見出し画像

推しのCWシナリオ作者様に小説コミッションをお願いした話

アスタラ街道の果てまで行って、やや南方。
香辛料じみた赤っ風が吹き止んだ頃、
キャラバンの馬車は東の僻地に到達した。

ここはリューンからも遠く離れ、
山一つ隔てれば、東方の大帝国
アウグスティノープルが広がっている。

だが、戦乱の気配はとうに失せて、
今は特徴的な形状をした青い山々が
大地から突き出しているばかりである。
 これから東西へ征く旅人の休息地――。
  スイエン
「炊煙の街ヨッド」とは、
 そんな隠れ家のような街だった。

CWシナリオ【カンザカイ魔境伝】/mahipipa様

リューンから馬車で出て、北へ北へ。
すっかりラーデックが見えなくなった頃、
冒険者たちは一つの街に辿り着いた。

北限の地、タルターシュよりは
かろうじてリューンに近いこの地を、
人はまとめてアルクレンク領と呼ぶ。

硝子細工に名高いハリガラ村を擁するこの地は、
古くより錬金と染め物の都として、
静かに世界の片隅で生き延びてきた。

   けれど、領の歴史を知る者は言う。

貴婦人アルクレンクに会う者よ。
彼女の妹を心に描いてやってくれ――と。

CWシナリオ【アルクレンクは惜別の果て】/mahipipa様

mahipipaさんのカードワースシナリオとその設定に魅せられている猫科ですが、そもそもしてこの導入からめちゃくちゃわくわくするのってやっぱり凄いんだよな、を思っているので冒頭に持ってきちゃいました。

これ正直脳内映像が流れてこない??私は、流れるぞ。

という事で今回何のnote記事かっていうと、すご~く好きで推しのカードワースシナリオ作家さん(【雨上がりには銅の月】っていう小説を書いていらっしゃる作家さんです!)にうちよそ小説コミッションを頼んだ話!です!

正直このnoteは読まなくても斜め読みでも良いのでmahipipaさんのコミッションページ飛んで欲しい。まじめに。
ここにいるのは興奮した早口オタクです。
(あと依頼したうちよそCPがBLなので、ほんのりその辺が見え隠れします)


■思い至ったが吉日

「コミッション、宣伝大変だよなあ……」
「私が札束で応援すれば良いんじゃね?」

個人の依頼が増えている昨今、宣伝する側も大変だよねえ、みたいな感じを思っていたねこです。

ずっとmahipipaさんが小説コミッションをされている事は知っていたのですが、なかなか頼む機会も二の足三の足百の足踏みまくっていました。

頼もう!と思ったきっかけは「応援したいな~」の気持ち。
次に小説コミッションを頼んだ経験がないので、どんな感じなのかな……mahipipaさんの描くうちよそが見たいな……という気持ち。
うちよそ小説の場合よそ相手さんの了承が必要なのでその足(?)で、私とたくさんうちよそをしてくださっている七日空さん声を掛ける事に。

ありがとう七日空さん。極大感謝。
こんな可愛いアイコンまで作ってくれた……。
こんなオタクが騒ぎ散らすだけのnoteの為に!?!?!?
というわけでうちよそ相手PLさんの七日空さんとお金を出し合いmahipipaさんの窓口に突撃する事と相成った訳です。

両手に抱えきれない程うちよそがいるので「じゃあどのCPで……?」だとか「内容ノープランだけど何を書いて頂く……?」だとか駆け込む前に予算以外の全てが難航したのは内緒だ。
こういうのって迷うのは我らだけなのか……??

■mahipipa氏の窓口をノック

今回はつなぐさんを利用させて頂きましたが、うちよそ小説コミッション、かつ結局内容がばっちり決まることの無いまま捕獲してしまったのでお二人にお許しを頂いてから、三人で話し合える場を用意しました。

こんなふわっふわしたままで突撃したという話

私も七日空さんも絵は描くし、ロールプレイでの文章遊びも割と積極的にするものだから、シチュエーションなりこれが見たい!になると自分達で生成しちゃうんですよね……。

この根っこにあるのはmahipipaさんの解釈での二人が見たいという気持ち。
わたあめみたいにふわふわだな。
でも人の手で描写して頂くなら、どうせならその方の解釈と物語が食べたくないですか!?

