ペロシ・ショックの嘘:日本人が知るべき赤いアメリカ番外編❷
ペロシ、台湾訪問、さらっと流されている重大なフェイク
ナンシー・ペロシは、代表的な”紅組”プレイヤー
アメリカ・ナンバー3である、米国下院議長のナンシー・ペロシの台湾訪問で、米国、日本、台湾と、中国の緊張がより高まったと言われるペロシ・ショック。8月に日本のメディアが「対中強硬姿勢であるナンシー・ペロシが〜」と報じていたことには、「相変わらず通常運転の報道(フェイク混じってるな・・・)」と思っていたのですが、最近、都市伝説界隈でも、ナンシー・ペロシが反共産、反中国のような扱いをしたようで、ちょっとびっくりしました。というのも・・・。
ナンシー・ペロシは、米国現政権に潜む、代表的な紅組プレイヤーの1人。
彼女がフーヴァFBI長官の示した共産党分類のどこに位置するのか確定するには、もう少し情報が必要ですが、彼女は少なくともオポチュニスツ(共産党との関係から利益を確保しようとする人)です。アメリカにいる中国ウオッチャーの中では、ナンシー・ペロシと中国の関係はおそらくよく知られた事実。どちらかといえば、都市伝説の中で、彼女は”陰謀の渦中の人物”になるんじゃないかという気がしていただけに、驚きました。実際、彼女のトランプ大統領に対するヒステリックは、ものすごいものです。
それではなぜ彼女が反共だと思われるのか?といえば、彼女が若い頃、確かに反共的な行動をとっていたからです。代表的なものに1991年の訪問時、天安門広場で天安門事件の弾圧を批判したことがあります。北京での夏のオリンピック時には、チベットの弾圧を理由に、ブッシュ大統領に出席しないことを推薦したり、今年の北京オリンピックでも、外交ボイコットを推奨していました。よくよく考えると、この辺の出来事から、ナンシー・ペロシが反共というのはある意味当然の評価かもしれません。
1991年時の彼女が共産主義者か反共か?というのは、検討材料がもう少し必要ですので、後の章に回し、まずはオリンピックでの外交ボイコットについてです。私はこれは、彼女が対中強硬路線を演出するパフォーマンスではないかと考えています。特に今年の北京オリンピックは、選手の競技不参加という”オリンピック自体のボイコット”か、”開催地の変更”等を避けるために、”外光ボイコット”という緩い制裁を行ったのではないでしょうか。実際に、北京オリンピックでは、選手が受けた数々のコロナ対策を言い訳にしたハラスメントや、健康や個人情報がリスクにさらされましたから、時期を延期してでも、開催地の変更を行った方が良かったのではないかと思います。
そのように考えると、外交ボイコットというパフォーマンスは、中国側へのダメージを最小限に留めた中で、対中強硬路線を演出し、それ以上の強硬策を諦めさせる良い戦略だったと思います。事実、中国は「(参加ボイコットも何も)お前たちはそもそも招待されていない」というスタンスでした。
中国もアメリカも、共産主義者が重視するのは、自分らを従わせている国民を納得させる、国内パフォーマンス。大臣クラスの会談の後の会見等でも、この手はよく使われます。そして、残念ながらよく引っ掛けられるというか、都合よく使われるのが抗議しない日本です。
ペロシ・ファミリーの中国ビジネス
ペロシの対中強硬姿勢がパフォーマンスだと考えられる理由には他にも、ペロシ・ファミリーの中国ビジネスが挙げられます。ペロシの夫で投資家のポール・ペロシとその息子(ポール・ペロシ・ジュニア)は、中国の恩恵を受け、かなりお金儲けをしているからです。
深セン衛視によると、ペロシ・ファミリーは基金を通じて中国本土や香港、台湾をはじめとするアジアに多額の投資しており、中国企業としては、アリババやテンセントなど共産党政府に近いとされる企業に投資しているようです。ペロシの台湾訪問を理由に、中国政府はペロシ・ファミリーの制裁を発表しましたが、銘基亜洲基金管理は資産額やペロシ・ファミリーとの関係を否定しているとも言われています。とはいえ、現状が表向きどうか?というのは、共産党との繋がりを考える上で、あまり重要ではありません。外国人がこのような楽に儲けられるような企業を中国に設立するにあたり、共産党のサポートなしにできるか?を考えると、共産党との繋がりは何らかの形であるはずなのです。
ちなみに、上記に掲載した文章は、チャイナ・ネットというあちら側メディアのものです。その視点で、ペロシの台湾訪問を評価すると、「ペロシ議長自身も”中国の飯を食べながら、中国の鍋を叩き割る”という誤った行為に対して相応の対価を支払わなければならないだろう」ということになるようです。
