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マッカーシズムの失敗がもたらしたもの:日本人が知るべき赤いアメリカ(6)

マッカーシズムに関する前回までのあらましを3分で

この章は前回までのまとめとなります。すでに読んでいただいた方はこの章を飛ばしてください。

日本人が知るべき赤いアメリカ:
❶共産化するアメリカは、第二次世界大戦前から始まっていた
WWⅡ前後の共産ネットワークを暴いた、ヴェノナ文書
反共のフリして、共産圏を太らせる、リベラルメディア
歪められたマッカーシズムの評価
マッカーシズムの失敗は、共産主義を理解し切れていなかった!? 

マッカーシズムと、マッカーシズムの失敗について

  • マッカーシズムは第二次世界大戦後に行われた、アメリカ政府や官僚、軍、エンタメ産業に潜んだ共産工作員を摘発する活動

  • マッカーシズムはデマに基づいた、根拠のない赤狩りと評価されることが多いが、摘発された工作員や工作活動については、それが事実であったと、ヴェノナ文書等で証明されている

  • マッカーシズムの失敗は、マッカーシー上院議員が摘発対象を軍部にまで伸ばしたことで軍部の反感を買った上、摘発した人物が共産党員である証明に失敗した。

  • (私の仮説)マッカーシズムの失敗は、❶デュープスを共産党員として検挙した可能性、❷共産主義がイデオロギーであるという勘違い、❸巧妙な正体隠しスキームに気が付けなかった可能性の3つ

フーヴァFBI長官による共産党分析

  1. 公然の共産党員:共産党に所属していることを公表した上で、活動している人。

  2. 非公然の共産党員:共産主義者であることや、共産党員であることを隠し、共産党の秘密活動に従事する人。

  3. フェロー・トラベラーズ(党の同伴者):共産党とは関係なしに、自発的に共産党を支援する人

  4. オポチュニスツ(機会主義者):自己の利益確保が目的で、一時的に共産党に協力する人。

  5. デュープス(騙されやすい人):一見、イイコトに見える(聞こえる)、共産党やその関連組織のキャンペーンに共感して、知らず知らずのうちに共産党に利用される人。

F・D・ルーズベルト大統領に対する評価に対する疑問

子どもたちの歴史のノートを見て愕然としたこと

ここでそもそもこの問題に関心を持ったきっかけについてシェアさせていただきたいと思います。最初に疑問を感じたのは、フーバー大統領への評価が異常に低いということでした。さらに、”間抜けな大統領”という評価に対して、「具体的に、どこが間抜けなの?」と聞いても、「だって、先生が言っていた」と理由を答えられない点にも疑問が残りました。一方、フランクリン・D・ルーズベルトの評価が異常に高いのも気になりました。

第二次世界大戦については、一言で言ってしまえば、かなり先生の主観で語られているものでした。別々の先生に学んだはずの子どもたちのノートですが、そもそも第二次大戦についてのページは、真珠湾攻撃の記述から始まります。その後に、ドイツのポーランド侵攻について。歴史は流れが重要だと思うのですが、時系列がめちゃくちゃです。さらに同じくポーランドに侵攻したソ連のことは、一切記載されていません。ハルノートや東京空襲について学んでないのは、仕方がないかもしれませんが、原爆すらノートに記述がなかったことは驚きました。どうやって戦争を終結させたのでしょうか?

”ルーズベルトの評価”でググってみたら?

子どもたちの学校のノートよりもさらにすごいのが、一般的なルーズベルトの評価です。下記は”F・D・ルーズベルトの評価”でグーグル検索したものの結果です。赤字は、検索画面に表示されたわずか数行に、彼の評価の記載がされたものの抄訳です。

(評価に関係する記述がないリンクは飛ばしました)。

ここで思い出していただきたいのが、ソ連の暗号を解き明かし、アメリカでの共産党工作員の活動を暴いた公文書、ヴェロナ文書です。ルーズベルト大統領の周辺にいた重要人物に、共産党(コミンテルン)の工作員がウジョウジョいたことは、ヴェロナ文書ですでに明らかになっています。ルーズベルト大統領自身がこの事実を知っていたのか、どれくらい関与していたのかは、わかりませんが、”ハルノート””ヤルタ会談””GHQ””国連設立”・・・その全てに共産工作員が関わっていたわけですから、コミンテルンのやりたい放題にさせてしまった、それこそ”おまぬけな大統領”です。もちろん、これは私のルースベルト評ですので、これが絶対というわけではありませんが、パッと目にするルーズベルト評価がやたらと絶賛されているのは、気持ちの悪さがあります。

