F帝国、発言のすり替え・上書きで、逃げ切れるか?:メディアが報じない、米国・コロナ状況(5)
ファウチ帝国の逆襲
帝国の強みは、権威ある場での発言機会の多さ
このシリーズの2回目に、ファウチ博士のコロナ関連の責任追及について、米国議会はまだまだ闘い続けていることをシェアさせていただきました。
■メディアが報じない、米国・コロナ状況(2)議会による、コロナの起源調査の継続
もちろん、ファウチ博士とファウチ帝国の皆さんも負けてはいません。NHIや製薬会社、現政権から助成金や献金、広告をもらっている医療機関や大学、メディア等をサポーターを持つファウチ帝国の強みは、アピール力のある発言機会を容易に得られること。その機会を利用し、いとも簡単に過去の発言を上書き保存できてしまうことです。
メディアだけではなく、医療機関や大学等での講演機会(発言権)を得やすいということで、これらの組織の権威を利用し、発言の信憑性をあげるということも可能になっています。
2021年夏に成功させた、”責任転嫁による自己正当化”再び
次の記事では、ファウチ博士が8月10日に、シアトルのフレッドハッチンソン癌センターで開催されたイベントで公演を行った際の発言を報じています。
ファウチ博士:強制的なマスクは自由への侵害とみなす米国人の「不可解さ」。
2022年8月10日(米ヤフーニュース)
一部のアメリカ人が自分らのコロナ対策に非協力であることに対し、”不可解”という指摘をしたようです。特に、ワクチン接種推進政策に関しては、”非常に困難な状況”と発言しています。
「純粋なアンチワクチンの人から、単に”私たち(ファウチ博士ら)が接種するように言っているから(推進者が気に入らない)”という理由まで、様々な理由で接種拒否する人がいるのです 」
「100万人のアメリカ人の命を奪った病気を目の前に、ワクチンとブースターという命を救う手段を使うのをためらうなんて、そんなことあり得るでしょうか?」
「私たちはどんな世界に生きているのでしょうか?」
最後のヒトコトは、むしろファウチ帝国の皆さんに、こちらが聞いてみたいことです。新型コロナよりも、致死率が高いSARSやMARSはより限定的に、より短期に収まったことを考えると、新型コロナ対策(政策)は完全に失敗したと言えます。この政策をリードしたのは、WHOとアメリカ=ファウチ帝国です。むろんコロナ禍で膨大な利益をあげることができたファウチ帝国とっては、”帝国の勝利”と言えるのかもしれませんが。
しかし、帝国の皆さんも、現在のアメリカの情勢(中間選挙で共和党が勝利すれば、制裁力のある追及を始めることができる)に危機感を抱いているようです。そのため、彼らが現在必死なのは、コロナ政策の失敗は、自分たちではなく、それに従わなかった国民ーー特にワクチンやブースター接種に、くだらない理由から反対する不可解な人々によって、政策推進を難しくさせられたことが原因という論調作り。
これは未接種者のプロファイルについて語った、”アンチワクチンの人から、推進者が気に入らないという人”という発言からも明らかです。ファウチ発言に出てきた、これらの人が未接種であることは事実ですが、彼の発言は”従来のワクチンは全て打ってきたが、コロナワクチンは(今のところ)接種しない”、つまり”治験が終わっていないワクチンは安全性が確認できた後に接種したい”という層が少なくなかったという重要な事実を意図的に消し去っています。この目的は何かといえば、未接種者にネガティブなイメージを与え、コロナ政策の失敗の責任を未接種者に押し付けることです。これは2021年夏に成功した、”未接種者叩きによる、責任逃れ”を再び行なっているにすぎません。
責任転嫁による、意見のすり替え術
責任転嫁は、ファウチ帝国がよく使う手段の1つです。コロコロ変わる科学の権威の意見を場面場面で正当化するためにも、帝国は、一般人が非難しやすいターゲットを定め、責任転嫁を行います。
例えば、マスク・ポリシーについて。
そもそもパンデミックが世界的に警戒され始めた2020年2月、ファウチ博士は、新型コロナについて、”アメリカ人のリスクは極小である”と言及していました。マスク着用に関しても、「意味がないどころか、予期せぬ結果を招く(マスク着用の不快さから、度々マスクをいじってしまえば、ウイルスがマスク→手→口で、感染)」とまで言っていました。