では、実際のナンシー・ペロシがどうだったか?といえば、ペロシの対中姿勢は、2000年以降、変化があったーーと指摘するのは、ベストセラー作家でジャーナリストのピーター・シュワイザーの著書『Red Handed』。ピーター・シュワイザーとそのチームは、膨大な量のグローバル企業の記録や法的書類を1年以上かけて調査し、彼らの関係性を示す隠れた取引の実態を暴露したと言います。
先ほどのオリンピックの外交ボイコットという微妙な路線についても、シュワイザーは、「当初、2008年の北京オリンピック開催に当初は反対していたナンシーが態度を変えたのは、彼女の夫がビジネス面で中国との利害関係を持つようになってから」と、言及しています。夫・ポールの大学の同級生、ヴィンセント・ウォルフィントンが立ち上げたリムジン・サービス会社は、2008年の北京オリンピックを大きなマーケットにと捉えていたようですが、夫の同社株購入後、ナンシーは中国への態度を軟化させたと言います。さらに、ペロシ・ファミリーの中国関連ビジネス(儲け話)を展開しているのは、夫だけに留まりません。
シュワイザーによると、中国マネーにより取り込まれたアメリカの政治家は、ペロシに限ったことではありません。バイデン親子(当初陰謀論として扱われた、修理屋に置き去りにされた息子・ハンター・バイデンのパソコンは、現在では本物だったと認められています。その中には、彼ら親子の中国ビジネスについてのアレコレな証拠もたくさん入っていたようです)や、ミッチ・マコーネル(共和党トップながら、反トランプ的な動きをしていたRINOの1人、妻はアジア人初の閣僚経験者であり、中国の海運富豪の娘、イレーン・チャオ)も、家族が中国共産党に取り込まれた政治家。フーヴァFBI長官による分類では、彼らはオポチュニスツということになります。
共産スパイ・ファンファン事件でも、紅組らしい行動
2020年12月、裏事情を調べることが困難な一般人でも、ペロシと共産党との繋がりがわかってしまうような事件がありました。カリフォルニアで留学生として政治活動に関わっていた中国の女性スパイ、ファンファンに篭絡された、民主党のエリック・スウォルウェル下院議員が機密情報を漏洩したのではないかという疑惑が浮上したのです。スウォルウェル下院議員は、機密情報を扱うことの多い下院諜報委員会に所属していましたから、共和党はスウォルウェル下院議員を委員会から外すべきと当然追及。これに対し、下院議長のペロシは彼をこの委員会に再任しています。
■エリック・スウォルウェルのハニトラ騒動について↓
あなたのすぐそばにある”カモシレナイ” ハニートラップ考
スウォルウェル上院議員は、民主党の大統領候補にもなったような有望な若手議員でしたが、典型的なハニトラに引っかかるというかなり残念な・・・。しかし、ある意味すごいなと思ったのは、「ファンファンとの関係に関する彼の情報を漏らしたのは誰か調査したい」と、逆ギレ?と思えるような発言も。
ファンファンとの関係は、2015年にFBIから彼女の素性を知らされた後に全て打ち切ったということでしたが・・・。Twitter上では、スウォルウェル上院議員の父親と兄は、2020年時点でもファンファンとのFacebook上での繋がりがあると指摘され、スウォルウェル一家の男性陣はまるっとやられていた感も。
さらに、父親の方は2020年3月付けのファンファンの投稿に”LIKE!”を押していたようで・・・。単純な”ブロックし損ない”というわけでなく、ネット上での交流継続がバラされてしまった、パパ・スウォルウェル。ネット上とはいえ、息子のキャリアを危うくした女との交流を続けるというのは、進歩的な方々の考えることは昭和な私には理解できません。
さらに、このケースからも明らかなのは、共産党の戦略には、”家族をまるっと取り込む”というものがあること。ハニトラや汚職等、家族の羞恥や犯罪を暴露されたくなければ・・・というのは、ものすごくパワーのある脅しになります。”この家族をまるっと取り込む”について、最もホットな話題になっているのがバイデン親子ですが、ナンシー・ペロシの実家についても・・・実はジョン・F・ケネディがナンシーパパについて調査した報告書が昨年、公開されました。この件については次の章で。
ちなみに、ファンファン自身は、FBIの捜査の手が及びそうになる直前に、中国に帰国したとのことでした。彼女は反日米国議員として(私の中で)悪名高いマイク・ホンダを始め、米国キーパーソンとの”深い交流”をかなり手広く展開していたようです。
FBI報告書が公開:ナンシーパパと共産党との深い関係
