キーシマって何? それ食べられるの? 【嵯峨野ぐらし48】
いやぁ、祇園祭真っ只中ですなぁ。私は(というより、多くの中高年京都市民は)宵山の日に出かけても、クソ暑いだけやし、ゆっくり座るとこもないし、たいてい夕立に見舞われるし(今日も降りはじめた)、人ばっかりで頭が痛くなるし・・・・・・と、休みの日も街へ出歩かないようにして、明日の山鉾巡行もクーラーの効いた部屋でKBS京都の生中継で見て、「テレビのほうが間近で見られるしええわぁ」と言うことでしょう。
ただでさえ街にあふれかえっている外国人観光客に、祇園祭見物の日本人観光客も加わり、市内中心部はエラい賑わいですが、私のバイト先(書道用品店)の客層は、前述の「多くの中高年京都市民」が中心で、しかも雨降りが多くて紙を買いに行くにはリスキーすぎるので、この時季はいたってヒマです。外国人観光客が迷い込んできても、書の心得のない人はいろんなものを見るだけ見て、せいぜい筆ペンや和紙ハガキを買っていくぐらいのもので、なかなか商売にはなりません。
なので、私の今月の生活パターンは、「1日バイトに行って2日休み」のペースで、休みの日は、朝ドラを見ながら朝飯を食べて、ボランティアなどの事務仕事をしてたら眠くなるので、朝から昼寝をして、起きて昼飯を食べて、小説を書いて、夕方に眠くなるので昼寝して、起きたらジムへ出かけて風呂に入って酒を飲み、深夜まで小説を書き、それから寝てもトイレに行きたくて早起きするので昼間に眠くなるという昭和の文豪のような生活をしています。いや、昭和の文豪には「愛人」が不可欠だが、私の生活には本妻も愛人も登場しないな。小説ではエロい女性ばかり描いてるけど・・・・・。
さて、奈良県出身の私にとって、夏のソウルフードといえば三輪素麺の冷そうめんなわけで、全国的に「豆腐の角に頭をぶつけて死んでまえ」と言われる慣用句も、奈良では「三輪素麺で首を吊って死になはれ」に変換されるぐらいです。(昔は本当に言ったけど、たぶん、現代の賢明な奈良県民は言わない) それはさておき、冷そうめんを食べるのに「めんつゆ(濃縮タイプ)」を買ってきても、なかなか使いきれず、冷蔵庫に入れておいても、じきにつゆが熟成(腐敗?)してガスが発生し、ボンという音とともにボトルのフタが吹っ飛んでしまうので困りものです。(皆さんもそうですよね? うちの冷蔵庫には麹や種麹(麹カビの胞子)も入っているので、一般家庭より環境が悪いのかもと気になったんですが・・・・・・) そこで、今週はめんつゆ消費促進週間として、いろんな麺類を食べています。今日は中華そばが安かったので「キーシマ」にしました。えっ? キーシマ?
「キーシマ」というのは、京都の夷川室町にある「やっこ」といううどん屋さんの名物料理として有名ですが、関西ではけっこう抵抗なく食べられているものです。ひとことで言えば「うどんだしに中華麺を入れたもの」で、関西では中華麺のことを「きいそば(黄そば)」と言うので、その「キー」と、かけそば(素そば)のこと示す符丁の「シマ」が語源だそうです。
やっこさんには、キーハイカラ(天かす入り、標準語でいうところの「たぬき」)やキーカレー(和風カレーだしの中華麺)というキーシマの進化版もあります。
私が子供の頃(スーパーマーケットがなかった頃)、市場の一角の狭いスペースに麺の入った木製コンテナを重ねて置いてあるだけの「麵屋さん」があって、買い物に行き「うどん3玉」とか「きいそば4玉」と言うと、おばちゃんが箸でうどん玉を突き刺して、ビニール袋に麺を放りこんで渡してくれたものでした。いま「麵屋〇〇」といったらラーメン屋さんの屋号ですよね。
キーシマと呼んでいるのは京都だけのようですが、姫路名物のまねき食品の「えきそば」も、「うどんだしに中華麺を入れたもの」ですよね。「えきそば」といえば、ほとんど衣だけのぶよぶよの天ぷらがよく合いますよね。
ふと思い出したのですが、私が長野県に住んでいた頃(40年ぐらい前)、松本市の確かお城の近くに日本蕎麦で作ったソース焼きそばを売っている店がありました。こちらのほうがキーシマよりもカルチャーショックが大きいですよね。あまり定かではないのですが、ボロボロのお店でおばあさんが焼いていたような記憶があり、いまネット検索してもそのような食べ物は出てこないので、すでに絶滅したのではないでしょうか? 今度うちで作ってみよう。
で、なんの話だったかというと、私がめんつゆの消費拡大のため、ウチでキーシマを作って食べたというだけのことでした。かき揚げ天がのっていて、えきそばより豪華ですよ。ではまた。