”マスクは危険”発言をしておきながら、”マスク着用の義務化”という真逆の政策を導入するにあたって、どのような術を使ったかといえば、”医療従事者を守るために、一般市民による買い占めを防ぐ必要があった”と、”買い占め”層に責任を押し付け、真逆の意見を主張する自分を正当化したのです。この意見のすり替え術は成功したようで、ついには、マスク着用したファウチ博士フィギアがマスク着用のリマインダーになると感じる層が出てしまうほど、マスク着用推進者としてのイメージを確立することができています。
■ファンだけでなく、アンチにも!?ーーあなたの知らないファウチ博士の世界(Amazonで販売しているアクション・フィギュア)
しかし、この「コロナの最前線で闘う医療従事者に優先的にマスクを回すためだった」という言い訳は全くのデタラメです。
一般市民へマスク着用の呼びかけを始めた段階でも、医療従事者向けのマスクは、需要が供給を上回る状態ーーつまり、マスク不足は解消されていない状態でした。それに彼らが推奨するマスクは、”布で口を覆うもの”なら何でも良いということで、布マスクや、ネックウォーマー等も含まれていましたから、一般人のマスク着用は、医療従事者のPPE(個人を保護する器具)を奪うことにはつながりませんでした。さらにいうと、医療用のマスクを購入しようにも、コロナ治療に携わっている組織以外は、医療従事者(機関)であっても、マスク等の購入できない仕組みになっていました。
ファウチ帝国の戦略がすごいのか、記憶力の乏しいアメリカ人が少なくないのか・・・それともその両方なのか・・・・。
尻尾切りによる、大胆な上書き術
あなたがもしファウチ帝国の一員だったとしても、決して安心はできません。ファシズム的な帝国は、帝国の安定のためであれば、身内の尻尾切りでさえ、躊躇することはありません。最近、ファウチ発言の大胆な上書きをするために、切られてしまったのがCDCです。
ロックダウンなんて勧めたことはない、あれはCDCのガイドラインだ。(7月26日付け、TwitterにHill TVの番組『Risin』gのインタビュー動画が投稿されたもの)
実際はどうだったか?と言えば、ファウチ博士がロックダウンを進めなかったのは、パンデミックの直後、トランプ大統領が中国からの入国制限をかけようとした時くらいです。帝国メンバーだけでなく、ファウチ博士本人の口からも、入国制限は人種差別だというような発言があったように記憶しています。そもそもトランプ大統領が、中国からの入国制限を検討したのには、旧正月シーズンに帰国した中国人留学生の一部(多数?割合は不明)が旧正月を待たずにアメリカに戻ってきたことを疑問視したことによると言われています。ちなみに、中国人の文化・習慣を知っている人であれば、この疑問は抱いて当然のものです。
いずれにしても、ファウチ博士の”助言”により、アメリカは入国制限の導入が遅れてしまったのです。
ところが、2020年夏くらいまでには、ロックダウン政策に対する、ファウチ博士とトランプ大統領との意見が180度入れ替わります。9月には大学での授業再開させようとするトランプ大統領に対し、リベラルな大学を含めたファウチ帝国は、猛反対します。
この頃のことをまとめた記事がありました。Townhall.comの7月26日付記事によると、ファウチ博士は、少なくとは9回は、ロックダウンの決定を推奨、あるいは肯定する発言を公の場で行っていたそうです。テキサンとしては、ロックダウン解除が早かったテキサス州がファウチ博士に散々叩かれていたこともぜひ入れていただきたいところですが、ファウチ博士がロックダウンを推奨していたことは、いろいろな動画で残っています。
ファウチ:コロナ対策として、ロックダウンを勧めてはいない(2022年7月26日、Townhall.com)
しかし、最近のファウチ博士によると、有能な科学者が在籍するCDCが作ったガイドライン(レコメンデーション)を作っていて、自分はCDCが推奨する対策に従っただけだということです。
あれあれ?ファウチ博士の、大統領の医学アドバイザーっていう肩書は何処へ??
ファウチ博士からのアドバイスっていうのは、あくまでCDCのガイドラインに沿ったもので、科学の権威として自らの意見を政策に反映させる訳ではないんですかね??で、あるならば、全米で最も高給を受け取っている連邦職員であるファウチ博士の価値って何ですかね?大統領はCDCから直接助言を受ければいいのでは??
ちなみに、ファウチ博士の給料については、下記のコラムにまとめています。
■ファウチさん家のお財布事情:大統領よりも高給、ウォールストリートもびっくりの投資家!?
すり替え・上書き保存で逃げ切れるか?
問われる、ロックダウン政策の是非
今なぜファウチ博士が「ロックダウン政策を推奨していない立場だった」と上書きをするのでしょうか?