連邦議会襲撃:1月6日事件とナンシー・ペロシ
2021年1月6日に起きた米国連邦議会襲撃事件。ナンシー・ペロシ下院議長の不可解な行動もいろいろあり、実は保守派の間では、「あれは仕掛けられた事件だったのではないか?」という見方もあります。もちろん、これを陰謀論とする人もいますが、一番重要な事実として、あの日、トランプ大統領の演説を直接会場で聞いた人は、事件が起きた時間に、事件現場まで辿り着けなかったということがあります。つまり、”トランプ大統領の演説を聞いて暴動化したトランプサポーターが起こした事件”という設定が成り立たないのです。このことはニューヨークタイムズだったと思うのですが、左翼メディア自身がなぜか演説会場と議会との距離について報じています。
もちろん、事件現場にトランプ支持者が大勢いたのも事実です。しかし、それ以外の人物ーーむしろ、反トランプと言える左翼活動家がいたことも確認されています。左翼活動家の人の不思議な点は、なぜか犯行の成果と思われることをSNSでペラペラとアピールしてしまう傾向にあるのです。これは私がこのコラム上で何度も言及している”共産主義者の戦略は卓越だから油断できない”ということと、矛盾するようですが、そうではありません。戦略を立てるのは、どの組織でもそのトップであり、SNSで余計な投稿をしてしまうのは、もっと下位にいる実行部隊ーーフーヴァFBI長官の分析でいう”デュープス(間抜けな人、騙されやすい人)”だからです。そのため、
議会襲撃現場にどんな人がいて、どのような煽動が行われたのか?
保守派はこの解明に必死になっていました。そのような中、報じられたのが、米国連邦議会議事堂警察の元長官、スティーブン・サンドが1月6日の議会準備について、当時の下院軍曹に連絡を取り、州兵の援助を要請したにもかかわらず、ナンシー・ペロシ下院議長はそれに応えなかったということです。これを受け、下院行政委員会の共和党トップは、2021年1月6日以前と、襲撃の最中に行った重要な決定の詳細を記した文書やメッセージを公開するよう依頼しましたが、依頼は無視されたままでした。
1月6日事件に注目が集まる中、公開されたナンシーパパの捜査資料
連邦議会で起きた1月6日事件に全米が注目する中、FBIが静かに公開した捜査資料がありました。ナンシー・ペロシ下院議長の父親に関する、60年前のファイルです。ナンシーパパである、トーマス・ダレッサンドロ・ジュニアは、メリーランド州の政治家で、議会やボルチモア市長として長く活躍した人物です。今回、公開された資料は、ジョン・F・ケネディ大統領が「国防契約を審査する政府の監視委員会の役職にナンシーパパを任命する予定」と発言したことを受け、ホワイトハウスが命じて行われたものだと言います。
エドガー・フーヴァFBI長官とは、マッカーシズムのところでご紹介した、当時の大統領や政府高官も恐れをなしたという、”ガーシー的な情報”を握りながら、第一線で反共捜査を行なっていた人物。
ちなみに、この報告書には、ナンシー・パパとマフィアとのつながりにも触れられていたり、ナンシー・ペロシの弟で、ダレッサンドロの息子が10人以上の仲間と2人の未成年女子をレイプした事件で後日、容疑が取り下げられた件についての言及もあるようです。上記の引用文の最後に「ナンシー・パパの警察官の買収疑惑」もあることから、息子の容疑取り消しにも疑惑の匂いしかしないですし、ナンシー・パパ絡みで逮捕されなかった他のケース(人物)についても、報告書には記載があるようです。
この報告書が公開されたのは、2021年1月6日(議会襲撃事件があった日)と言われていますが、その理由については明らかにされていません。また、1966年には、ミルドレッド・ステガル大統領補佐官がダレッサンドロ(ナンシー・パパ)に関する資料の検索をFBIに依頼しています。このことについても、1966年9月21日付けのFBIのメモが残っているようですが、ステガル大統領補佐官がなぜこの情報が必要だったかについては触れられていないようです。
ナンシー本人の共産主義者のつながり
ナンシー・ペロシの実家やペロシ・ファミリーと、共産主義者とのつながりについて、見てきました。民主党支持者からは、「そうは言ってもこれらは家族の問題であり、ナンシー本人の問題ではない」と言う声も聞こえそうですが、最後に彼女自身と共産主義者との直接的なつながりで、表に出ている情報を見ていきたいと思います。
