一党独裁国家並みの検閲、闘うアメリカの今
私はもともと実名で出版物を出していましたし、SNSも実名で行っています。それは、書くことを仕事にしている以上、自分の意見に責任を持ちたいと考えているからです。ではなぜnoteは実名を出さずにこっそり投稿しているのか?といえば、今のアメリカの検閲ぶりが一党独裁国家並になっているからです。特に危険なのがビッグテックのSNS。ビッグテックが支持するものとは異なる意見は、該当するキーワードで検閲され、アカバン等の制裁が行われているのは、皆さんもすでにご存知のことかと思います。これが私がnote とSNSをコネクトさせていない理由です。
表現の自由が脅かされているアメリカの現在
アメリカには、通信品位法230条というものがあり、プラットフォーム企業は出版社と区別され、ユーザーが投稿した内容に対する責任を免除されています。この前提となっている考えは、同業界が提供しているのはあくまでもプラットフォームであるため、そこに掲載される情報に責任がないというものです。これは、編集権があり、出版物には出版社の意向が反映される出版社とは異なるため、とされています。その一方、有害なコンテンツを削除する際や、公正なアクセスを提供する際に、「誠意ある」行動を取ることが条件ともされています。この解釈が現在のやりたい放題のビッグテックを生み出した原因になっています。なぜなら有害なコンテンツというのが、各社の一方的な方針で決められてしまうからです。トランプ大統領の演説は速攻消される一方で、人身売買にまつわる投稿やテロリストのアカウントは放置されているというような指摘もあります。
Facebook社は今年5月、新型コロナの起源を巡っての有力説が自然発生からラボ流出に変更になった際にも、「今後は”コロナのラボ流出説”を検閲対象から外す」と堂々と宣言しています。事実確認がとれていないからこそ自由な議論が必要な話題にさえ、独自に信じたファクトをもとに検閲をかけていた、そのことを恥ずかし気もなくアナウンスする姿勢に驚きました。
同社の検閲に関しては、最近のThe Wall Street Journalの報道で、内部通告者の暴露が紹介されていました。VIPプログラム”X Check(クロスチェック)”により、リストに掲載された著名なユーザーに関しては、AIによる検閲に引っかかった場合にも、フェイスブックの従業員が審査する個別対応しているというものです。
ここまでの話も決して気持ちの良い話ではありません。特にそれが人種差別発言よりも表現の自由が重視されることがあるというアメリカで起こっていることで、この問題が日本人が想像する以上の深刻さを秘めていると言えます。トランプ大統領やフロリダのデサントス知事を中心にとした保守派は現在、このやりたい放題のビッグデックと裁判で闘っていますが、単純に自分たちのアカウントを復活させたいというレベルの闘いではなく、国の根幹に関わるような闘争だと言えます。
SNS上だけに留まらない検閲の悪影響
さらに、現在のアメリカが抱えた表現の自由の問題が末期症状にあるのは、検閲の影響がSNS上だけに留まっていないことです。大統領選前後には、SNSに投稿した政治的な意見(トランプ大統領支持)により、解雇された人たちがいました。Wikipediaに名前が掲載されている著名人の場合、プロフィールが陰謀論者として書き換えられてしまいます。
さらに、これが本当ならアメリカは死んだなと思うのは、SNS上の投稿が銀行口座の凍結につながったかもしれない事例があることです。トランプ大統領の側近の1人、フリン将軍の持つとある銀行クレジットカードが最近、凍結したそうです。アメリカ在住の中国人YouTuberが自らの番組でここ事件を紹介しました。すると、彼女の銀行口座も突然凍結されてしまったと言います。銀行に確認しても凍結理由はわからず、口座残高は下ろすことができないそうです。SNS上の投稿が銀行口座凍結の理由だったと断言することはできないそうですが、他の理由は全く思い当たらないそうです。資本主義社会の中で、資金源を止められるのは、生きていくことが困難になります。もし、本当に関係があるのならば、自由の国アメリカはすでに存在せず、あるのは一党独裁国家です。
自由の1番の敵は、無関心
現在のアメリカの検閲問題に関心のない友人(アメリカ人)は、「そんなことよりも毎日の仕事、生活の方が大切」と言います。私は、政治に無関心な人こそ香港を知るべきだと思っています。香港は、文化大革命等から逃れてきた人も多く、政治的なことにはもううんざりということから、”政治には無関心”という人も少なくありませんでした。「信じられるのはお金。子どもに残せるのはお金でもなく教育」という話を度々聞いたことがありました。でも、そんな呑気なことが言えたのは、中国に返還された最初の10年だけ。香港の人たちは若者を中心に、自由のために真剣に闘いましたし、闘い続けています。とは言え、今の香港をみていると、闘い始めるのが少し遅かったように思えてなりません。自由と言うのは、失いかけて初めてその重要さに気が付くものですが、そうなってからはより大きな力が必要があり、また、犠牲も大きくなる・・・・だから、そうなる前に闘うことが重要だと思います。
