お風呂沸いたわよ
お風呂沸いたわよ
って、猫が言うんです。いやこれ本当に。
うちの猫、ニャーリー嬢の話ですが。
雨の日に道玄坂の駐車場で拾われたのら猫だからなのか、濡れることになんら抵抗がない猫で、最初の獣医も感心していたくらいなのよね。
そんなチビ猫時代からニャーリーは一緒に風呂に入るようになって、浴槽で猫かきしてました。
いつくらいからか、風呂の見張り番も。お風呂の自動湯沸かしが始まって、お湯がシャアシャア出てくる音をどこかのら猫センサーが反応するんでしょうね。あ、水の音だにゃ!と。すると彼女はしばらく浴槽のフチ子さんになってお湯が溜まってくるのをじっと見てる。何してんだかなと最初は思ってたけど、ああ水が好きなんだなと。そして、お湯が溜まると、鳴きながら教えてくれるのです、お風呂沸いたわよ、と。
猫って嫌いな人には泥棒猫なんて言葉があるように(泥棒犬とな言わないよね)性悪で化け猫みたいなもんでしょうが、好きな私にとっては、尊敬に値する存在。人間以上に観察眼が鋭くて、傍若無猫というか、わけわかんないくらいマイペースでありながら、人に対して一理あるみたいな。私とニャーリーは相棒、バディの関係です。たまに、あらニャーリーちゃんのお母さん!とかしれっと言う人いるけど、私この子産んでないし、ニャーリーにとっても、私みたいないい加減の出来損ないが母親なんて、実際に彼女を産んでくれた偉大なるマザーに対しても失礼じゃないかと。
だから、ハニーバディなのだよ、私たち。
で、「お風呂沸いたわよ」をまた最近やってくれたので、おお相棒よ、お前はなかなか気が効くやつだなと、じゃあ久しぶりに一緒に入ろうかとしたけれど、もう彼女は前みたいに一緒に風呂に入る気力がなかった。ちょうどそんな先週に私ってば極度のぎっくり腰になって動かぬ人となってしまい、ピアニストの南博さんからのご紹介で電気鍼とカッピングを施術してもらい、昨日からやっと動けるようになったのですが、帰宅したら、ニャーリーの様子が今朝よりももっとおかしくなっているではないか。
そういえば、猫って人の陰の気を吸う。20年一緒にいてそんな境地はいくつかあった。今回も間違いなくそうだ。そして猫は色んなことを私に通達してくれる。まるで宇宙からのメッセージのように難解だが、ある時、人の言葉よりもシンプルに感情にダイレクトに届くものだから、なんて宇宙的なんだと、感涙してしまう時もあるほど。
彼女は明らかに私が良くなるタイミングを待ってかのようだった。
一昨日くらいからかな。ご飯も食べなくなった。
抱き上げると昨日よりもまた一段と軽くなっている。いつものハーマジェスティチェアからも落ちたりしている。食べもしない、水も飲まない、トイレも行っている風情がない。昨日はそんな彼女の観察を朝まで寝ずの番。まだ寒い夜に風呂場の脱衣場なんかで寝ていたり、E .T.みたいに私のクロゼットの奥に入ってなんだかぐったりしている。
ああこれはもういかん、ということで、バディを抱き上げ、E.T .ライドじゃないけどカゴにタオルで包んだニャーリー嬢を乗せてチャリチャリとチャリンコを立ち漕ぎするのは家人カッパ君に任せて、私は愛車にバディである彼女を乗せて、ジョンアンドバンチよろしくとは行かないので、そうだな、ワッキーレースのブラック魔王くらいにしておくか。朝から受診するためにかかりつけの動物病院へ。その際、カーステから流れているのはもちろんジョン・ウィリアムズ御大のあのテーマソングです。今回フェイブルマンズも音楽は御大なので必見です。
診断結果は、腎機能の数値がメーター振り切るほどのデスプルーフいや、末期症状。これを処置するには入院による静脈点滴か、通院による皮下点滴の2択。私はエリオットとE.T.みたいに離れ離れになるのは嫌なので、毎日の通院治療を選択。
脳内にはもうさまざまなE.T.の場面のジョン・ウィリアムズ御大メロディが再生されております。
帰宅し、大好物の熟成パルミジャーノをお湯に溶かしたのをあげたら、少しペロペロ飲んでくれた。輸液が効いたのか。でも固形物は食べてくれない。悲しみを帯びたクララさんの奏でるテルミンみたいな鳴き声をか細く発してる。
おお、ハニーバディ。しばしCBDオイルで顔から頭お尻まで全身マッサージしたら気持ちよさそうに眠った。猫にも効くのかすごいな。乾いた鼻も湿ってきた。冷たかった体温も少し温かくなってきた。そして、ナナナなんと!生まれて初めてウェットフードをペロペロと豆皿に一皿食べてくれたではないか!よしよし。そんで、自力でトイレチッチをしてくれた!ニャーリーさすがである。てなわけで。。。
ニャーリーと私、バディとの介護生活がはじまったのでございまする。
ニャア。