嵯峨野ぐらし23 秋田県の人に伝えたかったこと
一年ほど前、秋田県出身秋田県在住の男性とオンラインミーティングで雑談したときのこと、秋田県の人から見ると、京都の人は毎日、精進料理や湯豆腐や湯葉を食べているイメージがあるらしく・・・・・・
動物性タンパクも使った精進料理のような「おばんざい」は日常食で、わざわざ高い金を払ってを食べるのは観光客だけだとか、京都の家庭の食卓に湯葉が並ぶことはまずないことや、むしろ京都の人はこってりした味が好きで、「餃子の王将」やこってりラーメンの「天下一品」も京都発祥だ!という話をしていて・・・・・・
でも「餃子の王将」は秋田にはないだろうということに気付いて聞いてみると、彼は「いやありますよ。へぇ~王将って京都発祥なんですね」と言ってたのですが・・・・・・
残念ながら秋田には「餃子の王将」(通称 「京都王将」)はなく、あるのは「大阪王将」(「餃子の王将」から京都には店を出さないという約束でのれん分けされた店、全国展開しているが京都王将とは方向性が違うので関西のコアな王将ファンはめったに足を踏み入れない)でした。秋田県の人とそんな話をしたあとで、「あぁ、あの話をすればよかった」と思い出した話題があります。
先日、京都在住の秋田県出身の人と話をする機会があり、秋田に行ったことがあるけどいいところだ! ぜひまたゆっくりと観光したい!という話ばかりが盛り上がり、また「あの話」をするのを忘れてました。今日は、私が秋田県の人に話をしようと思っていながら、まだ話したことがない「あの話」について語ります。
私が岩手県の盛岡へ行ったときのこと、盛岡冷麺やわんこそばやじゃじゃ麵はもう食べたし、あとはラーメンでも食べたいなぁ(どんだけ麺が好きやねん!)と街を歩いていたら、『昭和13年創業』という看板を見つけ、「おぉっ、すごい老舗のラーメンやんか」とその店に入ったのですが、隣の席の人が食べているラーメンの黒い汁、なみなみと注がれた汁を受けるため丼の下に皿が敷かれている京都ラーメン独特のスタイル、どこかで見たような真っ黒な炒飯・・・・・・
おおっ! これは京都人のソウルフード「新福菜館」にそっくりやんけぇ~ とまずびっくり( ゚Д゚) 早速その店のHPをネット検索してみると・・・・・・ その店「末廣ラーメン」は新福菜館ののれん分け店で、本店は秋田市にあり、盛岡の店は支店のようです。看板に書いてある『昭和13年創業』は新福菜館の創業年だそうです。まさか盛岡まで来て新福菜館のラーメンに出会えるとは驚きです!!
というのも、京都を代表する老舗ラーメン店 新福菜館 は京都駅近くのラーメンの聖地「たかばし」にある本店以外はすべて「のれん分け店」で、しかもその数は少なく、ほとんどが京都市内にあるため、京都でしか食べられない味だと思ってました。珍しく京都以外にある東京麻布十番の「のれん分け店」は二階に貸切宴会場があり、新福菜館のフルコースをアテに宴会ができることから東京在住京都人のアジトになっているほどです。
ちなみに本店のお隣の「本家第一旭」も昭和22年創業の老舗で、全国に第一旭を名乗る店があります。これも本家の「のれん分け店」とその支店で、一説にはのれん分けに9つの系統があるそうです。バブル末期に倒産した第一旭チェーンものれん分け店のひとつで本家とは関係がないようです。愛知県の尾張一宮で「本店第一旭」という店を見つけて入ったことがありますが、こちらは創業者の3人の息子のうち次男さんが継いだ由緒正しい店だそうです。
閑話休題、秋田の末廣ラーメンですが、HPによると創業者が修行をした新福菜館をリスペクトしながらも東北人の口に合うように改良を加えた味だとされており、盛岡駅前には改良を加えぬ新福菜館の味をそのまま引き継いだ「マトヤ中華」という店もあるのだそうです。
いや、よくも悪くも新福菜館の「のれん分け店」は味の濃さがバラバラで、食べた後に「やっぱり本店の味にはかなわんなぁ」というのが京都人の常になっているので、私には末廣ラーメンの味は十分に新福菜館のバラツキの範囲内でした(笑)
ああ、末廣ラーメンの秋田本店に行ってみたい! まず今日のところは新福菜館でガマンしておこう。いや、なんかおかしくないか? ではまた。