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退職金の亡霊【めざせ確定申告! 職業文筆家への道 第4話】
いやしかし、毎日暑いですなぁ。生きてるだけで疲れてしまう暑さですよ。駅のホームで女子高生がオロナミンCを一気飲みしてたり、黒人女性が日傘をさして歩いてたり、冷静に考えてふだんからもっと見かけても不思議ではないけど、なぜかめったに見かけない光景を目にしました。暑い暑いとばかり言ってたら、ついにこの日が来てしまいました。いつか来るとはわかっていましたが、こうも突然にやって来ると、青天の霹靂としか言えませんなぁ。
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何の話やねん? そう、株価の暴落です。私は会社員時代に退職金の一部を、強制的に「企業型確定拠出年金」で運用させられていました。(加入しないという選択肢はなかった) ご存知ない方もおられると思いますので「企業型確定拠出年金」について雑に説明しますと、退職金の一部が「年金」に相当する部分に区分されており、従来は会社がお金を拠出して積み立てて、年利2%で運用した額を退職金として払っていたのですが、リーマンショックやなんかで2%を維持できなくなったりと、いろいろあって、この運用を社員本人任せ、つまり「増やすも減らすもあなた次第、自己責任で運用しよう!」ということでできたのが「企業型確定拠出年金」という制度なのです。胴元の信託銀行や証券会社が準備した運用商品の中から、ハイリスクハイリターンのものに投資するのもよし、とりあえずマイナスだけは避けようと手堅く定期預金にしておくのもよし、退職金を増やすも減らすも自分の才覚なのです。
実は私も退職するまで知らなかったのですが、このお金は「年金」なので、私のように50代で退職しても60歳になるまでは解約できないことになっており、正確に言うと、退職後も少なくとも60歳になるまではIDECOに加入して継続しなければならず、私は退職してから3年半も経つというのに、いまだに送別会をやってもらえないばかりか、退職金も一部しかもらっておらず、残りは現金化することもできないまま、相変わらず株式運用しているわけです。(送別会が開催されない件に関しては、退職日がコロナの緊急事態宣言の真っ只中で、無期延期になったためで、私が会社で嫌われていたからではないですよ、知らんけど)
私は50歳ぐらいの頃から、旧制度の積立金を移管して、この制度で運用を始めたのですが、幸いにも年利2%を大きく上回る成績で運用できており、もうすぐ迎える60歳で解約して現金化するか、そのまま運用を継続してもっと増やすかと迷っていたのですが・・・・・・
ここ数日の間に起こった株価暴落で、つい先日(7月12日)最高益を達成してから1ヶ月もたたないというのに、8月5日時点で7月12日比で130万円ぐらい目減りしてしまい、ショックを受けていたら、その日に過去最大の下げ幅を記録し、たった1日でさらに90万円も減ってしまい・・・・・・
とりあえず、まだ元本を割ってないし、昨日は反発して、1日で50万円ぐらい回復したし、今日も回復傾向だけど、先行きが読めずヒヤヒヤの毎日です。
いや、そもそも「退職して3年半も経ってから、なんで退職金でこんなに気をもまなあかんねん!!」
株価は増えるときもあれば減ることもある、というより上がるか下がるの2択しかないし、これまでにも何度か元本割れするほど下がったことがあったけど、そこから回復してきたわけで、多少大きめの波が来たとて、そんなことに一喜一憂して慌ててもしょうがないことは重々承知しているわけですが・・・・・・ とはいえ、1ヶ月もしないうちに220万円も減ってしまうと、来月からもらえる年金保険の初回振込(1年分)でもその穴は気休め程度にしか埋まらないし、こんな日にもバイトで、美術館(休館日でクーラーが効いてない)から展示作品(主に60cm×240cmの額)の搬出という肉体労働をしても、時給1,100円って焼け石に水どころではないぐらいの無力さだし、何日もかけて創作した作品を、文学賞に応募して大賞をもらっても、賞金はせいぜい100万円ぐらいだし、「私はなんで毎日、一生懸命働いているんだろう?」と考えると夜しか眠れなくなり(ウソ、昨日も昼寝した)、宮沢賢治ばりにじっと手を見てしまいます。暑いので海水浴に行って、石川啄木ばりに、われ泣きぬれて蟹とたはむれてしまいそうなぐらいです。
まあ、今後考えなければならない問題は、私が60歳になり、晴れていつでも解約できる権利を手に入れたら、それをいつ行使するかですね。75歳の誕生日の2日前までは継続して運用できるのですが、どうせなら株価が上がっているときに、さっさと現金化したいところですし、増減を繰り返しながら75歳まで粘ったとしても、最後の最後の日に株価が大暴落したら元も子もないし、うまく決断したいところですね。(といっても、所詮自分ではどうしようもないのだ)ではまた。