2018年 松戸市議会議員選挙 開票後分析
2018年11月18日(日)、千葉県 松戸市議会議員選挙の投開票が行われた。
獲得議席数だけを見ると、自民党系が3議席減らし、公明党が現状維持し、日本維新の会と国民民主党が議席を獲得できず惨敗し、立憲民主党が3議席増やし、社会民主党が現状維持し、日本共産党が1議席を失った選挙ということになるが、得票数を見ると、それほど単純ではない。
■ 2018年 松戸市議会議員選挙 結果
有権者数: 406,185
投票者数: 147,018
投票率: 36.19 %
■ 2014年 松戸市議会議員選挙 結果
有権者数: 390,229
投票者数: 147,257
投票率: 37.74 %
【自由民主党】
有権者数に占める得票数の割合: 12.12% / 18議席 ⇒ 15議席
会派「まつど自民」
26536.614票(1612.744票増) / 10議席 ⇒ 8議席 / 立候補者9人
会派「市民クラブ」
22687.946票(256.954票減) / 8議席 ⇒ 7議席 / 立候補者8人
【公明党】
有権者数に占める得票数の割合: 6.53%
26511.95票(2114.63票減) / 10議席 ⇒ 10議席 / 立候補者10人
【無所属(元みんなの党)】
4758票(3190.45票減) / 0議席 ⇒ 1議席 / 立候補者3人
【NHKから国民を守る党】
有権者数に占める得票数の割合: 0.83%
3353票(2076票増) / 0議席 ⇒ 1議席 / 立候補者2人
【日本維新の会】
有権者数に占める得票数の割合: 0.65%
前回は立候補なし、今回2656票獲得 / 0議席 ⇒ 0議席 / 立候補者2人
【国民民主党】
有権者数に占める得票数の割合: 0.31%
1279票(453票増) / 0議席 ⇒ 0議席 / 立候補者1人
【幸福実現党】
有権者数に占める得票数の割合: 0.10%
前回は立候補なし、今回413票獲得 / 0議席 ⇒ 0議席 / 立候補者1人
【立憲民主党】
有権者数に占める得票数の割合: 2.99%
12125票(6836票増) / 1議席 ⇒ 4議席 / 立候補者4人
【社会民主党】
有権者数に占める得票数の割合: 0.62%
2512.504票(526.496票減) / 1議席 ⇒ 1議席 / 立候補者1人
【日本共産党】
有権者数に占める得票数の割合: 3.58%
14533.548票(381.568票増) / 5議席 ⇒ 4議席 / 立候補者6人
【無所属(緑の党の推薦または支持)】
4381票(35.03票減) / 2議席 ⇒ 2議席 / 立候補者2人
「推薦」 増田薫 候補は、499.030票を減らすも2期目の当選。
「支持」 DELI 候補は、464票を増やし2期目の当選。
【無所属(会派「政策実行フォーラム」所属)】
2742票(2946.97票減) / 2議席 ⇒ 1議席 / 立候補者1人
※ 関根ジロー 氏、二階堂剛 氏、増田薫 氏、DELI 氏も同会派だが、便宜上、別に分類。
【無所属(会派「市民力」 + けいじの政治塾)】
10289票(1665票増) / 1議席 ⇒ 2議席 / 立候補者2人
【無所属・無会派の現職市議】
6183票(4778.72票減) / 4議席 ⇒ 3議席 / 立候補者3人
【その他の無所属候補】
3988.435票(2146.061票減) / 0議席 ⇒ 0議席 / 立候補者4人
得票数について、前回と比較すると、自由民主党は2.75%増、公明党は7.39%減少、立憲民主党は129.25%増加、社会民主党は17.32%減少、日本共産党は2.70%増であった。
国民民主党の得票数は、社会民主党の半分程度、日本維新の会の得票数は社会民主党とほぼ同じくらいだった。
得票数を増やしたのに票が偏ったために立候補者2人が落選し、1議席を失った日本共産党は、票割りを科学的に検証し、手法を確立した方が良いだろう。
2018年6月17日(日)投開票の立川市議会議員選挙では、立憲民主党が、自由民主党や公明党からではなく、旧民主党系と第3象限(日本共産党、社会民主党、緑の党、生活者ネットワーク)の勢力から票を吸い取ってしまう「立憲ブラックホール現象」が観測されたが、今回の松戸市議会議員選挙では、日本共産党とDELI 候補は得票数を伸ばしたものの、社会民主党、無所属市民派は前回よりも得票数を減らしており、立憲民主党に票を吸われたと推測できる。
x軸: 参加主義(市民社会) ←→ 権威主義(国家)
y軸: 再配分主義 ←→ 市場主義
上図の第1象限(右上部分)は「米国的伝統」、第2象限(左上部分)は「Eガバメント」、第3象限(左下部分)は「欧州的伝統」、第4象限(右下部分)は「日本的保守」である。
■ 松戸市で行われた直近の選挙の結果
【2018年6月10日 松戸市長選挙】
有権者数: 402,300
投票者数: 118,008
投票率: 29.33%
当 本郷谷健次 66,498 前 無所属
