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まえとあと(1)

忌野清志郎が晩年、自転車に取りつかれあちこち乗り回していたことは有名である。僕は学生のころから好きだったロックでブルースな清志郎と、自転車がどうにも結びつかなくて、清志郎も年だし健康のためなら清志郎でさえ体作りをするのかと思ったものです。

昨今、コロナの影響もあるのか二輪車の人気が上がっているようで、休日や観光地ではバイクも自転車もよく見かける。そして自転車でツーリング?をしている方々を見ると、皆さんあの独特なヘルメットとサングラス、ピタピタの服を着用していて、僕は自転車に興味を持つ以前に『あの格好は僕にはできんなぁ』と静観していました。

来月から主夫に就任することが決まり、生活圏を移動するのにいちいち車を使っていては経済的ではなし資源の無駄との思いから、悪天候でない限り自転車で移動をしようと思っていました。確か娘が使っていた自転車を最近パートナーが修理して使ったという話を少し前に聞いていたのでそれを使えばいいやと思っていましたが、その自転車は今後乗ることがないだろうということで処分してしまったとのこと。
『まあ、安い自転車を買うか』
どうせなら、車に積めて写真を撮りに出かけた時などに使えたほうがいいかななんて考えていたのですが・・・


いつもの休日、いつもの中華のお店でランチをした後、いつも素通りする倉庫風のお店の前を通ると、ずいぶん車が停まっていてにぎわっていました。

『へぇ、こんなに人が来るんだ』

ちょっと見てみようと思い、わざわざ通り過ぎたのを周辺を一回りして駐車場に車を滑り込ませました。止まっている車のナンバーを見ると「三重」「岐阜」「滋賀」!???

『ん、なに?』

がぜん興味がわいてきて店内。
すれ違うスタッフの方からアイコンタクトと「いらっしゃいませ」の気持ちの良い声。

あるは、あるは、スポーツタイプの自転車、自転車、自転車。

『あちゃーこれは俺には』

って思いながら奥へ行くと、ありました折り畳みの小ぶりな自転車が

『これこれ』

って思いながらプライスを見ると
7万円、8万円、9万円、15万円、30万円、40万円、50万円

『あちゃーこれは俺には』

そして、タイミングよく
「今日は何かお探しですか」
と、スタッフの方から声がかかったのでありました。

つづく

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