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11.福島県|フィルムで47都道府県一本ずつ撮る旅

いつ:2021年4月10日(土)〜11日(日)
どこで:三春滝桜
だれと:サークル友達と
なにを:弾丸ドライブ旅行

この遊びを始めてから、「お気に入りの写真」というのはいくつかあるのだけど、全部いい写真だな、と思うのは間違いなくこの福島旅だった。

構図も色味も雰囲気も、全部好き。


友達が「免許を取ったからドライブしたい」と言い出したのが幕開け。

この時私もまだまだ運転初心者で、長距離ドライブの距離感など全く目算できておらず。
ペーパー2人旅で目的地を仙台に設定したのはきっと失敗だったな!
めちゃくちゃ楽しかったし、素敵な風景にもたくさん出会えたけど、運転は体力も気力も消費するのだと身に沁みた1泊2日弾丸ドライブでした。


しかも、免許取った友達というのは、千葉県も一緒に行ったサークルの同じセクションの同期の子で。

一般的な大学生活で発生しそうなサークルでの活動を遥かに凌駕する長い時間と狭い部屋で一緒にいて、リズムや呼吸を合わせることに命をかけてるわけで、当然めちゃくちゃ知った仲なのだけど、実は2人でわざわざ出かけたことなんてなかった。

そんな関係性は往々にして存在するけれど、ノリで1泊2日ドライブなんて、緊張するじゃないか。喋るしかすることないのに。


そうそわそわしながら迎えた当日。
格安という理由だけで選んだレンタカーは忘れもしない「ガッツレンタカー」。
無知すぎる私たちに与えられたのは、可愛い軽自動車だった。

東北道あたりで「軽自動車は風に煽られる」はちゃんと実感しました。
(「車に煽られる」は幸い私も友達も気づかない質で、のんびり自分たちのペースで運転していたけど、登坂車線を。ごめんなさい)


「じゃあ仙台を目的地に行けるところまで行こう」という最悪のレギュレーションで始まったドライブ。
助手席に座っている人間がGoogleMapやらネットやらで観光地を必死に探す。

その時ふと出てきたのが「三春滝桜」、どうやら日本三大桜らしい。
開花状況は「満開」。

特段目的地も定めていなかったから、「とりあえず行ってみる?」と向かったら。


圧巻だった。


大きすぎる

こんなに立派な桜は見たことがなかったし、この後も見ていない。
たった一本の桜が景観地になるなんて。

お恥ずかしながら三春滝桜の情報を何も知らず、衝撃のあまりその場でめちゃくちゃ検索した。

樹齢1000年らしいよ、ベニシダレザクラなんだって、国指定天然記念物なん!? うわ、ライトアップもすごいらしい、、いや夜までここおったら仙台まで着かんで。
兵庫出身と広島出身が喋るからお互いふわっと西の言葉になっていく。


空は青くて、桜はピンクで、目線を下げれば菜の花があって。
なんて綺麗な風景なんだろう。春すぎないか。

前ボケに菜の花
菜の花にフォーカス


結構ピンボケしてるけど、しばらく待ち受けにしていた写真。

背景青の色諧調、フィルムにはまる醍醐味だよね

近くにあった神社にもお邪魔したり。

子連れ狛狐?


何食べようとここに行ったか覚えてないな、と思って写真フォルダを遡ったら、焼きうどん食べてた。
と思ったら、「浪江焼きそば」という極太中華麺だそう。

雰囲気もいい地元のお店感


最後は命からがら福島駅周辺にゴールイン。
ついたのが遅くて選択肢は少なかったのだけど、たまたまググったら出るお店に入れて、大変美味しかったです。

福島名物、ふくしま円盤餃子


関西で生まれ育った私には、東北ってなんとなく遠いイメージで。しかも、福島、宮城、岩手、となるとどうしても東日本大震災の印象が強くて。

2000年兵庫県生まれともなると、阪神淡路大震災を「忘れてはならないもの」として、過去のものとして学んできた。生まれていたわけでもなければ、当時それぞれ関西に住んでいた父も母も被災というほどの影響はなかったそうだし。
でも、小学生の時に見たあの津波の映像は、安全圏にいた私にとってすら、リアルタイムの記憶だったから。

帰りにもう一度福島県を通った時、海沿いの道を走った。
放射線量が高いエリアです、という看板のの始まりから終わりを含む。
レントゲンやらなんやらを人より撮っている友人は、そっちの方がよっぽど被曝量が多いのだと笑っていたけれど、それはどれくらいの量なんだろう、やっぱり少し怖いものなんだろうか、と、思ってしまった自分に驚いた。コロナもさして騒がなかったのに。

こうも視覚的に線を引けてしまう、引くしかなかった時期と状況が残っていることが、ここが地続きの未来なのだと突きつけてくる。
生声は聞けないにしても、TVや新聞やネットやらで見聞きしたくさんの人の、想いを悲しみをやるせなさに、ほんの少しだけ触れてしまったような。


それでも自分が撮った写真は、やわらかくて、明るくて。

もちろんお天気の要素とかカメラとかフィルムの種類とか、いろんな条件でこういう写りをしているのだといえばそれまでだけど、きっと私も穏やかな気持ちで撮っていたのだろう。

とっても素敵な県だった、と思い出せる写真が現像されてきて、少し心が軽くなるような、素直にああよかったな、と思えた。

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