ナンシー・ペロシ下院議長は1980年代、ビビアン・ハリナンという社会主義者を崇拝し、ロールモデルとしていたと言う話があります。実際、ハリナンの息子も、母親がナンシー・ペロシと親しく、彼女の選挙運動を資金面でサポートしていたことをインタビューで語っていたようです。これが事実だとしても、「ナンシーとビビアンは、主義を超えた友情が云々」という言い訳も可能そうですが、そういう言い訳が成立しないと思われるのが次の記事です。
カリフォルニア・グローブによると、ハリー・ブリッジズの生誕100周年にあたる2001年、ナンシー・ペロシは議会記録に「ハリー・ブリッジズは、間違いなく20世紀で最も重要な労働指導者であった」と記していると言います。ハリー・ブリッジがどんな人物かといえば、ナンシー・ペロシの言葉を使えば「当時、最も”進歩的な”組合だった」国際港湾労働組合のリーダー。さらには、1940年代にスターリンの諜報部長としてサンフランシスコで活動していた、グリゴリー・カイフェッツと密接に働いていたとも言われています。
記事では、ビビアン・ハリナンと、ハリー・ブリッジズとの関係性についても、ナンシー・ペロシの言葉として紹介されています。
「スターリン・ファンであるビビアン・ハリナンの夫は、ブリッジスの弁護士であり、1952年に共産主義を前面に押し出した進歩党の総裁候補だった」。
これに対し、ブリッジズと彼の組合は、共産主義者との関係を否定しながらも、「明らかに親共産主義的な立場をとっていた」と言います。それだけではなく、「ソ連崩壊後に公開された、ソ連の公文書によると、ブリッジズが単に党員であっただけでなく、米国共産党中央委員会の委員であったこと、その地位がクレムリンから直接承認されていたことが明らかになった」とも。
(「」はリンク先の記事からの引用)。
つまり・・・ナンシー・ペロシが崇拝する2人の人物、ビビアン・ハリナンとハリー・ブリッジズは、共に、旧ソ連と関係のある共産主義者であり、”弁護士を務めるで進歩党の総裁候補であったビビアンの夫”で繋がっているのです。ということは、ナンシー・ペロシがお付き合いしていたのは、”個々の共産主義者とたまたま・・・”というレベルではなく、”共産村”ということになります。そこに先ほど紹介した、”ナンシー・パパと共産主義者とのつながり””ペロシ・ファミリー(夫と息子)のビジネスと中国”という彼女のバックグラウンド情報を加え、ナンシー・ペロシという人物を考えたときに、彼女が共産主義者でない説明の方が難しくなります。
ただし、そうすると、ナンシー・ペロシが1990年代に、中国共産党政権に対して行なっていた強硬な態度や発言に少し奇妙に映ります。しかし、私はこれもパフォーマンスではないかと思います。アメリカは建前上、反共のリーダー的な存在でなければなりません。そんな国の政治家として出世しようと思ったときに、共産主義者であることを公開すると、不利になります。フーヴァFBI長官の共産主義者の分類には、”非公然の共産党員”というカテゴリーもありました。わざわざカテゴリーになるくらいですから、相当数は存在しうるということです。
■マッカーシズムの失敗は、共産主義を理解し切れていなかった!? : 日本人が知るべき赤いアメリカ(5)
仮に、アメリカのNo.3が”非公然の共産党員”だったとして、その人物があえて反共の姿勢を見せるメリットは、本人の米国政界での出世のためではありません。共産党側にも、かなり有利になります。これを裏付けるような、彼女の言動もあります。
パンデミック開始直後に、その起源を巡り、共和党議員が調査委員会を設け、独自調査を行おうとした際に、反対した人物の中に、ナンシー・ペロシもいます。ここで「武漢研究所流出(人工ウイルス)説」に対して批判を行う場合を想像してみてください。親中議員と反中議員とでは、それぞの批判のインパクトが違います。反共であり、中国に対して強硬な姿勢をとるナンシー・ペロシが「コロナの起源調査なんてくだらない」と言えば、「武漢研究所流出(人工ウイルス)説」がより陰謀論っぽく聞こえます。
北京オリンピックに対しても、中国に対して強硬な姿勢をとるナンシー・ペロシが「外交ボイコット」というのだから、本物の対中強硬路線者の中には「それくらいの制裁が妥当なのかな」と思う人も出てくるでしょう。
長々と語ってしまいましたが、ここでようやくタイトルの話題に戻ります。
ナンシー・ペロシが共産主義者だとすれば、彼女の台湾訪問の目的は、報道や都市伝説で語られているようなものとは異なってきます。次のコラムでは、アメリカの保守派の中で一般的に報じられている”ナンシー・ペロシ台湾訪問の本当の目的”の紹介と、そこからの深堀りを試みたいと思います。
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