コロナ騒動が始まったあたりから、何か変だなということは多々ありました。でも、アメリカが急速におかしくなったのは、今年に入ってからです。今のアメリカに表現の自由はありません。でも、諦めたわけではありません。これまで”おかしいと感じながら放置していたこと”に対して、いろいろな分野で声をあげ、闘っている人たちがいます。
闘うアメリカ人
過去最悪の治安 警察の力を小さくし、犯罪者を優遇するかのような政策をとってきたニューヨークやカリフォルニアでは、犯罪率が急上昇し、日常生活に悪影響が出ていました(アジア人ヘイトの事件も、ニュースで見かけるレベルはこの両州のことが多い気がします。また、カリフォルニアでは、950ドル以下の場合の窃盗は、重罪刑でなく軽罪刑とする条例が住民投票で可決した後、小売チェーン店が撤退を迫られるほどの窃盗が行われるように:日中堂々と行われる窃盗行為 盗まれた品物が売られるノミの市)。両州では、知事のリコール選挙を求める運動が起こりました(ニューヨークのクオモ知事は8月10日に辞任、カリフォルニアのニューサム知事は9月15日時点で、リコール無効の選挙結果が予測されているものの、すでに不正選挙の声も上がっています)。
子どもたちの未来を潰す教育 最近のプロジェクト・ヴェリタスでは、教室で国旗の代わりにアンティファの旗と毛沢東の肖像画を飾り、半年で生徒を活動家に育てる自信があると語った教師について、暴露されました。この教師は、自らが勧めるアンティファの活動に参加した生徒にクレジットを与えたり、アンティファに反対する生徒を脅したりという行為も行っていたようです。保護者たちは、「学校で子どもたちに指導するべきは、思想ではなく学業」と、教師の解雇と学校への責任追及のため、立ち上がりました(教師は解雇済み)。この学校の事例は極端なものですが、教師がかなり極左であるのは、テキサスも同じです。教科書を使わずに、クラスが教師に任されている”教える自由”はかなり問題だと思います。”教えない自由”と”粘着して教える自由”をフル稼働させ、かなり歪んだ歴史を教えていることに驚きました。
ウイルスよりも悪質なパンデミックにまつわる嘘 コロナ・パンデミック絡みでは、メディアや政治家、科学の権威の嘘が次々に暴露されています。数が多すぎて上げきれませんが、最近ホットな話題の1つにオクラホマ州で起こったとされる、馬用イベルメクチンをめぐる騒動があります。緊急医ジェイソン・マケリア医師が「同州の複数の病院で、馬用のイベルメクチンを過剰摂取した人たちが救急手当を必要として、救急医に押しかけ、銃被害にあった患者の受け入れができず死亡させてしまった」と、地元放送局KFORに対し語ったことを皮切りに、あらゆるメディアに取り上げられました。CDCも「あなたは馬や牛ではない」とメッセージを出したのですが、なんとこの医師が勤務すると言う医療グループ、ノースイースタン・ヘルス・システム・セコヤが「マケリア医師は常勤ではなく、派遣医師。過去2ヶ月間の勤務実績はない」「イベルメクチン使用に関する合併症の患者を治療したことはない」「当院は救急治療を必要とする患者を、追い返す羽目になったことはない」という声明を出しました。
イベルメクチンのネガティブキャンペーンによく使われる”馬用イベルメクチン ”ですが、コロナ治療に効果的という科学者が推奨しているのは、馬用ではなく人間用。FDAがの承認薬である上、ノーベル賞受賞した薬であるため、まさかCDCが知らないはずはありません。どんなに優秀な薬であっても、馬用の薬が人間に安全なはずはなく、もしも本気で馬用を服用している人がいるのであれば、CDCの啓発活動なのか、初等教育なのか、アメリカの基本的な教育に問題があると言わざるを得ません。いずれにしても、マケリア医師か、医療グループのどちらかは嘘をついています。医療グループが反論の声明を出したことで、少なくとも大手メディアの取材不足具合が暴露されたことは、他のニュースを判断する上でも小さくない出来事でした。
個人レベルで何ができるのか?
”今日の香港、明日の台湾、明後日の日本”は、独裁国家による静かなる侵略が行われている危険性を伝える言葉ですが、ここにING形で飛び込んできたのがアメリカです。今のアメリカは本当に崖っぷちです。
小さな個人に何ができるのか?についてずっと考えています。その答えの1つとして始めたのが、SNSにコネクトしないnoteへの投稿です。誰か1人にでも伝えることができれば、黙っているよりは前進するのではないか?
書きながら頭の整理ができている部分もあります。外国人として住んでいるアメリカで何ができるのか?
もちろん、個人ができることなんて、かなり限られたものです。でも、何もしなければ、静かなる侵略者たちのおもうつぼです。香港はエネルギッシュで、スーパーポジティブで、自由度の高い本当に素晴らしい街でした。まさかあの香港が・・・。それを考えると、小さな個人のささやかな抵抗を積み上げていくしかないのではないかなと思います。
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