決まっているのがカップリングと予算だけという状況!!
でもこの状態で突撃しても許していただける!!!!神様かな……。

あとこれ、本当にありがたかったのですが私は文章化が(note書いてるくせに)本当に本当に得意ではなく、苦手で、何なら着眼点も磨かれてもいなくて……。
mahipipaさんの優しいヒアリングぢからと七日空さんが隣にいてくれたのすご~く助かっていました。
ヒアリング、コミッションにおいてのお仕事のひとつなのは分かっているのですが、これがいかに大変かというのもある程度は知っているつもりなので……。

おかげでちゃんとキャラの事を話したり、好きなシチュエーションについて話す取っ掛かりができたりでやりとりでの安心感ができるのって凄いなと思いました。

というわけでですね、キャラクターの詳細や二人の関係性だとかを……

でもやっぱ七日空さんの方がしっかりしてた!!!!
(何なら苦手も好きシチュもしっかり言語化されてた)

■小説納品が楽しみだね

内容にも少し触れると思うので、どんなうちよそCPを出したのかだけちょっとご紹介。

  • カードワースの冒険者うちよそ

  • ハーフエルフの魔術師×タブロアートの掘り出し物アンドロイド

  • レベルは7。レベル9-10になったら修理できるようになるといいね~をしている

  • アンドロイドはmahipipa氏シナリオ【白い部屋の葛藤】の技師に世話になってる

これだけあれば多分十分。
そう、mahipipaさんのカードワースシナリオに関わるキャラクターをですね……アンドロイドをですね……持ってきたわけですね……!
お世話になりまくってるので作者さんの手でこの二人が!凄く見たい!

*サンプルお届け

という事で一先ずキャラクター&CP文章を投げつけた後、サンプルが届いたわけです。

 荒野に赤い砂が吹き荒れる様を、赤っ風と最初に呼んだのは誰だったのか。馬車からもよく見える空は、青い中に赤い土埃を巻き上げて、彩度低く唸っている。
 馬車の中には冒険者が二人、お互いに質感の違う肉体を寄せ合っていた。

「ま、これも縁といえばそうですけど、ロクでもないお使いじゃねえでしょうね?」

 一人は男性型のアンドロイドだ。青い瞳にちらちらと紫の光が灯っていて、花飾りに似た耳元の端末が人の印象に残る。口ぶりは丁寧そうに見えて、かなり荒い。今回の依頼に心配半分、期待半分といった表情で幌から見える空を仰いでいる。

「分かんねーが、丁度暇だったんだ。冒険者が暇してると散財するってんなら暇してる奴が行くのが適役じゃねーの?」

 もう一人は魔術師だ。一目見て、色とりどりで華やかな長い髪とイヤーカフがいくつもついた尖った耳が人の目を引く。それでも、一度は没落した魔術師の名門コロール家の御曹司とは誰も気付かない。
 彼は暇そうに、従者に寄りかかって首元のネックレスに指を引っかけて遊んでいる。主が全身で表現する『暇』という言葉に、アンドロイドは再びため息をついた。

「暇ですよねえ……」
「陸路はどうしてもここがなー……」

 紫黒幻月の落し仔。それが二人の所属するチームの名前だ。群雄割拠の冒険者ギルドの中でも、中堅からいよいよベテランになろうかというところに属している。

納品小説より/mahipipa様

私は良く七日空さんの言葉に頷くだけの赤ベコわかるBOTになります。
サンプルの時点でめちゃくちゃ興奮しちゃったわけで。

というかこのnoteの冒頭にmahipipaさんのシナリオの導入持ってくるくらいには、この始まりの掴みが本当~~……に好きで。

今回納品して頂いた小説冒頭がカンザカイやアルクレンクのそれに近い雰囲気なのでこの二作を持ってきましたが、ゴブリンに襲われている馬車をどうしようか、から始まるフラクタリ、冒険者の全滅、怪物の様相から始まるドミナス・リミニス。
冒険者の置かれているその場所の描写だとか、これから何が始まるんだろう?と思わせる空気感だとかが好みドンピシャで……そしてそのわくわく感を裏切られた事がなくて。

そんでもってサンプルからも分かる解像度の高さよ……(これはもう私達にしか分からない)(つまり頼んだ人にしか分からない!この嬉しさ!

