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わたしの知らない世界
10年ほど前の話。
とある定食チェーン店でタラの黒酢あんかけ定食をほおばっていると、一組の客が入ってきた。
店員「二名様ですか?」
客「4人です。」
え?そんな人数の見間違いある?と思って目をやると
父親が赤ちゃんを抱っこして、母親が子どもを乗せたベビーカーを押している。
うん、たしかに四人だ。
椅子に座るのは二人かもしれなくて、店員もそのカウントで二人と聞いたのかもしれないけど、人間の存在は四人である。
5年ほど前の話。
久しぶりの友人と、お洒落なカフェでお茶をすることに。オープンしたてのその店はたいへんな人気でしばしの待ち時間があった。
我々はわたし、妊婦の友人、子連れの友人の四人組だったが行列に並ぶとどこで区切られているのか店員はわからない。
我々グループの先頭にいたわたしは店員に何名様ですか?と聞かれ、あろうことか「3人です。」と答えてしまったのだ!すかさず子連れの友人が「あ、4人です。」と言って席は無事確保できたのだが。
その時もすぐに謝ったが、もうその出来事を忘れてしまったかもしれない友人とその子どもに永遠に謝罪し続けたい思いだ。
つい最近も自分が店員側として、また同じ過ちをしそうになった。
これは自分に子どもがいないということも原因のひとつかもしれない。どこかで子どもは一人の人間として見ていないという潜在意識があるのだろう。恐ろしいことに。
職場の上司で、その教育方法が好きではないと思っている人がいる。そんな方法では若い子はついてこないよ。と内心思っている。彼女自身にも子どもがいるが、ほとんど仕事中心の生活で子育てをしているのか謎だった。
先日、店にきた客の子どもが推定5,6歳、言って諭せる年齢と思われるが、ずーっとグズグズわけのわからないことを言って親は手こずっていた。その上司は子どもにサッと近づき何かを話して頭をポンポンとしたら、その子はやっと静かになり帰っていった。
わたしは教育について少しだけ勉強したこともあり、本も読むので上司のひとりよがりな方針を嘲笑っているところがあった。しかしこの一連の出来事で完全に敗北だった。勝ち負けなんてないんだけど。
彼女が子どもと過ごした時間は専業主婦に比べたら少ないだろうけど、それでも子どもたちがいる20年間と、ずっと一人のわたしとはまったく見てきた世界が違う。生身の人間と向き合ってきた経験に机上の空論など及ばないのだ。