日本人の命よりも、”海外”を優先する、日本政府、メディアは必要か?
日本人はなぜ狙われるのか?
前提として、ターゲットは明らかに日本人、日本人学校。
深センで、罪のない日本人のお子さんの命が奪われてしまった件です。犯人に対する怒りはもちろんのことですが、日本側の政府の対応もひどければ、メディアの報道にも呆れます。相変わらず、といえば、相変わらずなのでしょうけど、
「日本人が狙われた事案かどうか、確認中」
っていう、日本メディアの報道、日本人をバカにするのもいい加減にしてほしいです。6月にも蘇州の日本人学校のスクールバスが狙われていたようですし、中国各地で日本人の子どもをターゲットとした事件が、これまでにも起こっていたにも関わらず、”たまたま日本人”なんてことはあり得ません。
「一番知りたいのは日本人が狙われたのか、
さらには日本人学校が狙われたのか、そこを知りたいと思ってる」
これは大使のお言葉らしいですが、何のための日本大使館なんでしょうか?わざわざ海外に拠点を構えている意味は、現地の情報収集や、邦人の保護・・・等の仕事をするためではないのでしょうか?そんな役割も担っているはずの大使館が、日本人がターゲットだったのかどうか、本当に中国政府に聞かなければわからないなんてことはあり得ません。
日本人学校が狙われたことについては、日本人学校がスパイ養成機関(スパイ拠点)だというようなデマが中国のネット上に出回っていたようですので、それと全く無関係とはいえないのではないでしょうか。日本人からすれば、日本人の小学生や中学生が通う学校をスパイ養成機関と考える方が異常な気がします。なぜこのようなデマを信じてしまう人が出たのかについて、私なりに考えてみると、それは日本語を公用語としたインターナショナルスクールという特質が理解されていないからではないかと思います。
デマはなぜ信じられたのか?の憶測と、その対応策
日本にある英語を公用語としたインターナショナルスクールは、英語や英語環境の中で教育したいと思えば、両親が日本人という子どもも通うことができます。インド系のインターナショナルスクールも、公用語は英語なので、英語だけではなく、数学にも力を入れたいという理由で、子どもを通わせている日本人夫婦もいます。何が言いたいかというと、インターナショナルスクールは、入学条件をクリアし、必要な学費が払えれば、国籍や人種を問わず、誰でも通うことができるのが一般的にあるイメージかと思います。ところが、日本人学校には、日本人しか通っていない・・・(実際のところは、私にはわからないので)少なくとも、そのようなイメージがありますから、「日本人以外が通えないのはおかしい」「日本人だけで秘密裏に何してる!?」みたいな話になっているようなのです。英語が話せる人、日本語が話せる人のうち、それぞれを第一言語としている人の割合は・・・
英語話者のうち、英語が第一言語とする人の割合:3割弱
日本語話者のうち、日本語が第一言語とする人の割合:9.5割以上
さらに、日本語を第一言語とする人のプロフィールを推察していくと、”日本に住んでいる人”が圧倒的な大多数であり、少数派として、私のように”日本で生まれ育ちながらも現在海外で生活している人”が存在し、その2つの層で、”日本語話者の9.5割以上”を占めると断定できるかと思います。言い換えると・・・
世界的に見て、日本語話者の9.5割が日本(と関係性がある)人
日本語話者の残りの0.5割には、第二言語、外国語として日本語を話す人が含まれますが、このうち、第二言語として日本語を話す人の多くも、日本に住む外国人や、日本よりも日本語圏外で教育を受けた期間が長い日本人等、日本と何らかの関係がある人だと推測されます。外国語として日本語を学びたい人は、わざわざ日本人学校には通いませんし、日本で生まれ育って日本語が話せる外国人(日本人以外の人)は、中国に行ってまで日本人学校には通わないと思います。そうすると・・・
日本人学校に通う生徒は、ほぼほぼ全員日本人か日系人というのは、
ごく当たり前のこと。
もっと積極的な言い方をすれば・・・
日本人学校の需要は、日本人か日系人以外にはない。
ということも言えるかと思います。実際に、日本人学校が入学に制限をかけているかどうかは知らないのですが、日本人学校に通う生徒がなぜ日本人だけなのか?と尋ねられても、
そもそも日本人・日系人以外に需要ないでしょ?
の一言に尽きるのです。これが英語を公用語とするインターナショナルスクールとの違いです。
以上が日本人学校に対するネット上のデマが本当にデマであるという、私なりのざっくりとした説明です。日本政府だったら、もう少しきちんとした説明ができるのではないでしょうか?
そのようなデマが出回った時点で、それがデマだということを相手国に知らしめる対応をとることが、大使館の役割の1つであるはず。と、思うのですが、今回、日本大使館は、日本人に注意喚起する以外、何からの対策を講じたのでしょうか?