落 川井 友則 28,013 新 無所属
落 ミール計恵 15,867 新 日本共産党
落 中村 典子 5,902 新 NHKから国民を守る党
【2017年 衆議院議員総選挙 千葉6区(松戸市)】
有権者数: 266,430
投票者数: 130,490
投票率: 48.98%
当 渡辺博道 54,797 前 自民党
比 生方幸夫 47,829 元 立憲民主党
落 遠藤宣彦 17,063 新 希望の党
落 星健太郎 7,336 新 日本維新の会
【2017年 衆議院議員総選挙 千葉7区(松戸市)】
有権者数: 141,969
投票者数: 72,398
投票率: 51.00%
当 齋藤 健 38,061 前 自民党
落 石塚 貞通 17,875 新 立憲民主党
落 波多野里奈 9,643 新 希望の党
落 渡部 隆夫 5,361 新 日本共産党
【2017年 衆議院議員総選挙 比例南関東ブロック(松戸市 千葉6区部分)】
有権者数: 266,430
投票者数: 130,491
投票率: 48.98%
自民 40,585
公明 16,231
維新 5,739
幸福 466
希望 19,957
立憲 32,522
社民 1,735
共産 11,212
自民 + 公明 + 維新 + 幸福 = 63,021
希望 + 立憲 + 社民 + 共産 = 65,426
【2017年 衆議院議員総選挙 比例南関東ブロック(松戸市 千葉7区部分)】
有権者数: 141,969
投票者数: 72,396
投票率: 50.99%
自民 23,097
公明 8,390
維新 2,490
幸福 242
希望 11,482
立憲 18,453
社民 916
共産 6,314
自民 + 公明 + 維新 + 幸福 = 34,219
希望 + 立憲 + 社民 + 共産 = 37,165
【2017年 衆議院議員総選挙 比例南関東ブロック(松戸市 合計)】
有権者数: 408,399
投票者数: 202,887
投票率: 49.68%
自民 63,682 (15.59 %)
公明 24,621 (6.03 %)
維新 8,229 (2.02 %)
幸福 708 (0.17 %)
希望 31,439 (7.70 %)
立憲 50,975 (12.48 %)
社民 2,651 (0.65 %)
共産 17,526 (4.29 %)
自民 + 公明 + 維新 + 幸福 = 97,240
希望 + 立憲 + 社民 + 共産 = 102,591
2017年 衆院選(比例) と 2018年 松戸市議選の比較
投票率 49.68 % ⇒ 36.19 % (-13.49)
【 有権者数に占める得票数の割合(%) 】
自民 15.59 % ⇒ 12.12 % (-3.47)
公明 6.03 % ⇒ 6.53 % (+0.5)
維新 2.02 % ⇒ 0.65 % (-1.37)
幸福 0.17 % ⇒ 0.10 % (-0.07)
国民 7.70 % ⇒ 0.31 % (-7.39)
立憲 12.48 % ⇒ 2.99 % (-9.49)
社民 0.65 % ⇒ 0.62 % (-0.03)
共産 4.29 % ⇒ 3.58 % (-0.71)
※ 国民民主党の衆院選のデータは、「希望の党」のものを使用。
2017年 衆議院議員総選挙の結果から、松戸市は、「自 + 公 + 維 + 幸」と「希 + 立 + 社 + 共」の得票数が拮抗しており、希望の党よりも立憲民主党の方が得票数が多く、全国平均よりは野党が強い地域であるといえる。
しかし、国政選挙では投票率が約50%でも、市長選挙や市議会議員選挙になると、投票率が30%前後になってしまうようで、今回の松戸市議会議員選挙の結果でも、議員定数44の内、自民党系と公明党で過半数を占めている。
大手テレビ局、大手新聞社、大手ネットメディアで報道される頻度は、国政や国政選挙に比べて、自治体行政や自治体選挙は少なく、その分、自治体選挙の投票率も低くなりがちだが、有権者の生活に最も影響がある政治は、国政ではなく、自治体行政である。
自治体行政の問題点を知る機会を、市民や議員が作り、多くの有権者を巻き込んでいくことが必要である。
「政治に無関心でも、政治と無関係ではいられない。」
無関心、お客様政治からの脱却(脱カスタマー)を掲げ、選挙事務所を作らず、電話かけをせず、公選はがきを使わず、街宣車での名前連呼もせず、路上ライブ、街頭演説、ゲストとの対談をインターネットでライブ配信を行い、SNSで拡散したDELI 候補陣営の選挙運動は、時代の最先端を行く手法であり、今後の選挙運動のお手本の1つである。
2019年4月の統一地方選挙までに、市民と立候補予定者は、地上での地道な政治活動を行うと同時に、インターネット上での発信力を高めていくのが良いだろう。
また、立憲民主党以外の第3象限の勢力(自由党、日本共産党、社会民主党、新社会党、緑の党、生活者ネットワーク、無所属市民派)は、「立憲ブラックホール現象」への対策が必要である。