見出し画像

不安

少し前に髪を切った。無造作に伸びてボサボサになっていた鬱陶しい前髪とおさらば。後ろも結構伸びてくれていたようで。半袖を着る頃には目標まで伸びてくれそう。
シースルーは無理、という反動からか前髪重め。ぱっつん。二年ぶり。最初はやっちまったと思ったけれど、少し伸びたようでいい感じ。

雨。歯医者に行く用事があったから適当だけれどヘアセット。洗面所に転がっていた名も無きヘアオイルをつけたらあら大変。さらさらタイプだったらしく全然まとまってくれない。太めちょい癖のおれの髪の毛大爆発。しっとり系しか勝たん。つけすぎてベタベタにしてしまうことが多い。適量を模索。

入学関連の手続きは一旦終わり。引っ越しの準備とかも大体終わり。
二年ぶり三回目の大学一年生。今度こそ上手くいきますように。

ここ数日左手が痛い。今日は尚更。実際不安。身体は正直。ここ数ヶ月は弓は痛くならない、なっても治まりが早く。ピチカートでも薬さえ飲めば大丈夫だったのに。薬を飲んでも治まらない。不安。身体は意識より記憶力が良い。

去る霜月、仕事を辞めた。近くの動物園に行こう、と思い立って早四ヶ月。結局行かなかった。一年前旅行に行ったときに買ったフィルムもまだパトローネの中。明日と明後日で使いきれるとは思えない。
近所の図書館も、結局あまり行かなかった。大学に行けなくなった頃、散歩だけが娯楽だったのに全然行かなくなってしまった。日記も、最近は殆ど書いていない。楽器、練習出来ていない。エレクトリックベースの弦を交換したのは一年以上前。本は、読んでもいなければ買ってもいない。お小遣い、と親父がお金をくれるけれど密林の月会費が落ちるだけ。

では日中何をしているのかというと、何もしていない。昼前に起きて、昼ご飯を食べて、気がついたら日が沈んでいて、風呂に入って、夜ご飯を食べて。歯磨きお薬。その繰り返し。なんとか調子の良い日はシマンドルをなぞる。けれど、それも長時間集中して出来るわけじゃない。一時間出来れば御の字。
ヘブバンも、色々書いたけれど正直ライフを消費するので精一杯。五章が公開されて一ヶ月経とうとしているのにまだDay5。文章を咀嚼する体力が無い。

脳のパフォーマンスが著しく落ちた。高校一年生の頃、毎日教師と喧嘩していた(おれが一方的に喧嘩を吹っかけていた)のはおれの妄想なのかもしれない。この身体のどこからそんなバイタリティが湧いていたのだろうか。五年の年月を経て蛻の空。

中学校の頃、学校に行けなかった頃を思い出した。今のおれによく似ていた頃。
四月は君の嘘。アニメが放送していた。おれは音楽も、アニメもそんなに興味が無かったのに、何故か見た。話の内容はあまり憶えていない。バイオリンに憧れた。
長門有希ちゃんの消失。アニメを見ていた。今でも一番好きな作品。物語も、優しくて穏やかで大好き。しかし、それ以上に音楽に耳を奪われた。あの作品の持つ柔らかさをそのまま音に変換したような。彼のアニメには印象主義、二十世紀の作品が多く使われていた。おれはラヴェルとドビュッシーが好きになった。
おれの通っていた中学では連絡帳のようなものがあって。その中に少しだけ日記のようなものを書くスペースがあった。何を書いていたのか、今となってはあまり憶えていない。高校生の頃に捨ててしまったから見返すこともできない。けれど、それを書くことがとても楽しかった。自分の書いた文章を誰かに読んでもらうことが嬉しかった。
憧れていた人に手紙を書いた。恥ずかしくて、重くて、彼の人からしてみればとても迷惑で、恐怖に感じたのは想像に容易い。

八年前と比べて、おれは何一つ変わっていなかった。印象主義も、コントラバスも好き。文章を書くことが好き、歪んで文章しか書けない端末に四万円も平気で払うようになった。きっと、誰かを好きになれば。
何も変わっていなかった。ただ、元に戻っただけだった。それに、おれの望みは叶ったのだ。時間のせいか、隣に在るのはかつて憧れたものよりかなり大きい気がするけれど。

不安に思う気持ちはわかる。けれど不安に思ったところでなにも変わらない。今からおれに出来ることなんてない。そもそも、きちんと出来るわけがない。所詮幼卒。何故か高校時代はノリに乗ってしまっただけ。あれはボーナスステージだっただけ。
おれにできることなんてない。残念だけれど、諦めな。強いて言うなら元気が無くても楽器に触ることくらい。

いいなと思ったら応援しよう!