サンプルが届いただけで凄く盛り上がっちゃった……。
そう、完成品が届いたらお喋りしながら感想会でもやるか~~ってしてたんですよね。
してたらですね…………。

~約2時間後~

*序文お届け

いや……ほんとに……サンプルは分かるんですよ、無いとね、色々ね!
台詞と地の文の行間好みとかね!キャラクターの動きの描写とか台詞とかね!あるからね!

でも本当に完成してから納品になると思っていたので、序文が来る→これから更新という流れに目ん玉ひん剥いちゃってぇ……。
小説コミッションってこんな感じなんだろうか?と思ったんですがそもそもmahipipaさんが心配になる程かなりユーザーフレンドリーでお気遣いがモリモリなのでそういう……所なんだろうな……!!と思いました。

多分人による。それはそう。

*更新が……来る!

↑名言

何から語ったら良いんだ?
……何から話せば!?

「どうよ、ウチの品揃えは。いや、実は、折り入って頼みがあンだわ。この後、急いで帰る理由はあるかい?」
「ん? いやぁ、まあ仲間待たせてますけど、別に急ぎじゃねえですよ。何です?」

 まじまじ部品を観察し始めているルコリスの側に立ち、ジャルディは親方に促した。押し売りではなく依頼の気配に、正直ほっとする。
 親方は頭を気まずそうに掻いてから、上を見上げた。

「上にある柱、見たかい? あいつのメンテナンスに必要な部品がまだ届いてねンだわ」
「柱っつーと、あの鉄柱ですか?」
「そう、ありゃ一種の人払い兼ね魔物避けの結界でな」

 ジャルディの問いかけに、親方は頷いて腕を組んだ。

「柱の根元から頭まで魔法がぎっしり書かれててな、燃料で動くんだ。そいつの影響か、あの鉄柱はずうっと錆びてないんだと。確かに、俺もここに何十年と住んでるが、ただの鉄のくせに錆びてるとこ見たことねェや」
「ほう……興味がある。んで? 燃料ってのは何だ?」

 ルコリスも魔法の話が出れば、意識を地上にそびえ立つ鉄塔へ向けて親方の答えを待った。

「ここから南に行ったとこに洞窟があるんだが、そこの石炭を入れるのさ」
「石炭なら他のとこから回せそうな気はしますね。持ってきてやりましょうか?」
「んにゃ、あそこのじゃなきゃ駄目さ。あそこの石炭は面白い作用があるが……魔術師なら目で見た方が早いだろ、一目で分かる色してらァ。袋を渡すんでそれ一杯詰めてきてほしいと、ついでに回収に行ったからくりを回収してきてほしいのさ。もちろん、他言は無用だ」
「守秘義務付きの『依頼』だな。報酬は?」

納品小説より/mahipipa様

元々この二人はアンドロイドのメンテなり修理なりをしてくれる『技師』から、部品を取ってきて欲しいという依頼でクミナールまで足を運んだ訳なんですが。
この……依頼から別の依頼に繋がる感じ!これとても良くある事だよな~!とカードワースユーザーは思ったわけです。
何かこういった所すらすごくこう、「二人のためのシナリオを書いて頂いている!」という感じがあって嬉しいんですよね。

物凄く好きで推しの……作家さんに……うちよそシナリオを……!!

読んで下さってる方の中にはカードワースなり何なりで、キャラクターが自分の意志ではない誰かの手で動いている様子が楽しい!と思う人も決して0じゃないと思うんですが。
それっぽい!っていう次元じゃなくてもうそれ!!という高解像度でお出しされるこの……嬉しさ……喜び……最高……。

 言うまでもなく、ルコリスとジャルディとでは感覚が違う。ルコリスの方が魔力や異質なものを検知する力には長けているし、ジャルディの方は暗がりや些細な違和感をすぐ感じ取れる。二人はこういう時、お互いの違う知覚を使って情報を補完しあっている。
 現に、ルコリスは地下の魔力を探り当て、地面の方をじっと見つめていた。

納品小説より/mahipipa様

このアンドロイドと人(ハーフエルフ)の感覚の違い。
当然と言えば当然なんですが、こういった所でちょくちょく差異を出してきてくださるんですよね。
自分達でロール遊びはしていますが、それはそれとして自分がそういった所をしっかり表現できているかは別なので興奮しながら学びを得ているなど。