Wikipediaのルーズベルトページにも、「歴代アメリカ合衆国大統領のランキングでの人気投票でほぼ上位5傑に入るなど、現在でもアメリカ国民からの支持は根強い」と言及されていますが、実際、ランキングではよく上位でお見かけします。

Wikipediaに限らず、人物辞典のようなものはどちらかといえば左に傾いていることが多いのですが、Wikipediaでは一応、ルーズベルトを批判する立場も紹介されています。そのような中、興味深いのは下記の部分です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フランクリン・ルーズベルト

BLMやアンティファの中にいる、過激な左翼活動家により、銅像を倒されてしまった人物にリンカーン大統領がいます。リンカーンは、奴隷解放宣言を行った大統領です。にもかかわらず、銅像が倒されてしまったのは、強制的な奴隷解放が南部飲みにとどまったこと、ネイティブアメリカンに対しては差別的な政策を行ったことが理由として挙げられていました(北部解放をすぐに行わなかった理由は、自発的に開放に向かうという期待があった北部は自然な流れに任せた方が社会が混乱しないと考えたと言われています)。

日系人に対する差別的な政策だけでなく、
黒人に対する差別的な対応も行った過去があるようなのですが・・・
あれ?F・D・ルーズベルトの銅像、撤去されたんでしたっけ?

ちなみに、ニューヨークで撤去されたのは、”セオドア”の方の、ルーズベルト大統領です。銅像を倒す活動自体、賛同しておりませんので、「左翼過激派の皆さん、お忘れですよ!」とは言いませんが、あれ?あれれ?フランクリンは?です。

さらに、ルーズベルト大統領の公約は、”アメリカ人の子どもをいかなる外国の戦争に送らない”でしたが、彼はこの公約を見事に破って、第二次世界大戦に参戦した大統領です。だからこそ、ハルノート等を使って日本を追い込み、日本が先に戦争を仕掛けてくれる工作活動が必要だったわけですが。この点は、GHQのマッカーサーやフーバー大統領も認めており、日米戦争はルーズベルトが仕掛けたものと言及しています。いってみれば、ルーズベルトは、アメリカ人を裏切った大統領です。にもかかわらず、人気ランキングで上位というのは、なぜなのでしょうか。

2011年にようやく刊行、フーバー大統領『裏切られた自由』

大統領を退任した後、アメリカでは政権時代を振り返った回顧録が出版されます。第二次世界大戦後、回顧録を出版しなかった大統領は、F・D・ルーズベルト、ケネディの2人、そして、今のところトランプです。ルーズベルトとケネディは在職中に亡くなったことが原因で、もう1期狙うトランプ大統領は”今はまだ、回想する時期”ではないというのが理由ではないかと思います。

そしてその時期についてですが、基本的には退任後2−3年のうちに刊行されることが多いようです。回顧録の影響は、現政権や次の選挙に影響しますし、あまり時間が立つと、VS現政権で追記したいことが止まらなくなるため、次期政権の早い時期に出版されると言います。これは政治家の視点です。では、出版業界の視点ではどうかというと、より多くのセールスを狙うには、元大統領の存在がホットなうちに出版したいと思うものです。そのような事情を考えても、退任後2−3年というのは妥当な出版時期だと思います。

そのような中、出版に3年以上かかった大統領がいると言います。次に引用させていただいた記事によると、ニクソン、クリントン、オバマの3人です。しかし、記事の”4年近く”はちょっと微妙で、4年近くかかったのは、確かにこの3名かもしれませんが、退任から出版までに80年かかった大統領がいます。

回顧録の多くは退任後2年から3年のうち、つまり次の政権のうちには刊行される。カーター、レーガンなどは退任翌年に出版した。4年近くかかったのはニクソン、クリントン、オバマ(1巻目)の3名だ。ニクソンはウォーターゲート事件による辞任、クリントンは弾劾裁判にかけられた点で、世論の赦しを得るまでに一定期間を置く必要性を共通して抱えていた。

https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_87.html

1932年の大統領選で、ルーズベルト大統領に大敗した、ハーバート・フーバー大統領です。フーバー大統領が書いた、第二次大戦を詳細に検証した回顧録『裏切られた自由』は、2011年になるまで出版することができなかったということです。退任からは80年、著書が出来上がってからは50年が経っています。