それは冒頭でご紹介した、議会追及対策です。ここからのお話は、某都知事にもぜひ知っていただきたいことですが、コロナ後に出された多くの研究で、ロックダウンの効果は疑問視されています。
今年2月、ジョンズ・ホプキンス大学は、メタ分析により、2020年春のコロナ第1波におけるロックダウンは、アメリカと欧州でのコロナの死を0.2%減少させただけにすぎないと発表しました。論文では、「ロックダウンは公衆衛生にほとんど影響を及ぼさないが、採用された場所では膨大な経済的・社会的コストを課した」とも言及されています。
しかし、実のところ、私は、ジョンズ・ホプキンス大学の研究にもちょっと疑問点があります。それはロックダウンの意義を、感染予防や死亡率に絞って検討していることです。
そもそも今回のパンデミックでは、繰り返し(または長期間にわたる)ロックダウンが推奨されていましたが、コロナパンデミック以前の公衆衛生政策では、ロックダウンが推奨されるのは、あくまでのパンデミック開始直後となっていたかと思います。なぜ開始直後のロックダウンが意味があるのかと言えば、感染拡大のペースを抑制し、ピークを遅らせることで、ウイルスを特定したり、治療法を確立したりするための時間稼ぎができるからです。
もし、ジョンズ・ホプキンス大学がロックダウンに、時間稼ぎ以上の感染抑制を期待するのであれば、インドの危険な島として有名な、北センチネル島くらい”厳重な入国制限”を行わなければ、無理でしょう。中国からの入国を制限すると言っても、アメリカのパスポートや永住権を持つ人であれば、アメリカへの入国ができてしまいますが、ここまで制限するというのは、民主主義国家ではなかなか難しいこととなります。
さらに、ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、”時間稼ぎとしてのロックダウン”という視点がなかったことで、本当の問題点を見落としています。それは、せっかくの時間稼ぎを行ったにもかかわらず、開発に最低1年以上かかるワクチンや治療薬にしか注目せず、目の前にいる患者に使える既存薬を活用した治療法の確立を行わなかったということです。
”2020年春のコロナ第1波におけるロックダウンは、アメリカと欧州でのコロナの死を0.2%減少させただけにすぎない”のは、この間、患者に適切な治療を施す医師が不足していたからです。ファウチ帝国と闘う、ピーター・マカロー博士も、「早期に治療を行っていれば、パンデミック当初に亡くなった方の85%は救えただろう」と、当時、適切な治療が行われていなかったこと、そして、既存薬を活用した早期治療法の確立と導入の重要性を言及しています。
■85%の死亡は早期治療で助けられた (ピーター・マカロー博士)
私はSARSの時に、中華圏に住んでいました。その時の視点から、コロナ禍を見ると、今回のパンデミックでは、パンデミック以前に重視されていたことがいろいろ無視されているように思えてなりません。”全体的なロックダウンが効果的なのは、パンデミック開始直後のみであり、ピーク時を遅らせ治療薬を開発するための時間稼ぎ”ということも、その1つです。
帝国が最も恐れているもの
今、ファウチ帝国が気にしているのは、11月の中間選挙だと思います。特に、予算の権限がある下院で、保守党が優位になれば、今までのようにファウチ帝国にがっぽりお金が入る仕組みがなくなるでしょうし、ファウチ博士の辞任要求等も必ず出てきます。
そのような危険をいち早く察知したファウチ博士は、今年の春ごろから、自分の引退について示唆するようになってきました。退任後も、年間35万ドルの年金が約束されている博士ですから、この年金プランにケチがつくようなことは絶対に避けたいと考えているはずです。
米国議会で引き続き、ファウチ博士を追及する動きがある中、11月の中間選挙では、共和党の優勢が伝えられています。
FBIの家宅捜査を受けたトランプ大統領ですが、直近の世論調査ではむしろ支持率を上げているようですし、中間選挙のための予備選挙でも、トランプ推しかどうかが勝利を決めるポイントになっているようです。そもそも家宅捜査自体が米国共産党(民主党)のモゴモゴモゴモゴ・・・という話もあるくらいで、見事に失敗したねと報じる保守メディアもいます。某捜査機関を巡っては現在、過激なトランプ支持者グループの逮捕劇を巡って、捜査のあり方が適切であったかの裁判も行われています。この事件については、個人的に追いかけていないのですが、送り込まれたおとり捜査員が、捜査の域を超えた法行為への誘導をしていたのではないか?という点が追及されているようです。
ちなみに、今回はファウチ帝国という名称を使いましたが、視点を変えれば、ファウチ博士もコマの1つにすぎません。CDCだったから尻尾切りできたというような気がします。穏便な退任による明るい年金生活を目指しているとは言え、一人勝ちが許される立場でもないと思います。在任中の彼が、少なくともゴマをすっておきたいと考えている1つの組織が、彼自身のコロナ感染体験を通して必要性を印象付けたワクチンであり、FDAのEUA外使用をあえて行った”治療薬”ーーーつまりその両方と関係がある某社ではないかと邪推しています。
そう言えば・・・過去にもこんなことが。
元FDA長官のスコット・ゴットリーブ氏がファイザーの取締役に就任(2019年6月27日CNBS)
81歳で、年間35万ドルの年金があれば、普通は働かないと思うのですが、彼クラスになると、”さらに上”を目指し続けるのかもしれません。ここで、最初に述べた、「こちらの方が逆に聞きたいよ」というセリフに戻ります。
「私たちはどんな世界に生きているのでしょうか?」