が一コマずつに刻まれた今、「ダンサーは一期一会」と言葉にした舞踏家の表現を思い出す。
その時間のパートナーとともに近日中の再挑戦を誓った表現者達は、再び同じ場所で出会えたのだろうか。
見届ける役目さえわたしには果たせなかったけれど。