わかるねこBOTになります

私も感想というか文字を必死に打ったりしてるんですけど、七日空さんの感想が全わかるになってしまってもう半分くらい赤ベコ頷きわかるBOTになってた気がします。

話してたら本当にずっとロングロングで語り続けてしまうんですが、こんな感じで感想が来る度に二人で沢山話して地面に転がり、もう本当ずっとやばかった……。

こういうところとかね。
流石すぎんか????最高????最高……。

■納品がされた


当記事冒頭のこれになる

修正箇所はないか、とかサンプル掲載の可否、とか注釈付けてます、などなどお話頂きつつ無事納品して頂きました。
あんまりにも最高&解釈一致過ぎてそのまま受け取る形に。

お、おいしい……このうちよそ小説美味しいよぅ…………。
(大切なものをしまう場所にIN)

注釈についてなのですが、ちょっとした補足というか、今回だと詠唱の話だとか、クミナールの元ネタの話だとか、そういった事が副音声でついててこれもまた嬉しかったです。

お出しした私達のうちよその事をしっかり見てくださっているというのも、作品からは勿論ですが注釈からもわかってじんわり心が暖かくなってですね……へへ……。

当たり前と言えば当たり前なんですが、人のうちよそってなかなかこう、やっぱり目線を向ける事って少ないじゃないですか。
勿論そういった事は0ではないんですけど!見てくださる人もこれまでにもいた!ので!

ただご依頼という形で、こうやってしっかり見てくださる、というのが作品から注釈から、あと丁寧なやりとりから実感としてずっとあって……。

見えてる沼だったかもしれないんですが、ここまでとは思ってなかったんだよ~!助けて~!!(たすからないよ)

約2万文字を頼んだ私達でしたが、お声がけしたのが12/15。
納品されたのが12/29。…… 早くない??

感覚的にも更新来る度に騒ぎ散らして、毎回わくわくして次を待っていて、何度も読み返して楽しい2週間でした。
何なら今も何度も何度も穴が空くほど読んでる。

こうなっている七日空さんを私はにこにこして眺めていました

趣味にお金を投じる事、精神に良いらしい。
でも無理のない範囲で!!無理のない範囲で!!!!(自分に言い聞かせる)

■最後に

どうしてもmahipipaさんに小説コミッションを頼んで良かった~!を残しておきたくて書き始めたnoteで、わかってはいましたがまぁ興奮したオタク語りだ……。
でもこうして残しておきたいな~!!って思えて実際に書いてしまう程、それくらいmahipipaさんのコミッションが、納品頂いたものが良すぎて……!!

本当にありがとうございました!!!!
そしてですね。

*どうせなら私達と似たようなテンションの人も同じ沼に落ちねえかな~~~!!!!!(大声)

ほら、ここを見ている貴方、貴方です。

お前も沼に落ちないか?

というわけで今一度、mahipipaさんのLit.linkを貼っておきます。
またmahipipaさんからお言葉を頂いているので、そちらも。

『サンプル掲載不許可の場合はちゃんと守秘義務を守ります!』

『配布されているシナリオ内容と情報の格差が起こらないように気をつけて作ってるよ!(なので、当シナリオ関係についてはとっかかりにすることはあっても小説限定の情報はありません。安心して遊んでね!)』

mahipipa様より

是非一度……本当に……!
一度だけで良いですからこの喜びやら嬉しさやら興奮を味わってください。
こればっかりは多分一度でも経験しないとわかりにくい。
でもこうやってnote書いちゃうくらいのものを作って頂ける。これだけは事実なので。

特にmahipipaさんのCWシナリオが好きだよ~~!って方には本当に是非……是非……!!!という強い気持ちがあります。
是非!!!!!!!!!!!

*ところで、頂いた納品小説にこんな注釈がありまして

『今回はジャルディさんの視線で書かせていただきました。
 それ故に、ルコリスさんの心情などはどうしても薄めだなと感じています』

『次回があれば今度はルコリスさん視点で書きたいですね!』

納品小説注釈より/mahipipa様

あ~~~~!!
お金貯めてまた頼もうかなは思ってたけど別CPかな~を思ってたのに、これは次もこの二人頼みたくなるじゃん~~!!!!!!

なるほどね、こうしてリピーターって生まれるんだ…………。
この重度のリピーターが沼に頭から使ってもう沈みきって見えない人なんだ…………。






いいなと思ったら応援しよう!