共産党批判・回避のための、反日教育
30年くらい前の話ですが、中国で教育を受けて、当時も中国に住んでいた中国人ーーつまり、バリバリの反日教育を受けた友人に、「日本政府もバカよね。”今”、参拝したら、絶対にいいように使われるのに」と言われたことがあります。この発言だけ聞くと、靖国神社への参拝を反対しているように聞こえますが、彼女としては参拝するかどうか?には関心がなく、彼女のビジネス的に日中関係が良好であることが望ましかったので、中国で反日運動が起きてほしくないということからの発言でした。そして、彼女の発言にある”今”というのは、”中国で政府や生活への不満、反感が高まっていた時期”を指します。
共産党批判を回避するために、反日感情を高めるような動きを支持することで、民衆の怒りの矛先を日本に向かうように仕掛ける・・・という中国政府の戦略は、中国専門家や、中国ウォッチャーには広く知られていることです。そして、現在の中国の状況がどうか?といえば、まさに先ほどの”今”。報じない権利を発動中であったとしても、まさかメディア(特に現地駐在員)がそのことを知らないわけがないと思います。そのような状況からも、今回の犯罪の標的が日本人かどうかなんて、確認するまでもないことです。
行き過ぎた”反日”に対して、何の対応もしないメディア、政治家
今回の事件をめぐって、日本人の子どもをターゲットとした犯人を批判する声もあると言います。先出の私の友人は、中国以外での教育を受けたことがないにも関わらず、反日を使った政権批判回避という政府の手法を知っていました。ちなみに、彼女は親中でも親日でもなく、政治(家)を信じていないので、”自分の生活は自分で守る”、”自分の付き合う人間は自分で選ぶ”という感じの人でした。反日教育を受けた人の中にも、こういう思考をとる人は一定数いるかと思います。どれくらい?というのは、言えませんが、大多数ではない上に、大きな声が挙げられる層ではないということだけは断言できます。
念の為、これは、中国人が良い人が悪い人かとかいうような議論ではなく、あくまでもリスク・マネジメントからの話です。
日本人をターゲットにした事件に対する否定的な意見を見かけたとしても、
それで日本人学校に通う子どものリスクが削減されるわけでない。
それが日本人の安全を保障する根拠にもならない。
ごくごく当たり前のことですが、現在の日本のメディアの報道って何なんでしょうね。今回の事件に心を傷める中国人がいることをやたら強調しているようにしか思えないのですが・・・中国人の中に色々な意見があるのは、ある意味当たり前のことです。それを強調したところで、日本人、特に日本人学校に通う子どもたちが危険だということには変わりがありません。このような報道は、何の問題解決にもつながらないどころか、必要な危機感を抑制することで、日本人のリスクを高めているようにしか思えません。
さらに酷いのは、このような状況の中、修学旅行先を積極的に中国にさせようとする日本の政治家がいること。呆れすぎて言葉が見つかりません。”日本人学校はスパイ要請機関”というデマがある中では、”日本人修学旅行生はスパイによる偵察”というデマが出てくる可能性だってあります。というよりも、彼らが本当に日本の政治家であるならば、この修学旅行の件を使って、
「日本人学校に関するデマを政府の公式見解として否定し、
ネット上でのデマの取り締まりをしないならば、
邦人保護の観点から、日本人学生の修学旅行先候補にという話は白紙にしたい」
くらいの交渉はできないのでしょうか?
にも関わらず、事件後にも、政府関係の人々の発言といえば・・・
「緊張感を持って日本人や日本人学校の安全確保に全力を挙げていきたい」
「中国にある日本人学校や補習授業校を対象に、徒歩や車での送迎など、さまざまな通学方法ごとに安全面を重点的に再点検し、必要な措置を講じる考え」
「児童や保護者の間で動揺が広がっているとして精神面のサポートを行っていく」
何でしょう?この呑気さ。今回の事件も、母親と登校中の出来事のようですから、個人でできる最大限の安全確保は行っていた上で起きてしまった事件だと思います。スクールバスだって、すでに狙われたわけですから、それ以上の措置とは何でしょうか?銃等の武器を持って自衛することでしょうか?それよりも何よりも・・・
チャーター機なりを手配して、すぐに帰国させるべきではないでしょうか?
特に、精神面のサポートを行いたいのであれば、早急に日本に帰国させるべきです。それ以上のメンタルケアがあるでしょうか。
予算が・・・というのであれば、少なくとも、直ちに海外渡航情報の危険レベルを修正するべきで、日系航空会社や在中日本企業の協力を取り付けた上で、自力での帰国を促すべきではないでしょうか。
ちなみに、外務省安全情報の中にある、現在の中国の渡航情報は下記のとおりです。スポット情報として、日本人小学校での殺害事件についての記事があります。
しかし、渡航勧告に関わる、危険情報として出ているのは、新疆ウイグル自治区とチベット自治区のみ。
さらにこの黄色は危険度1で、危険度1というのは「その国・地域への渡航、滞在にあたっては、危険を避けていただくため特別な注意が必要です」というもの。
各地の日本大使館が注意喚起する文書を出しているようですが、その中では、中国に住んでいる日本人であれば、日常生活の中ですでに実行しているような内容ばかり・・・。
ちなみに、中国に滞在する時、私は海外在住の中国人風になりきります。友人や取引先以外、私が日本人であることは伝える必要のないことだと思うからです。とはいえ、日本人か中国人かということは、表情や歩き方からも意外と判別ができると言われてしまいます。だから、”海外在住の”をつけているわけです。何はともあれ、中国での不要なトラブルを避けたいと思えば、多かれ少なかれ、上記に掲げられたようなことは皆、実行しているわけです。その上で、最大限の安全確保に努めながらの通学途中で起こってしまったのが今回の事件なのです。繰り返しになりますが・・・
この上、どんな特別な注意ができるのでしょうか?