アマゾンの書籍紹介にある本書の内容は、次の通りです。

Amazon

この回顧録が他の大統領の回顧録と少し違うのは、主に、第二次世界大戦の過程を検証したものだったからです。原本を書き終えた後、亡くなったフーバーは、遺族に出版についての遺言を残していたようですが、フーバー大統領の遺族が出版に踏み切れなかったのは、この本の影響が小さくないことがわかっていたからだと言います。

この躊躇いの背景として、フーバー自身の評価と、書籍で批判したルーズベルトの評価が関係してきます。

まず、大統領としてのフーバーの評価は、大恐慌を切り抜けられなかったことを理由にとても低いものでした。しかし、政界内でのフーバーの信頼は大きかったようで、戦後、トルーマン、アイゼンハワーの政権でも仕事をしています。フーバーに激しく批判されているルーズベルトですが、ルーズベルト自身はフーバーと働きたいと思っていたという話もあるようです。いずれにしても、亡くなった当時、フーバーの評価は回復していたため、回顧録の出版がフーバーの評価を再び下げることになってはということを、遺族がとても心配したと言われています。

なぜそのような心配があったか?といえば、現在に続く、ルーズベルト神話があるからです。そのルーズベルトを批判する、ましてや第二次世界大戦にあったはずの”正義”を否定する・・・そのインパクトが小さくないことは予想できたからだと思います。

ただ、この心配だけではなく、出版に対する何らかの圧力はかかっていた可能性はゼロではないと思います。

マッカーシズムの失敗がもたらしたもの

ルーズベルト神話を造り出した、マッカーシズムの失敗

ここからは私の仮説です。

”マッカーシズムの失敗は、ルーズベルト神話を造り出してしまった”。

マッカーシズムで摘発された中には、ルーズベルト政権、特に第二次世界大戦中に重要な役割を果たした人物が多数含まれていました。例えば、ハルノートブレトン・ウッズ協定の原案作成者であり、財務次官補のハリー・ホワイト。彼は下院非米活動委員会で、スパイ行為を否定していましたが、その数日後、服毒自殺による心臓麻痺で死亡した姿で発見されています。自殺にしろ、他殺にしろ、このタイミングでの死亡ということは、ハリー・ホワイトが”白”ではないという憶測を呼んでしまいますし、少なくとも彼自身、かなり追い込まれた状況にあったと推測できます。実際、後年に発表された、ヴェノナ文書ではホワイトの共産工作活動が暴露されていますから、このスパイ容疑は正しかったわけです。

もちろん、マッカーシズムで摘発された人物全てが本当に共産主義者だったかと言われれば、そうではなかったかもしれませんし、摘発の過程で、問題があった点はあったかと思います。しかし、共産主義者がアメリカの重要ポストに潜入し、様々な工作活動を行っていたこと自体は事実です。にもかかわらず、マッカーシズムに対する現在の評価が概ね”反共ヒステリー””根拠のない赤狩り”のようになっていることに対しては、大きな疑問があります。

アメリカ合衆国の上院議員ジョゼフ・マッカーシーの活動に代表される反共ヒステリー現象をいう。(中略)マッカーシーの赤狩り攻撃はなんら根拠のないデマゴギーであったが、第二次大戦後の冷たい戦争の進行という状況のなかでアメリカ国民を不安と混乱に陥れ、まもなく始まった朝鮮戦争によって勢いを増していった

https://kotobank.jp/word/マッカーシズム-136493

これはちょうど、”ルーズベルト神話と真逆の評価”がルーズベルト神話を持ち上げるのと同等の力で推されているような印象を受けます。そして、これは”印象”ではなく、実際にそのような力が働いたのだと思います。そのように考えるには、また、別の”憶測”があります。

