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嵯峨野ぐらし11 三条御池の魔界

 ケンミンショーでやってました。京都市中心部の住所は交差する通(とおり)の名前と「上ル(あがる)」「下ル(さがる)」「東入(ひがしいる)」「西入(にしいる)」で表される。京都の街にいる人に「寺町通御池上ルといえばどこ?」と聞くと、全員が「京都市役所!」と答える。
ってやってましたが、いや何なら、寺町通御池下ルだったら「御池煎餅の亀屋良永」か「本能寺」とでも答えますよ(笑)
 京都には「通の名前の歌(別名:丸竹夷の歌)」があります。
「丸竹夷二押御池(まるたけえびすにおしおいけ)」
「姉三六角蛸錦(あねさんろっかくたこにしき)」
「四綾仏高松万五条(しあやぶったかまつまんごじょう)」

下の地図の東西に走る通の名前を北から順番に覚えられるように作られた歌です。

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中には、四条東大路=祇園とか、西大路丸太町=円町、西大路四条=西院、東大路今出川=百万遍、西大路今出川=北野白梅町というように「別名」で知られている地名もありますが、だいたいの所はこの通名を覚えておけばどのあたりかわかります。

  でも、京都にはこの「常識」が通じない「魔界」があります。

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三条御池!
すなわち、三条通と御池通の交差点。
上の地図で見ると・・・ 御池通は北から6番めの通、三条通は北から8番めの通。つまりどちらも東西方向の通なので・・・
交差したらあかんやん!!
さらに、この交差点には、見たことがない「黄色矢印信号」があります。
これは時空の歪んだ空間にある異次元の街なのか?
黄色矢印信号は異次元へ飛び込む扉が開いていることを知らせているのか?
ここは京都の魔界なのかぁぁ???
京都の街で「三条御池ってどこですか?」と聞くと、「そんなとこあるか!」と怒り出す人や、混乱して頭が爆発する人が続出することでしょう。

 実は、京都の通が「碁盤の目」になっているのは市街地、すなわち豊臣秀吉が京の周りに巡らせた京都版万里の長城こと「御土居(おどい)」で囲まれたところ(洛中)だけだったわけで、私の住む右京区などは全域が御土居の外側(今でも洛中の人たちから「洛外」と虐げられる(笑))で大正時代まで京都市に入れてすらもらえなかったぐらいのヒエラルキーの低いところだから、そもそも道路が碁盤の目ではないのです! 三条通は葛野大路通から西へ行くと急に北西へ向きを変え、右京区役所の前で御池通と交差してしまうのです。昔はこんなややこしいことが起こらないように(かどうかわかりませんが)御池通は手前で行き止まりになっていて、決して三条通と交差することはなかったのですが、平成20年に御池通の下を走る地下鉄東西線が延伸するにあたり御池通も延伸し、ついに三条通と交差してしまったのでした。
この交差点の名前は「三条御池」でよいのか? と当時議論になったようですが、あまり深く考えられることもなく「三条御池」に決まってしまったそうです。聞いてもどこらへんにあるのかさっぱりわからん実用性ゼロの地名なので、もうちょっと考えてほしかったですが・・・
でもこの地下にある地下鉄の駅は「太秦天神川」、路面を走る嵐電の駅は「嵐電天神川」というように、ちょっと離れたところにある南北方向の通「天神川通」を使って、うまく名付けています。「三条御池」なんて駅名にしたら京都市民大混乱になってしまうことでしょう。

 ところで、「黄色矢印信号」は何?
これは、「電車のみ進行してよし」の信号です。全国の路面電車が走る街では見かけますが、路面電車に縁のない街に住む人は免許の学科試験に合格してしまえば、まず見ることもない信号ですよね。間違えて交差点に突っ込んだら電車とぶつかりますよ。嵐電と車の事故はちょくちょくありますが、電車が凹んでいるのを見たことがないです。車がぶつかり稽古を挑んでも勝てる相手じゃないですよ(笑) 

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そんなわけで、「三条御池」は謎の地名だけど、決して魔界ではなかったようです。ではまた、次回をお楽しみに!

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