”レベル3:渡航はやめてください”には、”場合によっては,現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります”とありますので、日本人学校に通う子どもたちを緊急に避難させる必要を考えれば、このレベル3が妥当なところではないでしょうか。これを3にしておいて、日本人の安全が確保されないようであれば、”レベル4:渡航をやめてくさい。退避してください”にアップデートするよ?というのが外交だと思うのですが・・・。
Z世代にとっての反日は、安全なビジネスモデル?
日本には、どこの国の機関なのか、わからないような行動・発言を繰り返す政治家やメディアしかいないことで、次世代バージョンとも言える反日運動ーーローリスク・ハイリターンのビジネスモデルーーも生まれてしまっています。これは中国だけでなく、韓国でも行われている手法ですが、反日のポジションを取ることで、ある層からの絶大なる支持を得ることで、例えば、SNS上での収益等を稼ぐことができます。
このビジネスモデル?のリスクは何かといえば、日本政府からの制裁、または日本人からの反発。ところが、日本政府の対応は、遺憾砲を発射するのみ。日本メディアは中国にあるネガティブ要因を最小限に見えるような報道をする傾向にあるため、”日本人に関することなのに、日本人が知らない”ということは多々あります。結果として、日本人からの反発も最小限にとどまります。
つまり・・・痛くも痒くもないローリスクどころかゼロ・リスクのビジネス。言い換えると、
反日活動は、ローリスク・ハイリターンのイージービジネス。
このビジネスに携わる人に、反日感情があるかどうかというのは、関係ありません。儲かるからやるのです。自分が食べるつもりがない”映える”デザートを注文し、写真投稿するインフルエンサーと、動機は同じかと思います。
このようなビジネス展開を行う人にとっては、反日につながるような情報はデマでも何でもいいわけです。最近では、日本人を名乗る海外在住の女性インフルエンサーが「日本人女性を妊娠させれば日本政府からお金がもらえる」と、外国人を誤解させ、日本人女性を危険に晒す、とんでもないデマを流していたという件も発覚しました。日本を貶めるつもりはなく、元ネタを日本人にアレンジして、再生数稼ぎ(とはっきり言ったかは記憶していませんが)のための投稿だったということでした。
それくらいのことで、炎上するなんて?
大袈裟ではないですよ。
”それくらいのこと”の積み重ねの結果が今回の日本人殺害事件なのでは?
先日の弥助問題も然りです。”弥助の時代には、日本で黒人奴隷が当たり前だった””黒人奴隷貿易は日本が最初”こんなとんでもないデマを放置していたら、反日活動はアフリカ諸国や、例えばアメリカの黒人にも広がるかもしれません。”日本人学校はスパイ要請機関”というのを信じる人が一定数いるということを考えれば、これらのトンデモデマも信じてしまう人が出てくることは、大袈裟な話ではありません。
なぜ日本の政治家や、日本のメディアは、
このようなデマを大きな声で否定しないのでしょうか?
日本人保護の政策、報道をしても、儲からないから?
日本人はなぜ狙われるのか?
様々な要因がありますが、その中でも、日本の政治家、日本のメディアの責任は小さくないと思います。
日本に住む日本人はもちろんのこと、私たち海外組も、在外選挙制度を利用して、必ず1票投じなければならないと痛感しています。そこに票がなければ動かないのが政治家だからです。海外組が団結しても、某宗教団体に勝てる数揃うのかはわかりませんが、邦人保護や日本人、日本の名誉を守ることに関する、今の日本政府の対応は本当にひどすぎます。
日本のメディアは・・・私が改めていうことでもありませんが、まずはNHKはもう必要ないなと。『SHOGUN』が世界的なヒットをしている中ですので、NHKは過去の大河ドラマや、大相撲等日本特有のスポーツ・コンテンツに特化したコンテンツ配信業者に変更した方が国益に繋がるように思います。新たな大河ドラマは・・・、現在のNHK職員が携わるとなると、反日やDEI的な要素が含まれた大河ドラマを量産されそうなので、過去のコンテンツだけで良いのではないかと。
いずれにしても、弥助問題から今回の事件、領空(海)侵犯等々、日本人の様々な危機に対して、各政治家やメディアがどのような態度でいるのか?日本人としてしっかり見張って、必要であれば、積極的な働きかけをしていく必要があるな・・・と改めて。