以前のコラムで、マッカーシズムの推進者・支持者は不幸な”その後”に見舞われているような気がする・・ということをシェアさせていただきました。

マッカーシー上院議員は1954年、圧倒的多数の賛成での問責決議を受け、失脚。元々大酒飲みでもあった彼は、決議に対する失望もあり、1957年、急性肝炎で死亡。47歳だった。
・当時上院議員だったジョン&ロバートのケネディ兄弟は、暗殺された。
下院非米活動委員会のメンバーだった下院議員のリチャード・ニクソンは
ウォーターゲート事件で失脚
・俳優時代のロナルド・レーガンは、映画俳優組合(SAG)の委員長の立場から、下院非米活動委員会に協力1981年の大統領就任直後に、暗殺未遂事件(被弾したが助かった)に見舞われたほか、同年に症例報告されたAIDSに対しては、封じ込めに失敗したとの評価。*レーガン・ドクトリン:共産主義の根絶により冷戦の終結を目指した政策も行っています。
・ロイ・コーン検事の評価はすこぶる悪く、1986年には法曹資格を剥奪され、その翌月、AIDSによる併発症で死亡し
た。
・ハリウッドにいる共産党員の摘発に協力していた、ウォルト・ディズニーはブラック企業の社長のような立場(制作陣と対立)であり、作品は白人至上主義や、女性蔑視との評価を受けることもあったようだ。*ただし、後年の評価では、白人至上主義や女性蔑視の部分は語られないことが多いように思います。

以前のコラムより抜粋

ルーズベルト神話を造りあげるために、マッカーシズムを徹底的に貶めたのか、その逆なのかはわかりません。しかし、マッカーシズムの失敗により、”共産党員に都合の良い、誤った歴史認識”を後世まで広められてしまったということは、否定できないことかと思います。”赤狩り”という言葉は、”魔女狩り”を連想させるため、罪のない人に偽りの罪状を突きつけ処刑したような印象を持ってしまいがちですが、告発された多くの人は実際に共産党の工作員として工作活動を行なっていた人物です。”赤狩り”という言葉を使いたがる人は、”思想の自由”を主張しますが、”戦争をしたくないというアメリカ人を騙して、無理やり戦争をさせた”ーーこれはある種のテロ行為ではないでしょうか。思想の自由は許されても、テロ行為は許されないのです。

マッカーシズムの失敗がもたらした悪影響

”マッカーシズムは反共ヒステリー”ということが歴史的な事実として学ばれてしまっている現在、マッカーシズムの失敗は、共産党の脅威から民主主義を守ろうとする人々にとって、大きな障壁となっています。それは、その後、起こる様々な共産工作活動に対する告発を、陰謀論と一蹴されてしまう要因として使われてしまっているからです。

武漢で人工ウイルスの研究をされたていたこと、そこにアメリカの多額の税金が秘密裏に投入されていたことーー散々陰謀論として叩かれたこの事実は、否定できない様々な証拠が出てきています。しかし、当時は、この説を主張しようものなら「中国人差別」という批判さえも戻ってくる有様でした。このような”ポリコレの活用”も極左活動家の常套手段リベラル・エリートは、人種差別主義者とされることをとても嫌うため、”武漢研究所流出(人工ウイルス)説を陰謀論”が有利になっていた側面もあります。

また、最近あった”陰謀論扱いされていた事実”には、ウクライナにアメリカが出資したバイオラボが存在するというものもありました。政府の関連機関のウェブサイトでもその事実は掲載されていましたし、ウクライナにアメリカをはじめとする旧・西側の大手製薬会社によるバイオ事業が行われていることも、求人情報から確認ができます。そもそもソ連から引き継いだ病原菌や核兵器等の軍事資産については、ウクライナだけでは対応しきれず、拡散を恐れたアメリカやEUが介入が必要でした。そのような公式発表をしていた国々が、なぜか今回、これらの事実を隠そうとしている点にキナ臭さがあります。ちなみに、ウクライナは中国共産党とのつながりが深いだけではなく、バイデン親子をはじめとする米国共産党(民主党)とのつながりも深い国です。

そんなどうやっても隠しようのないことでも、「とりあえず、”陰謀論”と決めつけさえすればなんとなかる」という姿勢を取られてしまうのは、共産主義者にはマッカーシズムに応戦した際の、成功体験があるからではないでしょうか。

”F・D・ルーズベルトは偉大な大統領であり、
マッカーシズムは根拠のない赤狩りだった”

そんな歪んだ歴史認識は、アメリカの静かなる赤化を進めやすくする土壌を作ってしまったと考えられます。

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